きもちいいあな

松田カエン

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獣軍連邦潜入編

59.真夜中と早朝の来訪者

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 私の耳が、少しでもよくなっていて良かった。それでなければ、鍵が開く音を聞きとれなかっただろう。肌に馴染んで普段はほとんど意識することはない、細いブレスレットに触れる。
 誰が、部屋の外にいるのだろうか。余計な身じろぎでも、相手に気付かれそうで動けない。私は今下半身丸出しなのだが、服も着れない。

 息を詰めたまま、相手を伺っていると、鍵を開けた相手とは別に、明確な足音が近づいてきて、そして通り過ぎていった。おそらく孤児院運営にかかわる先生方の見回りだろう。基本は皆日中に活動しているが、獣の本能に引きずられて、夜活動してしまう子供も多いらしいしな。
 明かりでも手にしていてほしいと思うのだが、夜目の効く獣人は、ああしてなにも持たずに歩き回る者もいる。見えない者は明かりを持ち歩くが、正直見えても見えなくても、全員明かりは持っていてほしい。私が驚く。

 でも、その見回りの先生がなんの反応もしなかった。ということは、私の部屋の鍵を開けた人物は、もうそこには立っていないということになる。

 鍵が開いた、と思ったこと自体、何かの間違いだったのだろうか。変な夢を見ていた気がするし……。でも、気になる。
 私はそろそろと息を吐いて、なるべく物音を立てないように身体を起こした。素足のまま床に降り立ち、忍び足で部屋を横断してドアに近づく。私の勘違いであればいい。気のせいであってほしい。そう思いながらドアノブを回すと、私の希望とは別に、ゆっくりと開いでしまった。

「……」

 光石が夜間灯として、薄く周囲を照らしているが、人気のない周辺に、私はきょろきょろと視線を巡らす。部屋を出て数歩歩けば、木の外側の柵に当たるはずだ。それよりさらに向こう側は、ただ静かに巨大樹たちが薄明りに包まれて立っている。私の目ではあまりよく見えなくて、闇にしか見えない。
 急にぞくりと寒気を覚えて、私は慌てて部屋に入り、しっかりと鍵をかけた。そしてベッドに戻ると、乱雑に自慰の後始末をして、ジュストを抱き締め、布団の中に潜った。

 神経が高ぶっていて、どきどきと心臓の音がうるさい。

「ゆ……」
 無意識にユストゥスを呼ぼうとして、私は押し黙った。私が呼んでも、あいつが来ることはない。……。その事実をゆっくりと噛み締めた私は、ぬいぐるみの柔らかな腹に顔を擦り付けて、深呼吸を繰り返す。

 私の部屋の鍵を持っているのは、私と、院長先生だけだ。だが、ダーヴィト先生は人格者だと聞いているし、夜中に出歩くような人ではないと思う。それに、鍵も王国のものよりだいぶ簡素なもので、もしかしたら他にも合い鍵があるのかもしれない。
 ……私の部屋の鍵を開けている人物は、なんのために鍵を開けているのだろう。そこまで考えて、私は鳥肌が立つのを止められなかった。

 ユストゥスも持っていた、昏睡魔具。あれは王国では取り扱いが厳しく制限されているものだった。あれがもし、ここにあれば?侵入者は私の意識を奪って、この部屋で好きに活動することができる。私も騎士だから人の気配には敏感な方だが、それでも獣人たちはそれ以上に音もなく動く。……誰か、私がスパイだと気づいたものがいるのだろうか。今のところ、生活に馴染むことで精いっぱいで何もしていないが、やはり私が怪しいと気づく者もいるだろう。

 だって私は幼女らしい振る舞いなど、何もしていない。

 口調だって堅苦しいし、声だって低めだ。それに、こんなに筋肉もついてる幼児がどこに……あ、いや、まあ、私以上に雄々しいというか、逞しい子供はいるが、でもやっぱり。

 きっと、だれか私の部屋に入って、その物的証拠を探しているに違いない。トランクは魔力で私にしか開けられないようになっているし、トランクから持ち出しているのも、範囲転移機能付きのカトラリーと、通信用の魔具だけだ。少し見た目の変わっている通信魔具は、こうしてジュストに入れて、持ち歩いているから問題はないはずだし、カトラリーは大したものではない。魔石のない魔具を扱っていても、他の人からはただの道具にしか見えないのだから。

