わたしの恋愛事情

夜瑠

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転機はすぐに訪れた。

「牛タンたべたいな」

と呟けば

「今度俺の地元連れてってやろうか?」

と帰省に連れていってくれるという。


「成人式疲れた。」

と言えば 

「何か写真とか撮ってないの」

と返ってくる。

私は首を傾げた。
あれ?これ脈アリか?

普通ただの女友達を地元とはいえ2人旅行に誘うか!?
どうでも良い女の成人式の写真なんて求めるか!?

もしや、もしやもしや!!!

少し前まで自分の気持ちがわからず悩んでいたなんて思えないほど私は浮き足立った。

彼女と別れてそんなに経っていないことは少し気になったがそれでも可能性が見えたことが嬉しかった。


勘違いだったら恥ずかしいため今までと同じ距離感で返信をする。震えた指先には気付かない振りをした。



「今度バイト終わり俺ん家で飲もうや」

一人暮らしの彼の家に宅飲みに誘われた。

……これはそういうことでは…?


全く恋愛経験がない私でもそれくらいは何となくわかった。絶対脈アリだよね…!?これはそうだよね…!?

「楽しそう。飲もうぜ」

内心の動揺や喜びを必死に隠しながら何とか返信する。頭が働かない状態で続けていたLINEは気付けば好きな人の話になっていた。

「え、好きな人おるん?俺の知っとる人?」

「さぁ?誰だろうね?笑」

「いや教えろて。バイト先の人か?」

「嫌やわ教えん」

好きな人本人が好きな人を聞き出そうとLINEを送ってくる。

これは絶対脈アリだろう!!

それでも臆病な私は違ったら怖いから曖昧に答えを誤魔化し続けた。

「逆に悠はいないの好きな人」

「んー、今のとこおらんかな」

そんな一言に打ちのめされたからでもあるのだけれども。


当日、バイトは中々手につかなかったが何とかやりきり一旦家に帰ってシャワーを済ましてから悠の家に行くことになった。

ドキドキしながら一応念入りに身体を洗い毛の処理も隅々までチェックした。

そして彼の家に着いてからドキドキしながらマンションのロビーで部屋番号を押す。事前に着いたよ、とLINEをしていたので無言でロビーの鍵が空いた。

そんな無言のやり取りがなんだか既に恋人みたいでニヤついた。


部屋のインターフォンを押すと部屋着に着替えた彼が扉を開けてくれた。

「や!来たよ」

「お~入りな入りな」
 
以前ほかの友達も交えて遊びに来たことも会ったが2人しかいない部屋はなんだかとても静かで自分のうるさい鼓動まで彼に届いているんじゃないかと心配になった。

「ここ座ってそっちだと固いだろ」

彼の座る座椅子のようなソファはなんだか緊張するから床に座っていたらそう言って隣をポンポンと叩いてくれた。

「おーありがとうそうするわ」

もはや口から心臓飛び出るんじゃないかと思いながらそっと横に腰掛けた。


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