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第7話

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「いらっしゃいませ」

グレーのジャケットをきれいめに
着こなした男性が爽やかな笑顔で挨拶した。

タクヤだ。

マサルは、うっとりとした目でタクヤを見つめた。

「お客様、初めてのご来店ですか?」

「いえ、あっ、はい、初めてです」

「ご来店ありがとうございます」

ニコッと白い歯を見せた。

マサルは、キュンと胸がときめいた。

「どうぞ、ご自由にご覧くださいませ」

タクヤは、マサルが靴を見ている時に
程よい距離感で接客してくれる。

商品の棚から棚へ移動するたびに説明したがる店員がいる。

マサルは、そういう過剰な接客が苦手だった。

タクヤは、そうした客の心理をよく理解しているように思えた。

「店員さん、実はこのハイヒールを
直したいの」

マサルは、自分のハイヒールのカカトを
見せた。

「素敵な靴ですね。当店でも販売させていただいているブランドですね」

(そうよ、タクヤ。あなたに選んで
もらった靴よ)

マサルは、心の中で呟いた。

「確かにカカトが欠けてますね。
すぐに直せますよ」

「えっ、本当?うれしい」

「ちょっと在庫を確認しますね」

タクヤは、素早い動きで倉庫へ
走った。

「お客様、申し訳ございません。
あいにく在庫が切れておりまして。
お急ぎですよね?」

「そうね、できれば」

「かしこまりました。では、系列店を確認してすぐに修理いたします」
 
タクヤは、すぐにパソコンで在庫を確認し、新宿店にあることをマサルに説明してくれた。

「お客様、今19時半ですので、修理の
時間を含めて21時にはお渡しすることが
できます。失礼ですが、お名前をお聞きしてよろしいでしょうか?」

「マサル、いえ、マサミです。ありがとう。では、その時間にとりにきます」

マサルは、店を出た。

タクヤは、マサルの後ろ姿を見て、
なんてきれいな女性なんだろう
と思った。

渋谷の店には、若くてきれいなお客が
くることが多い。でも、マサルほど
の美貌の客には、出会ったことはなかった。

タクヤは、新宿へ向かった。
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