 きっと疑ってはいるが、確証が得られないから、毎晩ああして開けて侵入してくるのだ。きっと、そうに違いない。
 今まで以上に、気をつけなければいけないな。
 そう心に決める。理由がわからないと、それだけで恐怖心が煽られていたが、それが明確になれば問題ない。

 私は大丈夫だ。やれる。きちんとできる。

 そう自分に言い聞かせる。ユストゥスに相談しても、奴にできることなどなにもないだろう。これは潜入捜査中の私が、ちゃんと対応しなければいけない。だから内緒にしておこう。
 忙しそうにしているユスに、心労をかけてはいけないからな。あいつは、……あいつは私が嫌ってるから、私の元へは、来ないのだから。

 そうと決まれば、明日のために寝よう、と思うが、その日はなかなか寝付けなかった。その上、ようやく眠りに落ちたところで、早朝に部屋に遊びに来た子供たちに、おもにギィスとツェルリリに、鍵がかかっていることを、なぜか怒られてしまった。

「クンツ、俺は悲しいぞ。毎日開けて迎えてくれてたのに、急に締め出すなんてひどいぜ!」
「そうよ!あとその臭いぬいぐるみは、他のぬいぐるみと交換するべきだわ。あたしとおそろいのうさちゃんにしましょう!それで交換っこするの」
「あの、2人とも、クーちゃん眠そうだよぉ……」

 うとうとと眠りかけたところで、近所迷惑になりそうなぐらい部屋の外で喚かれて、無視もできずに開ければ、いつものように私のベッドの上が皆に占領される。
 私がジュストを抱えたまま、ベッドの端でこくりこくりと頭を揺らしていると、気を使ってくれたのはブラムだけだった。大猪獣人と大猩々獣人は、いつものようにうるさい。私も慣れてしまったので、むしろ今の方が寝れそうな気がしてきた。

「さあクンツ、今日も尻の匂い嗅がせろ!嗅ぐと元気になるんだー俺!なんかすっげえ走り回ったり、飛び跳ねたくなるんだよなあ!」

 なぜギィスは、こうも得意げなのだ。
 その『元気』は、ただ単に普通に欲情して、興奮してるだけのような気がする。そしてそれを動き回ることで発散しているのだ。指摘してもわからなそうだし、教えるつもりもないから言わないが。

「服は、ぬがすなよ……?」

 あまりにも匂い匂いとうるさいので、根負けして横になる。途端に、遠慮なく私の尻に顔をうずめたギィスは「あれ、なんかちんこ触った時の匂いもする?」と、私の精液の残り香まできちんと嗅ぎ取っていた。そしてしばらくすると、うひょう!と大興奮しながら飛び出していった。……大丈夫だろうかあいつは。興奮のしすぎで、木から落ちたりしないだろうか。
 そんな一抹の不安を抱えつつも、次に目の前に来た獣人、ツェルリリに、眠くて半目がちになったまま起き上がり、視線を向ける。

「クーちゃん、ぬいぐるみは変えないの?」
「わたしは、これがいちばんなのだ。ツェルリリだって、うさちゃんを変えろと言われたら、いやだろう」
 ぬいぐるみを抱き締めたままそう答えると、ツェルリリは唇を尖らせる。

「あたしのことは、リリって呼んでって、言ったでしょう。……でもやっぱり、おじさん臭いわよそれ。クーちゃんには似合わないわ」
「くさくても、にあわなくても、わたしがほしいのは、このぬいぐるみなのだ」
「もう……じゃあいいわ。今日もストールと交換でゆるしてあげる。はい」
「……」

 彼女は私に、自分の服についていた蝶々の形……リボンというらしいのだが、そのリボンを差し出して、代わりに私が普段身に着けている赤いスカーフを寄越せと言ってくる。抵抗する気も起きなくて、着替え用に畳まれた服からスカーフを取って差し出し、代わりにリボンを受け取る。

「ちゃんと尻尾に着けてね。尻尾がある女の子は、そこもおしゃれするんだから」
「私は女ではな「つけないなら、私がその尻尾むしり取ってあげる。絶対、ぜぇーったい、つけてね」」

 別にむしり取られても、私は痛くもかゆくもないが、獣人の弱点に対して、そんな風に告げるツェルリリの目が怖くて、押し黙った。猩々獣人のツェルリリは尾がないので、短いなりにもある私の尾になにか思い入れがあるらしい。
 ぬいぐるみの件といい、彼女は熊獣人としての私に、他の獣人に対してよりも、親愛の気持ちが強いようなのだが、その強すぎる思いを、少しは押さえてほしいところだ。

