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◎二年目、十一月の章

■学園祭は終わって

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「玲美ちゃんに出会ったの?」

「後夜祭で薄暗かったですけど、間違いないと思います」

 久遠と世里は学生寮の縁側で二人で話をしていた。

 談話室が騒がしいのはもういつものことだ。ましてや学園祭のあとの宴会なのだ。騒がない方がおかしい。

 そんな中、世里と久遠は宴会を抜けて話をしていた。

「とりあえず元気にしてたのね。よかったわ」

 世里は胸をなで下ろす。いままで音沙汰がなかったことを思えば大きな進歩だろう。

「でも、足跡を追うには手がかりが少ないんだよ」

「そうねぇ」

 後夜祭は招待制ではあるのだが、それは個人を特定させるためのものではない。

「とりあえず僕なりに玲美を探してみるよ」

「それなら私も知り合いにあたってみたりするわね」

 そんな会話をしていると明里が久遠の名前を呼んでいるのが聞こえた。

「それじゃあ戻ろうか」

「ええ」

 久遠と世里は苦笑いを浮かべながらも談話室へ戻る。

 久遠はすぐさま明里と乃々子に連れて行かれてしまう。

 世里はふと宗太郎と瀬名の姿を見つける。二人は肩を並べて座っていた。

「もともとお似合いだったけど、やっぱりお似合いね」

 その二人の前に世里は座る。

「ありがとう。君たちのおかげだよ」

「そのお礼は芦原くんがリーダーになってからでどうかしら?」

「あら、私が支えるんだから宗太郎がなるわよ」

 どういう根拠の自信なんだかと世里はおかしくて笑みを浮かべる。

 まあ、とはいえ結果オーライもしれない。自分がクランを抜けたことは。とりあえずこの二人を見れば胸をなで下ろせるからだ。

「江波くんだったね。妹が世話になっていると聞いている。ほら、一杯飲もうじゃないか」

「もう兄さん、先輩が萎縮しちゃいますから」

 晴に羅来兄妹が絡むという珍しい光景が見えたが、晴はあまり楽しそうではなかった。

 いつも女の子に鼻の下を伸ばしているのだ。たまには痛い目を見ればいいと世里は思う。

 と同時に晴を目線で追ってしまっている自分に気がついてしまうのだった。いけないいけないと頭から晴のことを振りはらおうとする。

「どうしたの?」

「ううん。何でもないわ」

 世里はまだこの気持ちの正体を考えたくもなかった。

 ただ、晴がどうでもいい人ではなくなりつつあることは自覚しつつあった。
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