宴の翌朝

くねひと

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#9 氷のいたずら

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 リビングのTVは野球のナイターを流していた。手持無沙汰のミツルはソファに座り、ぼんやりとTVを眺めることにした。

 そこへシャワーを終えたジュンが戻ってきた。冷蔵庫でできた角氷を容器に移し替え、ラムとコーラ、それにタンブラーを低いテーブルの上に置いた。ミツルの隣に座ったジュンは手際よくタンブラーに氷を入れ、ラムとコーラを注ぎいれた。
 そしてできたラムコークをぐいとあおるようにのどを鳴らせて一口呑んだ。

 それを見たミツルは急に喉の渇きを覚える。
「ジュン、僕にも……」
 ジュンはグラスをそっとミツルの口元にあてがった。弾けるような喉ごし。ミツルは甘えかかるようにジュンに体を預けると目を閉じた。

 しかし、ジュンが優しかったのはここまでだった。
 次の瞬間、ミツルは下腹部に突き刺すような冷たさを感じて、思わずソファから立ち上がっていた。

「な、何をしたの?」
 ジュンはただ笑うばかりだ。ミツルにしても、わざわざジュンに聞くまでもないことだった
 ジュンはミツルのビキニパンツの中に角氷を忍ばせたのだ。

「……つ、冷たい」
 ミツルは激しく腰をよじる。トランクスタイプのパンツならそれで、氷は落下したかもしれないが、パンツタイプではそうは行かない。角氷は局部とパンツの挟間にしっかりとその位置を占め、じわりじわりとジュンの企図した効果を現わし始める。

「と、取ってよ」
「自分で取ればいいじゃないか」
「取れるわけないだろう。こんなにされていて」
 痛いような冷たさに耐えるミツルをからかうようなジュンの物言いに、ミツルは思わずカっとなり、縛りあげられた両手を見せつけるように、ジュンに背中を見せた。
 するとこれ幸いとばかり、ジュンはパンツの後ろ側の縁をひょいと引っ張るのだ。

「あっ」
 あわててジュンの手を逃れようとしたときはもう遅く、角氷が何個かお尻の割れ目に滑り落ちていった。
「どうだい。氷を取りだしたくても取り出すことができない。両手を縛られているってことはもどかしいものだろう」

 染み入るような冷たさは、やがて痛みさえ伴い、いつしかミツルは無意識の内に腰を揺すり始めていた。
「いやらしいな、腰なんか振って…」

 ジュンのからかいに、ミツルは一瞬体を静止させるが、……氷責めでもたらされた染み入るような冷たさはすぐにそんな節度をミツルから奪い、再び下半身を小刻みに震わせるのだった。

「お願いだから氷を取ってよ!」
「じゃあ、縄を解いてやろうか……」
 そう云うと、ジュンはミツルの背後に回ろうとした。もちろん本気で縄を解く気はない。ジュンはときどきこうして被虐癖の強いミツルをからかうのだ。

 縄を解いてもらえば、この苦しみからは解放される。でも、縄を解かれればそこでこの宴は終わってしまう………
 まだ……まだ、縛られていたい。例え、どんな苦しい目に遭ったとしても。
 ミツルはジュンの手を振り切るように体をよじった。

「何だよ。せっかくほどいてやろうとしているのに……。氷は嫌。でも縄を解かれるのも嫌………。ミツルはわがままなMだな」
それならこうするしかないな……

 ジュンはミツルのパンツに両手をかけると、サッと足首まで引き下げた。
「あああ…」
 床の上に半分溶けかかった氷が何個か転がり落ちた。無防備に下半身を曝け出し、さりとて後ろ手縛りの身ではどうすることもできず、ミツルはただ身悶えるしかなかった。

「肢を抜きなよ」
 ジュンはミツルから取り上げたビキニパンツを丸めると無造作に部屋の隅に投げ捨てた………
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