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嵯峨野 樹悠

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最初は、怖い思いさせちゃったけど、少しは打ち解けてくれたかな??
まさか、夕方ぐらいからかな~って思ったら、もう来ていた。
俺を見た瞬間、匠彌君の後ろに隠れてしまった。
一瞬、しまったって思ったけど後の祭り。
しょうがないので怖がらせないように、グラサンを外して挨拶したんだ。

「これで大丈夫かな?」

そして、あらためて。
「始めまして。黒薮 啓威です。よろしくね。」

『伊奈波 伊織です。』
そう言って、握手した。

「(ん?あれっ?気のせいかな。)怖がらせてごめんね(苦笑)まさかもういると思わなくってさ」

『大丈夫。目を見たら、怖い人じゃないって分かったから。』
小さい声だったけど、ちゃんと聞こえた。

「謝らないで(苦笑)俺が悪いから。」
うん。俺が悪い。あれ?なんでそう思うんだろう。
いつもなら俺は無視するのに、ちゃんと俺のこと分かってくれたからかな。

第一印象は怖いってよく言われるんだよね。そんなつもりは全くないんだけど(苦笑)
おかげで、女の子から近寄ってくることはあんまりない。
いいのか悪いのか(苦笑)

伊織ちゃんは言葉数は少ないけど、普通に俺に接してくれたんだ。
初対面だから、緊張してるんだろう。
俺といると楽しいって思ってくれるといいなって思った。

色々話してると、伊織ちゃんは天然みたい(苦笑)
俺もよく言われるけど。
「大丈夫ですよ~。もう、伊織ちゃん、たー君って呼ぶ仲ですもん」

『ん?たー君って?』
匠彌君、ほんとにそんな話したの?(笑)

「あ~涙が止まんねー(笑)」
匠彌君は拗ねた。

ちょびっとだけ可哀想になったから、お会計を済ました後、俺も伊織ちゃんともう一歩踏み込んで仲良くなろうかなって。
だって、黒薮さんなんて呼ばれてさ。
啓威って呼ばれる方が多いから(苦笑)

『黒薮さん。ありがとうございました。また、お待ちしてますね』

「(苦笑)伊織ちゃん。黒薮さんはやめて?(笑)啓威でいいよ。もう呼んじゃったけど。伊織ちゃんって呼ぶし。」

『啓威さん』

「ごちそうさま。また明日ね。伊織ちゃん。あ・・・」

『ん?』

啓威は、伊織に耳打ちした。
「あとで、匠彌君に声かける時。たー君って呼んでみるといいよ。すぐ復活するから」

『分かった(笑)』

「じゃっ。弥眞斗君ごちそうさま。」
そう言って、俺はお店を出た。

明日から、楽しみが増えたな♪
でも、握手した時の違和感・・・あれが疑問として残るんだけど。

それが分かるのは、しばらく先の話

★★

無事初日が終わると
「折角、伊織ちゃん来たんですし、歓迎会しましょうよ」

「いいけど。遅くまでは駄目だよ?」

「えっ?」

「まだ秘密(苦笑)ねっ。伊織ちゃん」

『うん(笑)』
入る時、聞かれたんだ。

身元確認はちゃんとしなくちゃいけなくて、伊織もこの人だったら言っても大丈夫って思ったから、言える範囲は全部話した。
そしたら、分かってくれて受け入れてくれた。

「伊織ちゃんは、匠彌だけでは一緒にいちゃ駄目だからね。俺がいたらいいよ」

「なんでっ。」

「いずれちゃんと言うから。」
と、教えてはくれなかった。

『たー君ごめんね?』

「伊織ちゃんに言われたら、文句も言えない(´・ω・`)」

「(苦笑)」
だって、言えるわけないじゃない。
まだ、未成年だって。
オーナーである俺がちゃんと見ておかないと。

「そういえば、伊織ちゃんの名前しか知らないや」

『まだ、弥眞斗さんにしか話してないもん』

「だよね。よしっ。これから少しずつ、伊織ちゃんのこと知っていくから。色々教えてもらおう。」

『(笑)』
そして、伊織は歓迎会してもらった。

場所はファミレスで(笑)


何日か経って、伊織ちゃんも大分慣れてきたよう。
お客さんとも普通に喋れるようになったし、よく笑うようになった。

「弥眞斗君が、入れてくれるコーヒーも格別だけど。伊織ちゃんと喋れるのが楽しい」

『ありがと(照)』

「照れてる~今時、そんな子いないよ?可愛いねぇ」

『あ、もう時間ですよ~?お仕事大丈夫ですか?』

「( ゜д゜)ハッ! アポ取ってるんだった!!ありがと。行ってくるね~また明日!」

『行ってらっしゃい~』
扉まで行って見送った。
ランチの最後の客だった。

「伊織ちゃん。ご苦労さま。大分慣れてきたね」

『そうかな?まだまだ大変だよ~』

「最初に比べたらね。良く喋るようになったし。笑うようになった」

『人見知りするから(苦笑)慣れてきたのかな?』

「かもね。」

『弥眞斗さん』

「ん?」

『色々ありがと。ホントだったら・・・』

「大丈夫。誰にも言わないから。自分が言っても大丈夫って思える人にだけ言ったらいいよ。俺からは喋らないから」

『あ、弥眞斗さん』

「ん?」

『やっくんって呼んでいい?』

「いいけど。どしたの?急に」

『なんとなく(苦笑)呼んでみたくなったの。お兄ちゃんがいるんだけど、呼び捨てなんだ(笑)』

「へぇ~」
伊織ちゃんが、自分のこと話しだした。
少しずつ打ち解けてくれた証拠かな?

『お兄ちゃんと幼馴染の人は、呼び捨てなんだけどね。さすがに、それ以外の人は呼び捨てなんて無理だけど(苦笑)』

「そうなんだ。いいよ。伊織ちゃんの呼びやすいように呼んでくれたら。匠彌は?たー君のまま?(笑)」

『そう呼ばれるの嫌かな?』

「本人に聞いてごらん(笑)」

『うん』
すると、いつもの時間より少し遅めだった啓威がやって来た。
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