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36日目 誰か助け舟を〜!!
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「え・・・?」
僕の声からは、本当に情けない声が溢れる。笑われるかもしれないが、今までこのような経験がなかった故に、どう対処すればいいのか分からない。
「え~! なに、あいつマジで告白とかしてやんの~!w」
「ほんと! 草しか生えないわ~」
「このような場でいきなり他クラスの人が入ってきて何を言っているんだか」
「きゃ~! モテモテね。あの人!!」
やばい。色々な声が僕の耳から入ってくる。それも当然か。この学校始まって以来初めての男子学生なのだ。本来なら、このような教室のど真ん中で色恋に花を咲かせる光景など見られるはずがないのだろう。だが、そんなことは僕にとってはどうでも良かった。僕が、今しなければいけないこと。それは、この告白に対しての返事をどうするかだ!!
「あ・・あの・・・。返事の方を頂けないでしょうか・・?」
どうしよう、ついには催促されてしまった。
「あ~、そう・・・だね」
自慢ではないが、僕は今までの人生で彼女ができたことが一度もない。加えて、このような形で女子から告白されたことも当然皆無だった。それが、例え僕の思い描く彼女像と少し外れたところにいる女子生徒からでも、そう言ってもらえたのは確かに嬉しい。
「今、返事をしたほうがいいのかな?」
尋ねる僕に、女子生徒は一度横に視線を逸らし、もう一度僕の方を捉える。先ほどからしばしば見せる、この行為が僕の目には少し異様に映った。
「何か隣に気になるものでもあるのか?」
「いや、別に・・・」
僕はそう言いながら、視線を目の前の女子生徒がたびたび移す方向に移動させる。そこに、何か特別なものがあったわけでもない。どちらかというと、物に対して視線を奪われていたと言うわけではないようだ。だって、そこには後藤みやびと、その集団しか居なかったのだから。
僕は、その瞬間背中に悪寒が走る感覚に襲われる。そもそも、こんな事態に陥ることが一番悪寒を生じさせる状況だと言うことはひとまず置いておこう。そうではなく、会ったことも、話したこともない人間が人の目を気にしながら、僕に告白してくるとは、どういうことを意味するのだろうか。それに人の目を気にするタイプの人ならば、あえてこんな大衆の面前である、教室の中で告白をしてこないだろう。
僕は助け舟を求めるかのように、一美の方に自然な形で視線を送る。彼女もこちらに注目しているはずだ。きっと、僕がそっちを見たら目があって、何かしらのアクションを起こしてくれるはず!
だが、そんなものは淡い期待に過ぎなかった。彼女は、こちらを見てすらいなかったのだ! いや、彼女だけではない。彼女の取り巻きまでもが、今教室で起こっている事象に一ミリも興味を抱いてすらいなかった。
諦めるしかないのか? 僕は、このような体験をしたことがないから、どうすればいいのか分からないのだが、他の皆んななら分かるのだろうか? だが、僕だって男だ。男は、時に人に嫌われようとも行動を起こす時がある!
「分かった。ちょっと、僕についてきてもらえるかな?」
訂正。僕に、今の段階で大勢を敵に回す勇気はない。僕にできることは、今から振る彼女を誰の目にも触れないところで、僕の気持ちを伝えることだけしかない。というか、それしか方法が思いつかなかった。
僕の声からは、本当に情けない声が溢れる。笑われるかもしれないが、今までこのような経験がなかった故に、どう対処すればいいのか分からない。
「え~! なに、あいつマジで告白とかしてやんの~!w」
「ほんと! 草しか生えないわ~」
「このような場でいきなり他クラスの人が入ってきて何を言っているんだか」
「きゃ~! モテモテね。あの人!!」
やばい。色々な声が僕の耳から入ってくる。それも当然か。この学校始まって以来初めての男子学生なのだ。本来なら、このような教室のど真ん中で色恋に花を咲かせる光景など見られるはずがないのだろう。だが、そんなことは僕にとってはどうでも良かった。僕が、今しなければいけないこと。それは、この告白に対しての返事をどうするかだ!!
「あ・・あの・・・。返事の方を頂けないでしょうか・・?」
どうしよう、ついには催促されてしまった。
「あ~、そう・・・だね」
自慢ではないが、僕は今までの人生で彼女ができたことが一度もない。加えて、このような形で女子から告白されたことも当然皆無だった。それが、例え僕の思い描く彼女像と少し外れたところにいる女子生徒からでも、そう言ってもらえたのは確かに嬉しい。
「今、返事をしたほうがいいのかな?」
尋ねる僕に、女子生徒は一度横に視線を逸らし、もう一度僕の方を捉える。先ほどからしばしば見せる、この行為が僕の目には少し異様に映った。
「何か隣に気になるものでもあるのか?」
「いや、別に・・・」
僕はそう言いながら、視線を目の前の女子生徒がたびたび移す方向に移動させる。そこに、何か特別なものがあったわけでもない。どちらかというと、物に対して視線を奪われていたと言うわけではないようだ。だって、そこには後藤みやびと、その集団しか居なかったのだから。
僕は、その瞬間背中に悪寒が走る感覚に襲われる。そもそも、こんな事態に陥ることが一番悪寒を生じさせる状況だと言うことはひとまず置いておこう。そうではなく、会ったことも、話したこともない人間が人の目を気にしながら、僕に告白してくるとは、どういうことを意味するのだろうか。それに人の目を気にするタイプの人ならば、あえてこんな大衆の面前である、教室の中で告白をしてこないだろう。
僕は助け舟を求めるかのように、一美の方に自然な形で視線を送る。彼女もこちらに注目しているはずだ。きっと、僕がそっちを見たら目があって、何かしらのアクションを起こしてくれるはず!
だが、そんなものは淡い期待に過ぎなかった。彼女は、こちらを見てすらいなかったのだ! いや、彼女だけではない。彼女の取り巻きまでもが、今教室で起こっている事象に一ミリも興味を抱いてすらいなかった。
諦めるしかないのか? 僕は、このような体験をしたことがないから、どうすればいいのか分からないのだが、他の皆んななら分かるのだろうか? だが、僕だって男だ。男は、時に人に嫌われようとも行動を起こす時がある!
「分かった。ちょっと、僕についてきてもらえるかな?」
訂正。僕に、今の段階で大勢を敵に回す勇気はない。僕にできることは、今から振る彼女を誰の目にも触れないところで、僕の気持ちを伝えることだけしかない。というか、それしか方法が思いつかなかった。
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