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⑰保健室の面白訪問児童② 昔=昨日の昨日の昨日
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勤務時間は8時半から17時までであるが、子供の登校時間は8時から8時半の間。
教育委員会はどう考えているのだろうか?
登校中に転んで保健室にやってくる子は一定数いる。
登校してきて、保健室の先生がいません。
単なる擦り傷ならばいいが、頭に大きなたん瘤をつくってやってきたり。
最悪の場合、転んで指を骨折してやってくるなんて例もある。
8時に登校をして、8時半までに階段でグリコをして捻挫。
運動場で雲梯をしていて、落ちて骨折なんてことは数年に一度、この学校で起こっている。
そんな子供たちの対応をするべく。8時までには出勤を行い。保健室を整えるのが私の仕事方針。
「それ、ボランティアだよな」
旦那は呟く。
「深く考えたらダメダメ!学校の先生、小学校なんてブラック企業よ」
しれっと仁美は答えると今日も7時45分に学校に到着、8時に登校をしてくる子供達を迎える準備を整えた。
「湯川先生。ちょっといいかな?」
「はーい!どうされましたか?」
やって来たのは校門の前で児童達を迎えていた校長先生と、新一年生の北条瑠璃。
「おはようございます」
梨乃は開けっ放しのドアから入ってくる瑠璃にしゃがむと、視線を合わせて朝の挨拶をする。
頬は赤くなっているが、表情などは困惑しているものの早急に対応しなければならない様子はない。
「おはよう・・・ございます」
おどおど答える瑠璃に仁美はにっこり微笑む。
「凄い!素敵に挨拶してくれて、ありがとう」
小さく拍手をすると、瑠璃は少しだけはにかむ。
校長は頬っと瑠璃の後ろで自分の頬を人差し指で触る。
これは、虐待か否か。確認よろしくっという意味。
小学校は児童虐待防止を日々行っている。
いきなり、どこで、とうやってぶつけたの?
入学したばかりの知らない大人に子供は真実は答えてはくれない。
この人になら話しても大丈夫っと安心感を与えることが真実を引き出す重要なポイントだ。
それが、虐待であれば信頼関係は絶対に必須。
穏やかに褒めると、ランドセルを下ろさせ椅子に座らせる。
「可愛いランドセルだね。自分で選んだの?」
今のアラサー世代以上の小学生の頃は、女の子は赤、男の子は黒のランドセルが一般的だったが。
今は赤、青、黄色、緑、ピンク、オレンジ、水色と色の数だけランドセルの色がある。
そして、色だけではなく刺繍であったりラメであったり装飾も煌びやかだ。
「うん!水色が大好きだから、これにしたの」
「そうなんだ。綺麗だわ。刺繍も可愛いね」
ふんわりとした笑顔、口調で優しさを前面に醸し出し好意を示し。好感を与えるために褒める。
まずはこの子に取り入ることが大切だ。
「うん!」
にっこり瑠璃は返事をする。
「頬、赤くなってるね」
「・・・うん」
本題に触れると、彼女は下を向いた。
「痛そうだから、氷で冷やしてもいいかな?」
「いいよ」
「ありがとう」
瑠璃の許可が下り、冷凍庫から氷を取り出す。
頬骨の一番高い位置という事は、こけた可能性が高い。
自分でこけたりする怪我は、体の出っ張ったところ。
頬骨、肘、膝などが多い。
頬骨の下、すね、腹部などは他社からの攻撃である可能性が高い。
「いつからかな?」
「・・・昔」
昔っという、回答に梨乃は微笑んだ。
ぶつけた時の色の変化は、赤、青、黄色となっていく。
この赤さは・・・。どんなに遡っても昨日の夜、いや。明け方程度か。
「一緒に思い出そう。朝、瑠璃ちゃんは目が覚めました。ほっぺはどうだった?」
「普通だった」
「じゃあ、そろそろ学校行こうかな。ほっぺはどうだった?」
「・・・普通」
「学校に向かって歩いています。ほっぺはどうかな?」
「・・・ダンゴムシがいて」
「うん」
「ダンゴムシを掴んだら、ランドセルが・・・ごんって頭から降って来たの」
「そっかぁ。痛かったね」
「うん」
瑠璃は俯く。
「ランドセルが落っこちてきて、ほっぺをぶつけちゃった?」
「うん。新しいランドセルが・・・下に落ちちゃった」
「そっかぁ。それはショックだね。汚れていないようだけど、ふきふきしとこっか」
「うん!」
瑠璃はそういうと、梨乃の渡したペーパータオルで服と笑顔に笑う。
「よしっ。じゃあ、ほっぺを1時間目のお勉強が始まるまで冷やしておいてください」
「はい!」
仁美は氷を手渡すと、瑠璃を教室まで送り担任に引継ぎ。
その後、校門に立っている校長に報告。
任務終了。
年齢を重ねるうちに1年前の事は最近だと感じてしまう。
子供の頃は、1年前は昔だったような気がする。
ふふふ。
登校中は”昔”の出来事か。
そんなに時間の流れがゆっくりなのかしら?