「わかった、ツェ……リリ、ちゃん」
「うふふ!じゃあまたあとでねクーちゃん!ほらブラム、行くわよ」
「わ、待ってよぉ」

 上機嫌になったツェルリリがスカーフで首元を飾りながら、ブラムを連れて部屋を出ていく。どすどすと足音が遠ざかるのを待って、私はようやく寝れそうだと布団に横に……。

「おはようクンツ。ギィスが騒いでたけど、今日はちゃんと鍵かけられたのか」
「ライニール」

 するりと入ってきて、私のベッドに座る黒豹に、私はもう一度身体を起こしながら困惑の表情を向けた。最近はこうして悪童たちが立ち去ってから入ってくる。ライニールは子供たちの監督役ではないのか。そう睨みつけるが、ライニールは気にした様子も見せなかった。それどころか、私と距離を詰めてきて、「あれ」と目を見開く。

「クンツから、男の匂いがする。でもこの匂いは、クンツの匂い?……もしかして、もう精通したのか?」
「っ、」
 急にそう言われて面食らった私が、言葉を詰まらせたのをどう受け取ったのか、ライニールが言葉を続けた。

「男はちんちんから、白い液体を出すんだよ。クンツも、あんなに甘い匂いするのに……男の子なんだよな。クンツ、ちんちんの触り方とか知らないだろ。俺が教えてやるよ」
「えっ……と」

 ここはいらない、と否定してよいところだろうか。獣人は、10歳前後から交尾ができるようになる。私は、王国にいる間、性奴隷だった。という嘘の経歴を知っているのは、それを言いだしたユストゥスとドゥシャン、そして孤児院では院長先生だけだ。
 今まではユストゥスのところでしか性行為しなかったから達することはなかったし、その後は洗浄魔具で清められていたから、私から精液の匂いがすることなどなかったのだろう。……昨日、初めて、群青騎士になってから初めて、自分で自分を慰めたのだし。

 つまり私は日ごろ、子供たちから散々セクハラを受けているが、彼らからしてみれば、私は何も知らない、自分と同じ無垢な子供と思われているのだ。
 私は無言で、ライニールの顔をじっと見つめる。ライニールは私を安心させるようにか、ゆっくりと頷いた。

「大丈夫、怖くないって。俺も最初はビビったけど、すぐに慣れたし。子供部屋でも、年長者から教えてもらうもんなんだ」

 初めての射精について、面白おかしく自分の体験を教えてくれるライニールに、他意はなさそうだ。いや、でもしかし。そんな葛藤をよそに、向かい合うように座ったライニールは、私のパジャマズボンのひもを引っ張ってほどくと、あっさりと私の下着の中に、手を潜り込ませてしまった。私は慌ててその腕を掴む。

「っライニール!」
「大丈夫だから。ほらこうすると、気持ちいいだろ?」
「あ、あっ」

 ライニールが手慣れた様子で私のペニスを弄り始めた。小さく声を漏らす私に、気を良くしたのか、ライニールはさらに身体を密着させてくる。ずるっと私の性器が引っ張り出された。外部からの刺激で、それはすでに半勃ちだった。
 最近ドゥシャンと交尾するときによく前を弄られるので、ここも私はすっかり弱くなってしまった。

 後ろといい、前といい、私の身体はとても素直に、淫乱だと、自分でも思う。……皆に欲情してもらえる、ド淫乱になれただろうか。その昔、エリーアス様に駄目出しされたことが懐かしい。
 そんな風に意識を逸らした途端、先端の溝に軽く爪を立てられて、私はひと際大きな声を上げてしまった。

「あっ!だめ、っだ、ライニール……!」
「大丈夫だって。ほら、くちゅくちゅしてきた。これは精液出す前に出てくるやつなんだって。こうして塗り広げると……」
「ひ、っぁ、あっ」

 ぬちぬち、と仮性包茎の、皮を上下に揺らされて、陰茎をしごかれる。確かに、気持ちいい。気持ちいいが……これ、おまんこが、反応してしまう……!
 いつも性行為がワンセットのせいか、改めて意識すると、魔肛が疼くのを止められない。前が刺激されると、条件反射のように淫孔がひくんと震えた。

「ライニール、頼むから、やめてくれっ」
「痛い?初めてだもんな……よし、俺が舐めてやるよ」

 まだ成人前の子供とは、交尾してはいけない。私が首を横に振って嫌がると、何を勘違いしたのか、ライニールは私の股間に顔をうずめて、ぱっくりと、ペニスを咥えてしまった。



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