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◎二年目、一〇月の章

■再び封印石

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 お社の台座に再び封印石が置かれる。

 すると周辺の空気というかが清浄になっていく。

「強いのか弱いのかわからん奴だったな」

 克馬が拍子抜けしたとばかり水呉に語りかける。

「しかし、閉じこめられた状態で死の宣告を受けたのも事実だ。我々は判断を誤ればで全滅していたに違いはない」

「となると、俺たちは東方旅団に救われたってことになるな」

「彼らが動くことで、一〇年の間わからなかったことが徐々に解き明かされている。私は彼らへの後押しは必須だと考える」

「だったら日を改めて会議をしたほうがよさそうですね」

 博文が提案する。

「そうしよう。とはいえ、今日はもう解散した方がいいだろうな」

 水呉はそのように締めた。

「日中にまでとか何でもありよねぇ」

 里奈は思わずため息をつく。

「里奈ちゃんはそれでもすごいよ。怨霊なんて私は見ただけで震えちゃったのに少しも臆さなかった」

「対策ができていれば、そんなに怖くないわよ。由芽だってここまでついてきたんだから、私が立派だって言うんなら、由芽も立派でしょ」

 その言葉に由芽は最初目を丸くするも、すぐに笑顔を浮かべながら「そうかもね」と返した。

「でも、対策しておかないと封印スキルが通らないなんてねぇ」

「鎧蛇の時もそうだったけど、まるでこちらの対策をしてきているようだった」

 久遠が話に入ってくる。

「君たちが三人揃えば少なくとも東京迷宮に存在する魔物は倒せる。けど、攻略法も必要になるということなのかも」

 博文が考察を述べる。

「まあ、強制ログインゾーンの魔物はあきらかに通常のプレイヤーが戦うように設定してませんからね」

「そうなんだよね。ある意味クソゲーじみてるっていうか」

 博文は苦笑いしている。

「いままでゲームの攻略っていうよりはサイクルの中で生きているって感じだったのよね。何かそれが変わったって気がするわ。うまい表現ができないけど」

 頼果は首を傾げている。

「いまさらだけど、東京迷宮って攻略したあとはどうなるの?」

 里奈は疑問を口にする。

 言われてみれば先を誰も経験したことはない。

「エンディング迎えてきれいさっぱり終わるって感じじゃないのよね」

 そうなのだろうか?

 そうなのかもしれない。

 里奈が口にした予感。

 その真実はどこへ向いているのか。

 この時はまだ誰も答えられなかった。

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