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◎二年目、一二月の章

■玲美は憤る

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「ホント信じられないわ!」

 玲美は怒り沸騰していた。

「久遠はあの里奈ってとそれなりの付き合いなんでしょ」

「思ったことが口に出てしまうんだ。許してやってくれよ」

 久遠はなだめようとしたのだろうが、玲美の一睨みで一蹴される。

「あと、逃げないからさ。手は離してくれると嬉しいかな」

 玲美は久遠の手をずっと握っていたことに気がつく。

「……嫌なの?」

「そういうわけじゃないけどさ」

「じゃあ、このままでいいじゃない」

 玲美からすればこの距離感が普通だった。昔のままではいけないのかという玲美の問いかけである。

「それでどこへ行くの?」

 それについてはわかったと久遠は玲美に従うことにしたようだ。

「うーん。とりあえず私が所属している皇会の拠点にでも行きましょうか」

「……わかったよ」

 大手と中小クランの大きな違いはやはり縄張りがあることだろう。たいていはショッピングモールとかのいい狩場を手中に収めている。

 ちなみに東方旅団はかなり特殊だと言っていい。一連ことがあり、一目置かれているようになっているからだ。

「久瀬先輩にメッセージ送っておいたから」

「なあ、聞いていいかな? どうしてあの日僕を置いて先に東京へ向かったのか」

「……怒ってるでしょ」

 玲美は泣きだしそうにな表情を浮かべる。

「当時はね。でも、もう一年以上も前のことだ。いまは元気そうで安心してる。でもさ、久々顔を合わせてあの態度はなかったんじゃないか。世里姉も心配させてさ」

「……ごめん。あの時は三月生まれってだけで馬鹿にされてたし、うかうかしていられなかったの。だから、先に行っちゃった。……でも、いまは後悔してる」

 それは本当だった。久遠の顔を真正面から見てしまって自覚してしまったのだ。

「ねぇ、久遠とこれからは一緒がいいって言ったらダメかな?」

 久遠は少し驚いたようなともすれば照れてるような顔になる。

「どうしたの?」

「何か告白みたいだったからさ」

 久遠は頬を掻いている。

「は? 馬鹿じゃないの」

 辛辣な言葉を投げ返すも玲美は久遠の握る手を決して離さなかった。

 解釈は好きにさせればいいと玲美は思うのであった。

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