クスクス笑いながら保健室の来室記録簿に瑠璃の事を記入するのもつかぬ間。
「おはようございます。田代先生。2年1組になった中田祥子です。絆創膏とれちゃいました」
やって来たのは3年生の中田祥子。
「あらあら。貼りなおそうか。上手にご挨拶できて偉いね」
椅子に座ったのもつかぬ間。立ち上がると中田の元に行く。
「3年生だから、ばっちりご挨拶できるよ!」
えっへんと胸を張る中田にぱちぱちと拍手をすると絆創膏が取れたというところを見る。
膝は薄皮は張っているが、転んだあとがあった。
「どうしたの?」
「昨日の昨日の昨日に空手で転んだ」
昨日の昨日の昨日。3日前、一昨昨日単語か。
「へぇ~。空手してるんだ。かっこいいね」
そんな事を話ながら、絆創膏を貼りなおす。
「ありがとうございます」
去年はお礼は”ありがとう”だったのに。”ありがとうございます”丁寧なお礼が言えるようになったんだ。子供の成長って、本当に1年間で感じるわ。
それにしても、3日前にしては・・・。治りが悪いかしら?
「昨日の昨日の昨日。一昨昨日ってことは、始業式の次の日かな?」
「うんん。2回しか眠ってない」
「っということは、昨日の昨日かな?」
「うーん。始業式の次の日かな?」
「うん!」
「そっか。ちょっと、治るの遅いかなっと思うから綺麗にお風呂でもいいし。洗って綺麗綺麗にしておいてね」
「うん!」
ふふふ。
昨日の昨日の昨日。
2回しか眠っていない。
本人は大真面目なんだけど、なんだか、謎々みたい。
梨乃は今日も一日楽しんでねっと手を振り中田を見送った。
教育委員会はどう考えているのだろうか?
登校中に転んで保健室にやってくる子は一定数いる。
登校してきて、保健室の先生がいません。
単なる擦り傷ならばいいが、頭に大きなたん瘤をつくってやってきたり。
最悪の場合、転んで指を骨折してやってくるなんて例もある。
8時に登校をして、8時半までに階段でグリコをして捻挫。
運動場で雲梯をしていて、落ちて骨折なんてことは数年に一度、この学校で起こっている。
そんな子供たちの対応をするべく。8時までには出勤を行い。保健室を整えるのが私の仕事方針。
「それ、ボランティアだよな」
旦那は呟く。
「深く考えたらダメダメ!学校の先生、小学校なんてブラック企業よ」
しれっと仁美は答えると今日も7時45分に学校に到着、8時に登校をしてくる子供達を迎える準備を整えた。
「湯川先生。ちょっといいかな?」
「はーい!どうされましたか?」
やって来たのは校門の前で児童達を迎えていた校長先生と、新一年生の北条瑠璃。
「おはようございます」
梨乃は開けっ放しのドアから入ってくる瑠璃にしゃがむと、視線を合わせて朝の挨拶をする。
頬は赤くなっているが、表情などは困惑しているものの早急に対応しなければならない様子はない。
「おはよう・・・ございます」
おどおど答える瑠璃に仁美はにっこり微笑む。
「凄い!素敵に挨拶してくれて、ありがとう」
小さく拍手をすると、瑠璃は少しだけはにかむ。
校長は頬っと瑠璃の後ろで自分の頬を人差し指で触る。
これは、虐待か否か。確認よろしくっという意味。
小学校は児童虐待防止を日々行っている。
いきなり、どこで、とうやってぶつけたの?
