ハルカ・カナタの宇宙戦争

morikawa

文字の大きさ
上 下
36 / 41
第2章

2-7

しおりを挟む
 今朝は早起きしたはずなんだけど、二人の妹と楽しく戯れていたら結構時間が経っちゃったよ。やばやば、またギリギリだ。

 でも大物の私は慌てない。ハルカとサキと手を繋ぎながら、楽しく玄関を出る。

 あ、円柱ちゃんじゃかわいそうだから、検討の結果サキちゃんと名前を付けました。ハルカの船の名前がハルカサキゴーだからね。良い名前でしょ?

 あーでも、私がお姉さんって不安だなぁ。妹も増えたことだし、しっかり者で美人のお姉ちゃんも欲しいなぁ。

 私が今日も気持ち良く晴れた空を見上げながらそんなことを考えた時、ぴーんと何かすっごく嫌な何かを感じた。

 次の瞬間、私の横に居たサキが、繋いでいた手を離してさっと私とハルカの前に出る。そしてさっと手を振って輝く粒子を周囲に広げた。

「カナタ!」

 それからハルカがそう叫んで私を押し倒し、さらに私の上に覆いかぶさる!

「え、な、何?」

 状況を理解できない私は反射的にハルカの制服をぎゅっと握りしめながら、サキを見た。

 その時だ。バンッと激しい音。私の倒れたアスファルトの地面も軽く揺れる。

 サキの展開した粒子障壁に何かがぶつかったの?

 ぶつかった何かは障壁に弾かれて、少し離れた場所へキンッと小さな金属音を立てながら転がる。それは20cmくらいはある、細長い銃弾だった。

 え、あ、わ、私撃たれた? あんなおっきい弾に?!

 私がようやく状況を把握した時には、サキが反撃を始めていた。

 前方に突き出されたサキの両手の指から、カカカカッと小さな音と連続して煌く白い光。

 そしてランドセルのふたがふわっと浮くように開くと、シュッと鋭い音を立てて小型のミサイルが2基射出された。

 そしてかぱっと大きく開いた口からは、黒い閃光がゴウッっと激しい突風を巻き起こしながら放たれる!

 爽やかな朝日に似合わないそのおっかない何本もの光の筋は、家から何kmも離れた、小高い山へ向けて超高速で飛ぶ。次の瞬間、山の斜面が激しく光った。

 と、遠くて良く分かんないけど、黒い閃光やミサイルの当たった場所からもうもうと白い煙が立ち上っている。

「どうですか?!」

 ハルカが小さいけど鋭い声で叫んだ。

「仕留めたにゃん。ただし、生命反応、最初から、無いにゃん。無人、狙撃用兵器の、攻撃、断定にゃん」

 ハルカの質問に、サキが可愛い声だけど片言な言葉で答えた。ちゃんとにゃんって付けてくれてるし。萌えるね!?

「良かった…サキを出していなければやられていましたね…」

 ハルカが引き攣った笑顔を浮かべながら、私を見る。

 いや、それにしても…私はもう一度ころがった銃弾を見た。わ、私、あんなので撃たれたんだ…?

 今更だけど体が震えてきて、私は握ったままだったハルカの制服をもっと強く握った。

「それにしても…こんなに早く見つかってしまうなんて。それに、私達が家から出るのが分かっていたかのようなタイミングですね…」

 ハルカがそう呟いた時、まだ震えが止まらなかった私は、ずっと遠く遠くに、大きな違和感を感じた。まるで何かをむりやり抉じ開けるかのような、乱暴な力を。

 ハルカもぴくりと動く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

処理中です...