女装が趣味のおっさんが、魔法で一夜だけ絶世の美女に変身したら

最終話

渋谷センター街の脇にある
小さな通りに、占い師の老婆がいた。

爽やかな笑顔のイケメンの若者が、老婆に声をかけた。

あのタクヤだった。

「あのー、すいません。相談したい
ことがありまして」

「お主、ずいぶんと悩んおるな」

「わかるんですか？」

「なんでも、わかる」
 老婆は、眼に力をこめた。

「実は、女性を探しているんです。女優のようなきれいな人で、一度だけ自分の店に来てくれたんです。連絡先を聞くのを忘れてしまって。それ以来会えなくて」

タクヤは、すがるような思いで打ち明けた。

「ほう、ほう」
老婆は、ニコッと頷いた。

ー了ー