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第48話ランガの森ダンジョン編㉙

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「力がぁ、力がみなぎってくるぞぉぉぉ!」
 ミラーの声がダンジョン内に響き渡る。
 ミラーを包み込んだ闇が大きく膨れ上がり、祭壇全体を飲み込んだ。
「一体どうなってるのよ?」
「こっちが聞きてぇよっ」
 マリアとベックが剣を構える。
 やがて闇の中からミラーが姿を現した。しかし彼の体は人間のものではなく、巨大な植物性モンスターと化していた。ミラーの額には漆黒の魔石が埋め込まれている。
「敵であることは間違いなさそうね」
 ベネディクタが鞘からレイピアを抜く。
「生意気な小娘と冒険者風情がぁぁぁっ。ひねり潰してくれるわぁ!」
 植物性モンスターと化したミラーが巨大なツルを振り回す。
 マリアとベネディクタは攻撃を素早くかわし、並んで走り出す。
「ベックはそこの2人を退避させて!」
「なんでだよっ。ほっときゃいいだろ!」
「いいから早く!」
「チッ。しゃぁねぇな」
 ベックは不満そうに言いながら、マリアの指示通りシーモアとスコットを連れてその場から離れた。
「次の攻撃で散開して左右から同時にアタックする。いい?」
「OK!」
 ベネディクタの提案にマリアが同意する。

「死ねェェェッ。小娘ども!」
 ミラーが大木のような太さのツルを振り下ろした。
 マリアとベネディクタが左右に分かれて回避する。叩き下ろされた巨大なツルの衝撃により、床のレンガが砕け散り大きな亀裂が生じた。
「おいおい、なんつうパワーだよ……」
 ツルの一振りの衝撃でベックが絶句する。
「はぁぁぁぁ!」
 マリアとベネディクタが飛び上がり、剣を振り下ろす。
「グアァァァァッ!」
 ミラーのモンスターと化した胴体部分から緑色の血が吹き上がる。
 マリアとベネディクタがツルの攻撃を回避してミラーから離れる。

「手ごたえありね。通常攻撃が効いてる」
「ええ。あのツルの攻撃はやっかいだけれど、当たらなければ怖くないわ。防御度は低いようだから、反撃の隙を与えず一気に押し切りましょ」
 マリアとベネディクタが顔を見合わせて頷き、再びミラーめがけて走り出す。
「同じ手が通用すると思うなよぉぉぉ!」
 巨大なツルがすごいスピードで2人に迫る。
「やぁぁぁぁぁ!」
 マリアが前に出て大剣を縦に構えた。
 一直線に伸びてきたツルをマリアの大剣が両断する。
 その隙にベネディクタがミラーと間合いを詰める。
「こしゃくなっ!」
「遅いわ」
 ツルの攻撃を全て見切ったベネディクタがミラーの懐に入り、レイピアを胸部に突き刺した。レイピアがミラーの胸部を貫通し、引き抜くと同時に大量の血が流れ出る。とめどなく噴き出してくる血液が床を緑色に染めていく。
「はふっ……ふっ」
 その場にぐったりと崩れ落ちたミラーが、植物性モンスターと化した巨大な体をピクピクと震わせる。
「ベネディ、お見事」
「マリアのおかげよ」
 2人が安堵した表情でハイタッチをかわした。
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