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出会い編
6.
しおりを挟むお粥という食べ物を食べ終えた頃、さっき処刑台の上にいた人達が来た。
食事してたらあの部屋にきた人達だ。あの部屋に来るのは両親か使用人か鎖で繋がれた捕虜、後は妹だけなので多分この人たちは『妹』なのだ。僕は外の世界について少し分かってきた。
3人は僕を見ると少し肩を震わせた。
何故かわからないけど皆よくこの反応をする。さっき言ってたまほうじん、とやらが怖いのだろうか?自分ではわからない。
「お腹は膨れたかな?早速で悪いんだけど良ければお名前と年齢を教えて欲しいな?」
ニコニコと金髪の人が問う。
この人もだ。
皆どうして喋れるのだろう。喋ったら怒られるだろう?僕も使用人も捕虜の人も皆許可なく喋れば殴られた。それが当たり前だと言われた。
この人たちはきっと知らないんだ。このお城のルールを。
「……あー、喋っても誰も怒らないぞ?…もう、怒る人はいなくなったからな…」
「……そうよ、もう自由に喋ってもいいのよ……誰も怒らないわ」
今度は後ろにいた大きな赤髪の人と母上と同じ黒い髪の人が話しかけてきた。
誰も怒らない?なんで?だって1人のときでも喋ったらバレたんだ。こんなに人がいる時に喋ったら絶対バレてしまうじゃないか。
この人たちは親の『躾』が緩かったのかな?
「……わからないかもしれないけど……もう君の両親は…家族は全員死んだんだ。俺達が殺した。もう……二度と会えないんだ。」
金髪が不思議なことを言う。死ぬ?死ぬってあの動かなくなるやつか?あれは使用人がなるやつだろう?両親にはなんの関係もない。
きっと不思議そうにしていたのが顔に出ていたのだろう。彼は哀れんだ目で説明してくれた。
「……人はね、どんな人間でも生物でも首と身体かま離れてしまえば死んでしまうんだよ……さっき3人の首を刎ねただろう?あれであの3人は死んだんだ。」
死んだ……
外の世界のことは難しいことだらけでよく分からなかったけどとりあえず喋っても怒らないことは分かった。とっても不思議ではあるけど。
「じゃあ改めて名前と年齢わかる?」
僕はゆっくり頷いて久方ぶりに自ら声を発した。
「……ぉ…じ……16……」
「ん?ごめんもう1回いい?」
ずっと喋ってこなかったせいで掠れた声しか出なかった。僕は1つ咳払いをしてもう一度答えた。
「……おぅじ……16さい」
「………………」
「………………」
「………………」
何故かみんな笑顔のまま固まってしまった。何か変なことを答えてしまったのだろうか。でも老人は僕は王子だと言っていたし妹が何故か僕の年齢を知っていてこの前教えてくれた。
3人は丸くなって会議を初めてしまった。
僕がどうしようかと近くの侍女に目を向けると彼女はいつものようにまた困ったように微笑むだけだった。
「……やはり名前を知らないパターンか…いや、そもそも付けられてないのかもしれない……」
「でも自分が王子っていうのは辛うじて分かっているわ」
「いや王子っていう立場と名前が同一視されてる。しかも16って……まだ10歳前後かと思ったのに…」
「……まさかの同い年……」
そういえばこの人たちは喋り方も不思議だ。『親』みたいに喚かないし『妹』みたいによく分からない言葉を興奮しながら喋らないし『使用人』みたいに必要最低限の会話じゃない。
そう思えばこの人たちはあの老人と似ているかもしれない。
じやあ妹じゃなくて『捕虜』なのか?
でも鎖がない……難しい
「あー……教えてくれてありがとう。お礼に俺の名を教えておくね?俺の名をロイ=アドマイヤー。ロイって呼んでくれ」
ろい?ろいあどまいやぁ。
……なんだろそんな感じの昔聞いたことある気がする…?
「俺はアルフレッド=デニス。アルって呼んでくれ。」
ある。あるふれっどでにす。
……あー、なんだろこんな感じの綴りの言葉聞いたことあるのに……!!
「私はエリア=ヴィート。リアって呼んでね」
りあ、りあびーと?
びーと……
あ、思い出した
「……びーへるむ、おずわると……しるびー……」
「……え!?君ヴィルヘルム=オズワルド様を知っているのか!?」
なんか金髪……ろい?が凄い形相で詰め寄ってきた。
え、なに。ただ老人との会話思い出しただけなのに……
『そうさなぁ……いつかお前さんがこの牢を出たときに自己紹介くらいはできんとなぁ。……けどお前さん名前あるのか…?』
『……おーじ?』
『…………わしの名前はヴィルヘルム=オズワルド、お前に名付けをしよう。シルヴィア。古代語で癒し。きっとお前さんなら名前に恥じぬ存在になるさ。』
『……?おーじ、しるびー?びーへるおざ……?』
『ははは!また教えてやるさ』
ちゃんとあの時言ってたの覚えれたかな…?
なんか3人と使用人たち言葉失ってるけど。変な言葉だったかな……?
「は!?お前ヴィルヘルム様つったら帝国の宰相じゃねぇか!!」
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