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※③

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それからと言うもの何度も会社の昼休みは共に食事をし、そろそろ告白しようかと考えていた時だった。

「社長」
その日、帰宅しようと地下駐車場に宋史は向かうと駐車場に立っている琴音の呼びかけに宋史はぴくりと顔をこわばらせた。
なぜ田中は報告をしなかった。
時計の針は23時を指していて、琴音は今日、20時に退勤したと報告を受けていた。
3時間も待っていたのか?
勿体ない!
勿体なさすぎる。
3時間、琴音と時間を共にしたかった。
「どうした?社長室に来てくれたらよかったのに」
宋史は穏やかに言うと、仕事を邪魔したくなかったのでと琴音は答えながら青ざめている田中を見る。
「田中さん。言わないでくれてありがとう」
「と、とんでもございません!私はこれにて失礼いたします」
田中は宋史の射殺すような視線に背を向けると走り出した。

「社長。今日、退職届をだしました。会社を辞めます」

なんだと?
会社を辞める?
「理由を聞いていいか?」
やりたいことがあって転職をするのであれば止める理由はない。
宋史は琴音を束縛するつもりはない。
「誓約結婚です」
斉藤組が明日、カチイレをしてくる。明日、私は組員を守るために嫁に行く。
私が会社にいたら斉藤組が嫌がらせをするだろう。

ぶっ潰す。
斉藤組を潰すと殺気立つのだが。
「退職祝いほしいです」
「琴音が望むなら。なんだって、あげよう」
退職願でなくとも惚れた女が欲しい物、望むことはなんでもしてやろう。
「本当?絶対になんでもですよ?嘘ついたら針千本を本当に飲ませますよ?」
ふふふ。
私は大昔、飲ませた事があるのよ。
不敵な笑みを浮かべる琴音にその事実を知っている宋史は脅しでない事を理解した上で顔色ひとつ変えない。
琴音が残酷であれば残酷であるほど、都合がいい。
「あぁ」
確認する琴音に宋史は頷くと、琴音は宋史の前に移動する。
そして宋史のネクタイを少し引っ張り宋史の顔を自分の方に近づける。

「セックスして」

「なん・・・だと」
今、琴音は何と言った?
セックス?
セックスと言ったか?
「退職祝いにセックスしてほしいの」
「・・・セックスとは男女がみだらな行為をすることだが理解しているのか?」
待て待て待て待て。
以前合コンで彼氏いない歴=年齢といっていなかったか?
交際をしてセックスしたいとは言っていたが。
なんだ?退職祝いがセックス?
それは俺にとってのご褒美だろう!
目を見開き拳銃で撃たれたかのような衝撃を受ける宋史の唇に琴音は自分の唇を重ねようとするが、身長差があり届かない。
そんな琴音に宋史が少しだけ屈むのが分かった。

***
宋史は、はやる気持ちを抑えながら車を走らせる。
車内でそのままことに及んでも良かったのだがそれはあまりにも色気がなく勿体ない。
それにここは社長専用の地下駐車場であるが絶対に誰も来ないという確証はない。
大人しく助手席に座る琴音の手が少しだけ震えているのが分かった。

マンションにつくと車のまま専用エレベーターで自室にたどり着と琴音は車を降りる。
「綺麗」
リビングの窓からは夜景が一望できる。
「あぁ。綺麗だ」
琴音が綺麗だ。
本当に綺麗だ。
太陽も似合うが、月の光も似合う。
「えっと、家でシャワーを浴びてきたんだけど。もう一回、シャワーを浴びた方がいいかな?」
「構わん」
「避妊をしないで欲しいんだけど。あ、病気とかは大丈夫だと思う。誰ともしたことがないから」
避妊をしなくていい。
誰ともしたことがない。
宋史は琴音の言葉を心の中で反復する。
俺が琴音にとって初めての男になる。
これほどまでに嬉しいことはない。
避妊をしないと言うことは・・・。ひょっとしたら、俺の子を!
まさかのプロポーズか!
人生初のプロポーズが逆プロポーズ!
宋史は琴音を抱きしめる。
少し甘い香りに酔いしれる。

ちゅ。
先程の触れるだけのキスとは違う。
触れるだけのキスではなく、しっかりと力強いキスに琴音は鼓動が早くなるのがわかった。
「ん・・・あぁっ」
優しく唇を触れ思わず声が漏れると宋史は更に唇を濃厚に重ねる。
ぎゅと歯を噛み合わせる琴音の歯列を舐め、その口を開けるようにノックされると琴音は口を開く。
ぬるっとした何かに舌を絡み取られ、頭の中が真っ白になる。
けれども何がどうなっているのかの理解はできているようで、心臓の音がうるさい。
ドキドキドキドキ。
鼓動が速くなり全身が熱くなるのがわかった。
熱いな。
可愛い。
「んっっ!!!あっ・・・あぁん」
キスだけでこんなにみだらるなんて、なんて女だ。
「煽るな。初めては大切にしたい」 
「ひゃ・・・あ・・・」
かすかな声をあげ、ビクン、ビクンと琴音は揺れるへなへなとその場にくずれ落ちる。

そんな琴音を抱き上げると寝室のベッドの上に丁寧に琴音を下す。
「愛してる」
とろんっとした琴音に宋史は言うとスーツのジャケットを脱ぎ捨て、ワイシャツを脱ぎ捨てた。
スーツやワイシャツにつくボタンが万が一、琴音の白い肌を傷つけるのが怖かった。

