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#3 遊びはこれからじゃないか
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「縄を…縄を解いてくれる?」
沈黙を破ったのは僕だった。
本当に縄を解いて欲しかった訳じゃない。
多分だけれど、そう言えばジュンは絶対に拒否するだろう。
そしてその拒否がこのよどんだ状態から抜け出すきっかけになるかもしれない。そう思ったのだ。そしてジュンは僕の期待した通りの反応を見せた………。
「縄は解かないよ。遊びはこれからじゃないか」
さあ立ってと、ジュンに耳を引っぱられて僕はいやいやベッドの横に立たされた。
(遊び………。これが遊びと言えるのだろうか)
でもジュンは自分の胸に去来する罪悪感や後ろめたさを遊びと言い切ることで打ち消したかったに違いなかった。そしてジュンが遊びと言い繕ったことで、この後の僕たちのSMプレイ(ジュンがいくら遊びと言っても、僕にとってはSMプレイの何ものでもなかった)もさらにエスカレートしていくことになった………。
「ちょっときつくしてやろうか」
ジュンはハンガーにかけられていたズボンからベルトを引き抜くと、それを僕の胸に回した。
「うっ…」
二の腕が締め付けられる………。
「ベルトの穴はもう一つきつくできるかな?」
「だ、駄目だよ…」
僕はかぶりを振って抗ったが、それだけでは何の抵抗手段にもならない。
ジュンは難なくベルトを強く締め上げた。
「くっ…苦しいよ………」
二の腕にベルトが喰い込み、息を吸い込む度に胸が圧迫される。
更にジュンは後ろ手縛りの縄尻をベルトにつなげ、ぎゅっと引き絞った。
「ぐっ……」
高手後手縛りが完成した。簡単な縄の掛け方だったけれど、それでもかなりの緊縛感だ。ちょっと体を揺すっただけじゃ、びくともしない。
(ジュンにこんなサディスティックな面があったなんて………)
僕は縄目に喘ぎながら、意外なジュンの側面を見る気がして少し怖くさえ感じ始めてきた。
さらにジュンはガラクタ箱を物色し、新聞や古雑誌をまとめるときに使うような細紐を取り出してきた。
これがいいかな?
ジュンは独り言のようにそうつぶやくと、ベッドの縁に腰掛け、僕をその前に立たせた。
「肢を開きな」
ジュンが何をするのか不安だったが、命令に逆らうことはできない。僕は静かに両肢を肩幅に拡げた。
ジュンは細紐を両手に持つと、それを僕の股間に近づける。
(えっ、ま、まさか、そんな!)
そのときになって初めて僕はジュンの悪魔的なたくらみに気付いたのだ。
(急所を縛られる?)
細紐が肉茎もろとも玉袋に、一巻き二巻き回され、そこで一回結び目が作られた。
(急所を縛られた!………)
正直に告白すればこのとき既に僕にはいくらかのM性が発現していた。そんな僕にしても、この急所縛りは完全に想定外だった。
僕のM性をはるかに超える責め縄……。それは例えれば100Vの電流までしか許容できない電気回路にいきなり200Vの高圧電流が流されたようなものだった………。痺れるような強い衝撃が全身に伝わり、僕の頭の中は真っ白にスパークした。
しかもジュンの急所縛りは念入りだった。玉袋に細紐を巻き付けた後、肉茎の根元をくくり上げ、そして鎌首も締め上げていく。
急所の三段締め………。
先ほどの精の放出で軟化していた僕の肉茎はこの三段締めの効果で、再び隆起していった。
「うっ………」
不意に急所縛りの紐を引かれ、局部に走る痛みに僕は呻いた。
しばらくの間、僕は意識が飛んでいたのかもしれない。
いつのまにかジュンは立ち上がり、部屋を出ようとしていた。もちろんその手には急所縛りの細紐が握られている。
「ど、どこへ行くの?」
「リビングに行くのさ。喉が渇いたから、何か飲もうと思って」
「嫌だ!」
反射的に僕はその場に座り込み、強い抵抗姿勢を示した。そんな僕をジュンはうすら笑いを浮かべながら見下ろしている。