入学したばかりの知らない大人に子供は真実は答えてはくれない。
この人になら話しても大丈夫っと安心感を与えることが真実を引き出す重要なポイントだ。
それが、虐待であれば信頼関係は絶対に必須。
穏やかに褒めると、ランドセルを下ろさせ椅子に座らせる。
「可愛いランドセルだね。自分で選んだの?」
今のアラサー世代以上の小学生の頃は、女の子は赤、男の子は黒のランドセルが一般的だったが。
今は赤、青、黄色、緑、ピンク、オレンジ、水色と色の数だけランドセルの色がある。
そして、色だけではなく刺繍であったりラメであったり装飾も煌びやかだ。
「うん!水色が大好きだから、これにしたの」
「そうなんだ。綺麗だわ。刺繍も可愛いね」
ふんわりとした笑顔、口調で優しさを前面に醸し出し好意を示し。好感を与えるために褒める。
まずはこの子に取り入ることが大切だ。
「うん!」
にっこり瑠璃は返事をする。
「頬、赤くなってるね」
「・・・うん」
本題に触れると、彼女は下を向いた。
「痛そうだから、氷で冷やしてもいいかな?」
「いいよ」
「ありがとう」
瑠璃の許可が下り、冷凍庫から氷を取り出す。
頬骨の一番高い位置という事は、こけた可能性が高い。
自分でこけたりする怪我は、体の出っ張ったところ。
頬骨、肘、膝などが多い。
頬骨の下、すね、腹部などは他社からの攻撃である可能性が高い。
「いつからかな?」
「・・・昔」
昔っという、回答に梨乃は微笑んだ。
ぶつけた時の色の変化は、赤、青、黄色となっていく。
この赤さは・・・。どんなに遡っても昨日の夜、いや。明け方程度か。
「一緒に思い出そう。朝、瑠璃ちゃんは目が覚めました。ほっぺはどうだった?」
「普通だった」
「じゃあ、そろそろ学校行こうかな。ほっぺはどうだった?」
「・・・普通」
「学校に向かって歩いています。ほっぺはどうかな?」
「・・・ダンゴムシがいて」
「うん」
「ダンゴムシを掴んだら、ランドセルが・・・ごんって頭から降って来たの」
「そっかぁ。痛かったね」
「うん」
瑠璃は俯く。
「ランドセルが落っこちてきて、ほっぺをぶつけちゃった?」
「うん。新しいランドセルが・・・下に落ちちゃった」
「そっかぁ。それはショックだね。汚れていないようだけど、ふきふきしとこっか」
「うん!」
瑠璃はそういうと、梨乃の渡したペーパータオルで服と笑顔に笑う。
「よしっ。じゃあ、ほっぺを1時間目のお勉強が始まるまで冷やしておいてください」
「はい!」
仁美は氷を手渡すと、瑠璃を教室まで送り担任に引継ぎ。
その後、校門に立っている校長に報告。
任務終了。
年齢を重ねるうちに1年前の事は最近だと感じてしまう。
子供の頃は、1年前は昔だったような気がする。
ふふふ。
登校中は”昔”の出来事か。
そんなに時間の流れがゆっくりなのかしら?
クスクス笑いながら保健室の来室記録簿に瑠璃の事を記入するのもつかぬ間。
「おはようございます。田代先生。2年1組になった中田祥子です。絆創膏とれちゃいました」
やって来たのは3年生の中田祥子。
「あらあら。貼りなおそうか。上手にご挨拶できて偉いね」
椅子に座ったのもつかぬ間。立ち上がると中田の元に行く。
「3年生だから、ばっちりご挨拶できるよ!」
えっへんと胸を張る中田にぱちぱちと拍手をすると絆創膏が取れたというところを見る。
膝は薄皮は張っているが、転んだあとがあった。
「どうしたの?」
「昨日の昨日の昨日に空手で転んだ」
昨日の昨日の昨日。3日前、一昨昨日単語か。
「へぇ~。空手してるんだ。かっこいいね」
そんな事を話ながら、絆創膏を貼りなおす。
「ありがとうございます」
去年はお礼は”ありがとう”だったのに。”ありがとうございます”丁寧なお礼が言えるようになったんだ。子供の成長って、本当に1年間で感じるわ。
それにしても、3日前にしては・・・。治りが悪いかしら?
「昨日の昨日の昨日。一昨昨日ってことは、始業式の次の日かな?」
「うんん。2回しか眠ってない」
「っということは、昨日の昨日かな?」
「うーん。始業式の次の日かな?」
「うん!」
「そっか。ちょっと、治るの遅いかなっと思うから綺麗にお風呂でもいいし。洗って綺麗綺麗にしておいてね」
「うん!」
ふふふ。
昨日の昨日の昨日。
2回しか眠っていない。
本人は大真面目なんだけど、なんだか、謎々みたい。
梨乃は今日も一日楽しんでねっと手を振り中田を見送った。
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