土曜日の部室

くねひと

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#3 そして今日…

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 ときには荒々しく、ときには繊細に北山の急所をしごき上げる亨のテクニックは狡猾だった。爆発一歩前まで追い詰めた後、意地悪く愛撫を中断し、北山の欲情が醒めかけたところで一転して細やかな指の動きを加える亨。

「くっ…くぅ…………」
 北山は亨の術中に陥り、やるせないすすり泣きをつい漏らしてしまうのだ。両手の自由を奪われた身では、燃え上がる欲情を解決させるには亨に頼るしかない。散々焦らされた後、北山は亨の手の中に熱い精を暴発させた……。

 それが総ての始まりだった。あるときは亨の部屋で、またあるときは北山の部屋で二人の情事が行われるようになった。しかも最初がそうであったように情事は徐々にSMの要素が濃くなり始めた。Sの亨、Mの北山……、元々、二人には潜在的にそうした気質が内在していたのかもしれない。

 亨は好んでサッカー部の部室でプレイをやりたがった。部室は人の目につきやすく危険で、北山としては避けたいのだが、自分の痴態を目撃している亨にはどうしても逆らえなかった。今日も北山は郷田と約束をしているので勘弁して欲しいと亨に懇願したのだが、亨は、
「駄目ですよ、先輩。今日はたっぷり楽しもうと色々な小道具を用意してきているのですからね」
と言って、北山の哀願を冷たく撥ね除けた。

 それだけでなく、練習終了の少し前に亨は北山を部室に連れ込むと、ユニフォームからパンツまで総てを取り上げ素っ裸にした上、厳しく縛り上げるとロッカーに押し込めたのだ。練習が終わり、みんなが着替えている間、北山はもし誰かがこのロッカーを開けたらと思うと生きた心地がしなかった。

 素足にひんやりとした床の感触、膝頭はガクガクと震え、隣のロッカーを開けられたときは口から心臓が飛び出す程のショックを感じた。それでいて股間は熱く直立しているのだ。
今更ながらに北山は自分のさがを呪うと共に、自分にこのような仕打ちをした亨を恨めしく思った。

 しかし素っ裸で緊縛されている身では、自分がロッカーに閉じ込められていることを悟られないように、ただじっと息を殺しているしかなかった。もしこんな姿をみんなの前に晒け出したら………

(どうしたんだ、北山)
(せ、先輩、どうされたんですか………)
部員一同がロッカーの中の自分を見ている……そんな妄想がちらりと北山の頭の中をよぎる。驚いた顔、顔、顔………。しかしやがて誰かがニヤリと笑って、北山の股間を指さすのだ。両手を縛られている北山には屹立した局部を好奇の視線から隠す術はない。同級生、後輩、みんなの顔に蔑むような冷笑が浮かぶ………。
 そんな痴態を見られたらもう部活なんてできない。いや、学校にさえやって来られないだろう。

 泣き出したい気分に襲われる中、やっと部員は帰り始めた。
亨を除いて全員帰り、ホッとしたところに郷田が戻ってきたのだ。あれは危ないタイミングだったと北山は思う。もう少しずれていれば二人のプレイ場面を郷田に目撃されていたかもしれないのだ。
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