「んんっ!」

 唇をもう一度、宋史は丁寧に重ねるとさっきよりも上手に琴音は、くぐもった声をあげる。
「ほら。口を開けて舌を出せ」
「う・・・ん」

目を閉じて口を開け、その舌を少し出すと宋史は下を絡め取った。

そして優しく琴音の頭を撫ぜると、そのまま、頬にスライドさせて肩まで下ろす。

強弱、緩急をつけつつ琴音の舌を味わいながらも。

 ちゅっぱ……ちゅちゅ……くちゅ……。

静かな部屋には、卑猥な音と琴音の荒い呼吸が響く。

「可愛い」
「そ、そんなこと・・・」
そんなことないと言おうとする琴音の口に宋史は何度でも吸い付くと、そっとその形を確かめるように肩から柔らかな膨らみに手を伸ばす。
あぁ。
柔らかい。
なんて柔らかいんだ。

―――直接触れたい。

けれど、焦ってはいけない。
琴音は初めてなんだ。
暴走しそうになるのを必死に止めると、胸を触っていた手をお腹におろしゆっくりとブラウスを捲り上げる。

「綺麗だ。俺は幸せ者だな」

一目惚れをした女性の初めての男になれる。
しかも、その女性は俺以外の男を知らぬまま一生俺の妻として。俺のものになる。
「きゃああっ、んちゅ・・・。そ、宋史・・・にゃにを・・・」
濃厚なキスを交わしつつ宋史の指の動きにさらに体温を高くしながら、琴音は狼狽する。
宋史は指先でブラのホックを探り当てると器用にそれを外した。そしてゆっくりとブラウスを脱がせるとブラと共に取り去ってゆく。

「止めてほしければちゃんと言えよ」
いつでも止めれる自信は全くないが、善処はできる。
「つ、続けて。でも、は・・・恥ずかしい」

顔を覆う琴音の手を宋史は両手で開かせる。
「女神かよ」
2つの丸い膨らみの先端には、小さな宝石が付いているように宋史をさそう。
その美しさに感嘆の声をあげる宋史は思いっきり宝石を吸い付き、無我夢中で手で弄びたい衝動に駆られつつも優しく触れる。

「ああんっ……」

弾力のある胸が宋史の手の中で揺れながら、存在感をアピールする。

「ああっ……あ……」

「声を我慢するなら。聞かせろ」

口を自身の声を抑えようと、口を塞ぐ琴音の腕を宋史は自分の首に誘導する。
「気持ちいいか?固くなってきた。そんなにいいなら、もう少し強めに責めてやろう」
言うが早いが、宋史は琴音の右胸に顔をうずめると、先端の宝石を口にふくむ。舌で転がすように舐め始めると、琴音の声はますます高まっていった。数秒舌で弄んだ後は今度は反対の宝石を舐め始める。もちろん、右の宝石を指で弄ぶことは忘れない。

「ひゃん……あああ……」

 腰をくねらせて、喘ぐ琴音に宋史の下腹部は最高潮に存在をアピールするが決して琴音には悟られないよう琴音の足を開かせると琴音の体には当てないように注意を払う。
決して怯えさせてはいけない。
時間をかけて、ゆっくり丁寧に心と体に俺を刻む。
音が出るほど激しく。

ずずっ……ぺろっ……ちゅぽんっ……。

舐められ、吸われ、こすりあげられて、宝石とその周辺が大きく盛り上がりを見せ始めた。宝石は徐々に大きさと硬さを増していき、その周辺の色が変わっている部分も丁寧に愛撫する。

「いい反応だ。いい表情だ。俺以外の男に決して見せるな、触らせるな。琴音は可愛いから、妄想もさせるなよ」

「いやぁっ……そんなこと……あんっ……」

乱れた顔を見せない、体を触らせないのは当然の事として。妄想をさせるかいなかは確認のしようもないし、琴音自身、特別自分を美人だとも思っていないので誰が妄想するのかと尋ねたいが快楽により言葉を繋ぐことはできない。

お股の部分に冷たさを感じ、ショーツの股間部分は、はっきりと自覚できるほどに濡れているが琴音は気が付かない。

ちゅちゅっちゅ。

一際強く宋史はその宝石を吸いそっとスカートのなかに手を滑らせ、ショーツに指を伸ばす。

「濡れているな」
「なっ。えっ、いやぁん」
「可愛い反応をあまりするな」
スカートとショーツをいっきに脱がせると琴音はぎゅっと足を閉じようとするが、宋史の体があり足が閉じられない。
男の人に裸を晒すなんて、生まれた時ぶりだろう。
琴音は羞恥に全身を発熱させると手でお股を隠す。
「写真に収めたい」
「だっダメ!!!」
絶対にそれは駄目という琴音を宋史はじっと見つめてクスリと笑う。
「安心しろ。心のシャッターにしか収めない」
万が一、泥棒でも入り写真が紛失すればきっと宋史は罪悪感と悔しさで生きていけない。
「それもダメっっ」
だから頭の中だけに保存すると宣言するのだが。琴音は否定した。
「なぜ?」
尋ねる宋史にだってぇっと、琴音は泣きそうな声を出す。
「恥ずかしいから」
「そうか。じゃあ、恥ずかしく無くなるまで愛すよ」
恥ずかしく無くなる未来は来ない!

こう言い返したいが、琴音は言葉を繋ぐことができなかった。

「反応してくれてありがとう」
くちゅっ。
どこからともない水音は自分でも触ったことのない部分から聞こえ、反射的に上半身を起こすとしっかりと宋史に抱き止められた。
「大丈夫。ゆっくり時間をかけてするから、気持ちいいよ」
いきなりいれたりはしない。
これだけ慣れていたら、恐らく痛みはないだろうが恐怖はあるだろうから。
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