その目の中にS特有の輝きを見つけて、僕は座り込んだのは失敗だと思った。
沈黙を破ったのは僕だった。
本当に縄を解いて欲しかった訳じゃない。
多分だけれど、そう言えばジュンは絶対に拒否するだろう。
そしてその拒否がこのよどんだ状態から抜け出すきっかけになるかもしれない。そう思ったのだ。そしてジュンは僕の期待した通りの反応を見せた………。
「縄は解かないよ。遊びはこれからじゃないか」
さあ立ってと、ジュンに耳を引っぱられて僕はいやいやベッドの横に立たされた。
(遊び………。これが遊びと言えるのだろうか)
でもジュンは自分の胸に去来する罪悪感や後ろめたさを遊びと言い切ることで打ち消したかったに違いなかった。そしてジュンが遊びと言い繕ったことで、この後の僕たちのSMプレイ(ジュンがいくら遊びと言っても、僕にとってはSMプレイの何ものでもなかった)もさらにエスカレートしていくことになった………。
「ちょっときつくしてやろうか」
ジュンはハンガーにかけられていたズボンからベルトを引き抜くと、それを僕の胸に回した。
「うっ…」
二の腕が締め付けられる………。
「ベルトの穴はもう一つきつくできるかな?」
「だ、駄目だよ…」
僕はかぶりを振って抗ったが、それだけでは何の抵抗手段にもならない。
ジュンは難なくベルトを強く締め上げた。
「くっ…苦しいよ………」
二の腕にベルトが喰い込み、息を吸い込む度に胸が圧迫される。
更にジュンは後ろ手縛りの縄尻をベルトにつなげ、ぎゅっと引き絞った。
「ぐっ……」
高手後手縛りが完成した。簡単な縄の掛け方だったけれど、それでもかなりの緊縛感だ。ちょっと体を揺すっただけじゃ、びくともしない。
(ジュンにこんなサディスティックな面があったなんて………)
僕は縄目に喘ぎながら、意外なジュンの側面を見る気がして少し怖くさえ感じ始めてきた。
さらにジュンはガラクタ箱を物色し、新聞や古雑誌をまとめるときに使うような細紐を取り出してきた。
これがいいかな?
ジュンは独り言のようにそうつぶやくと、ベッドの縁に腰掛け、僕をその前に立たせた。
「肢を開きな」
ジュンが何をするのか不安だったが、命令に逆らうことはできない。僕は静かに両肢を肩幅に拡げた。
ジュンは細紐を両手に持つと、それを僕の股間に近づける。
(えっ、ま、まさか、そんな!)
そのときになって初めて僕はジュンの悪魔的なたくらみに気付いたのだ。
(急所を縛られる?)
細紐が肉茎もろとも玉袋に、一巻き二巻き回され、そこで一回結び目が作られた。
(急所を縛られた!………)
正直に告白すればこのとき既に僕にはいくらかのM性が発現していた。そんな僕にしても、この急所縛りは完全に想定外だった。
僕のM性をはるかに超える責め縄……。それは例えれば100Vの電流までしか許容できない電気回路にいきなり200Vの高圧電流が流されたようなものだった………。痺れるような強い衝撃が全身に伝わり、僕の頭の中は真っ白にスパークした。
しかもジュンの急所縛りは念入りだった。玉袋に細紐を巻き付けた後、肉茎の根元をくくり上げ、そして鎌首も締め上げていく。
急所の三段締め………。
先ほどの精の放出で軟化していた僕の肉茎はこの三段締めの効果で、再び隆起していった。
「うっ………」
不意に急所縛りの紐を引かれ、局部に走る痛みに僕は呻いた。
しばらくの間、僕は意識が飛んでいたのかもしれない。
いつのまにかジュンは立ち上がり、部屋を出ようとしていた。もちろんその手には急所縛りの細紐が握られている。
「ど、どこへ行くの?」
「リビングに行くのさ。喉が渇いたから、何か飲もうと思って」
「嫌だ!」
反射的に僕はその場に座り込み、強い抵抗姿勢を示した。そんな僕をジュンはうすら笑いを浮かべながら見下ろしている。
その目の中にS特有の輝きを見つけて、僕は座り込んだのは失敗だと思った。
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