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アヤカ①
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「店長、高円寺で飲みましょうか」
アヤカは、目をキラキラさせて言ってきた。
昼の3時の店内は、珍しく閑散としていた。
普段なら勉強したり、談笑してる学生で
満席に近いのに。
僕とアヤカは、雑談に花を咲かせていた。
僕は、大学時代に高円寺に住んでいたことがある。
アヤカは、「高円寺は若い芸能人の卵が、夢を追う街」という僕の言葉を気に入ったらしい。
アヤカもそんな芸能人の卵の一人。
芸能事務所に所属する正真正銘のモデルだ。
雑誌の仕事だけでは収入が安定していないため、この店のアルバイトを兼業している。
収入額では、モデルの方が副業だ
と笑いながら話していた。
長身で小顔。手足が長く8頭身。美人が多く在籍している渋谷店の中でもアヤカは目立つ存在である。
そして、現在高円寺に一人暮らしをしている。
個性的な古着屋、格安の八百屋、安くて美味しい居酒屋の話で盛り上がった流れで、仕事が終わってから飲みに行くことに決まった。
高円寺駅の北口を出ると、僕が住んでいた15年前と街並みは余り変わっていなかった。
駅を中心に縦横無尽に商店街が
広がる街並み。
僕とアヤカは、しばらく街を散策した。
商店街の一角に風俗店がある。
名前は、店の名前は違うような気がするが。
「店長もああいうとこに通ったんですか?」
アヤカがからかうように言った。
「さあ、忘れちゃった」
実はよくそういう店に行っていた。
風俗デビューしたのも高円寺だった。
そういう店も含めて、高円寺という街の
懐の深さが好きなのだ。
僕とアヤカは、パル商店街のバ-で軽くお酒を飲んだ。
店を出る頃にはあたりがすっかり暗くなっていた。
高円寺の駅に向かうガ-ド下で
長髪の男性のミュージシャンが、ギターを弾きながら歌っていた。
オリジナルソングは、お世辞にもうまくなかったが。
「懐かしいな。僕が高円寺に住んでいたころも弾き語りをよく聞いていたんだ」
「店長、時間が許すならば、少し聞いていきませんか?」
「もちろん」
2曲目が終わる頃に、中年の酔っぱらいのが、ミュージシャンに近づいてきた。
「下手くそな歌だな。えっ、どうせ
親のすねをかじって歌手を目指してますって。夢を見てんじゃねぇよ、このフリ-タ-め」
「やめてください、夢を追いかけることのどこが悪いんですか?」
アヤカが割って入った。
「ひくっ、なんだこのアマ」
酔っ払らいが、アヤカにつかみかかろうとしたので、僕は間に入った。
「ドスン。痛い」
僕は、コンクリートの上に倒された。
情けなかった。
ミュージシャンとアヤカが僕を介抱している間に酔っ払らいは消えてしまった。
「店長、血が出てる」
「ああ、酔って血液の循環が良くなっただけ。なんてことないから」
「あの、よろしければ、アパートで手当てしましょうか。ここから近いですし」
アヤカが心配そうに僕を見つめた。
「かすり傷だから、帰るよ」
「だめです。ばい菌が入ったら大変だから
」
最近、こんな展開が多いな。
遠くからギターの音が聞こえていた。
アヤカは、目をキラキラさせて言ってきた。
昼の3時の店内は、珍しく閑散としていた。
普段なら勉強したり、談笑してる学生で
満席に近いのに。
僕とアヤカは、雑談に花を咲かせていた。
僕は、大学時代に高円寺に住んでいたことがある。
アヤカは、「高円寺は若い芸能人の卵が、夢を追う街」という僕の言葉を気に入ったらしい。
アヤカもそんな芸能人の卵の一人。
芸能事務所に所属する正真正銘のモデルだ。
雑誌の仕事だけでは収入が安定していないため、この店のアルバイトを兼業している。
収入額では、モデルの方が副業だ
と笑いながら話していた。
長身で小顔。手足が長く8頭身。美人が多く在籍している渋谷店の中でもアヤカは目立つ存在である。
そして、現在高円寺に一人暮らしをしている。
個性的な古着屋、格安の八百屋、安くて美味しい居酒屋の話で盛り上がった流れで、仕事が終わってから飲みに行くことに決まった。
高円寺駅の北口を出ると、僕が住んでいた15年前と街並みは余り変わっていなかった。
駅を中心に縦横無尽に商店街が
広がる街並み。
僕とアヤカは、しばらく街を散策した。
商店街の一角に風俗店がある。
名前は、店の名前は違うような気がするが。
「店長もああいうとこに通ったんですか?」
アヤカがからかうように言った。
「さあ、忘れちゃった」
実はよくそういう店に行っていた。
風俗デビューしたのも高円寺だった。
そういう店も含めて、高円寺という街の
懐の深さが好きなのだ。
僕とアヤカは、パル商店街のバ-で軽くお酒を飲んだ。
店を出る頃にはあたりがすっかり暗くなっていた。
高円寺の駅に向かうガ-ド下で
長髪の男性のミュージシャンが、ギターを弾きながら歌っていた。
オリジナルソングは、お世辞にもうまくなかったが。
「懐かしいな。僕が高円寺に住んでいたころも弾き語りをよく聞いていたんだ」
「店長、時間が許すならば、少し聞いていきませんか?」
「もちろん」
2曲目が終わる頃に、中年の酔っぱらいのが、ミュージシャンに近づいてきた。
「下手くそな歌だな。えっ、どうせ
親のすねをかじって歌手を目指してますって。夢を見てんじゃねぇよ、このフリ-タ-め」
「やめてください、夢を追いかけることのどこが悪いんですか?」
アヤカが割って入った。
「ひくっ、なんだこのアマ」
酔っ払らいが、アヤカにつかみかかろうとしたので、僕は間に入った。
「ドスン。痛い」
僕は、コンクリートの上に倒された。
情けなかった。
ミュージシャンとアヤカが僕を介抱している間に酔っ払らいは消えてしまった。
「店長、血が出てる」
「ああ、酔って血液の循環が良くなっただけ。なんてことないから」
「あの、よろしければ、アパートで手当てしましょうか。ここから近いですし」
アヤカが心配そうに僕を見つめた。
「かすり傷だから、帰るよ」
「だめです。ばい菌が入ったら大変だから
」
最近、こんな展開が多いな。
遠くからギターの音が聞こえていた。
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