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◎二年目、一二月の章
■ライブってこんな感じ
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体育館のステージ前。久遠は東方旅団のメンバー一人一人に一本の棒を渡していく。
「何だよ、これ?」
晴に聞かれると久遠が実演で答える。
「これはサイリウムライト」
久遠がスイッチを押すと赤い電光が浮き上がる。
「さらに何回かスイッチを押すことでライトの色が変わる」
赤い色が黄色に変わったり、青く変わったりする。
「……それをどうしろってんだよ?」
「色はとても重要だよ。推しのパーソナルカラーを振ることが本人を応援することになるんだ」
「んなもん、わかんねえじゃねえか。そもそも何だよ推しって」
「いにしえの言葉だと思う。応援したい子をそう呼んだときがあるんだって」
「久遠先輩、とりあえずどうしたらいいか教えてほいっす」
賢治である。
「歌がはじまるだろ。そしたら自分の好きな色でいいからサイリウムライトをつけて振りまくるんだ。その際、隣の人にぶつけないように」
一同はうんうんと頷きながら聞いている。
「名前を覚えていたら、その子の名前を呼んでもオーケーだから」
久遠は女の子の顔写真と名前が載ったチラシを配布する。
「みんな可愛いな」
「俺、右端の子がタイプっす」
「それじゃあそろそろ開演するから」
それと同時に幕があがり、曲が流れだす。
「はじめて聞く感じよね」
「歌なんて聞いたり歌うのは童謡くらいだもんね」
里奈と由芽がこそこそと話している。
『みんなー! 今日はきてくれてありがとー!』
現れたのはひらひらの煌びやかな衣装を着た五人の少女たちである。
そのセンターには桐香がいて、先ほど喋ったのも彼女である。
『今日は東方旅団さんのためだけの特別講演なので、目一杯楽しんでもらえるよう頑張ります!』
一番端にいる娘が言った。12期生くらいかなと思える。いかにも頑張り屋で応援したくなる感じだ。
「晴先輩、あんな娘もいるんすね……。俺、感動っす」
「このクランにいてはお目にかかれない珍しいタイプだよなぁ」
晴も同意とばかりうんうんと頷いている。
「なんでしょうか。遠回しにディスられてる感じがします」
「あいつらは後から締めてもいいわよね」
蘭々と頼果が二人を睨んでいた。
それから踊りながら歌う姿を見せられた東方旅団の面々は痛く感動するのだった。
「何だよ、これ?」
晴に聞かれると久遠が実演で答える。
「これはサイリウムライト」
久遠がスイッチを押すと赤い電光が浮き上がる。
「さらに何回かスイッチを押すことでライトの色が変わる」
赤い色が黄色に変わったり、青く変わったりする。
「……それをどうしろってんだよ?」
「色はとても重要だよ。推しのパーソナルカラーを振ることが本人を応援することになるんだ」
「んなもん、わかんねえじゃねえか。そもそも何だよ推しって」
「いにしえの言葉だと思う。応援したい子をそう呼んだときがあるんだって」
「久遠先輩、とりあえずどうしたらいいか教えてほいっす」
賢治である。
「歌がはじまるだろ。そしたら自分の好きな色でいいからサイリウムライトをつけて振りまくるんだ。その際、隣の人にぶつけないように」
一同はうんうんと頷きながら聞いている。
「名前を覚えていたら、その子の名前を呼んでもオーケーだから」
久遠は女の子の顔写真と名前が載ったチラシを配布する。
「みんな可愛いな」
「俺、右端の子がタイプっす」
「それじゃあそろそろ開演するから」
それと同時に幕があがり、曲が流れだす。
「はじめて聞く感じよね」
「歌なんて聞いたり歌うのは童謡くらいだもんね」
里奈と由芽がこそこそと話している。
『みんなー! 今日はきてくれてありがとー!』
現れたのはひらひらの煌びやかな衣装を着た五人の少女たちである。
そのセンターには桐香がいて、先ほど喋ったのも彼女である。
『今日は東方旅団さんのためだけの特別講演なので、目一杯楽しんでもらえるよう頑張ります!』
一番端にいる娘が言った。12期生くらいかなと思える。いかにも頑張り屋で応援したくなる感じだ。
「晴先輩、あんな娘もいるんすね……。俺、感動っす」
「このクランにいてはお目にかかれない珍しいタイプだよなぁ」
晴も同意とばかりうんうんと頷いている。
「なんでしょうか。遠回しにディスられてる感じがします」
「あいつらは後から締めてもいいわよね」
蘭々と頼果が二人を睨んでいた。
それから踊りながら歌う姿を見せられた東方旅団の面々は痛く感動するのだった。
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