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◎二年目、七月の章

■三人は海の近くへやってくる

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 朝風呂からチェックアウトまでダラダラしてしまい、気がつけば朝の一〇時をまわっていた。

 朝食は近くのコンビニで軽食を買ってすませると、公共機関を利用して臨海の方まで来ていた。

 梅雨明けして青々とした夏空が海の向こうまで広がっている。

 さんさんと照りつける陽光にじりじり灼かれるのを避けるため三人は日陰にいた。

「この炎天下でレベリングするの?」

 由芽はうんざりした口調で久遠に訴える。圭都に至っては近くのベンチに寝そべっている。

「そうだね……」

 場所は考え直した方がいいかもと久遠が言う。当然だろうと由芽は思った。

「天候だけじゃなくて季節にも左右されるんだね」

 外で狩りをしている人間がいないわけではないが、それでもまばらだった。

 近くには大きなイベント会場がある。ここ一〇年間は目立った利用がない代わりに日中は開放されて自由に出入りが可能となっていた。

「そこなら涼しいかな?」

「どうだろ?」

 行ってみないことにはというのが久遠の意見である。

「それって今日しないといけないの?」

 圭都は乗り気でないと暗に伝えてくる。たしかにそう言われるとという話ではあるのだが。

 由芽は久遠と顔を見あわせる。

「何かいい案はあるかな?」

「そこは僕に丸投げなんだね」

 久遠はそう言いながらも検索をしてくれる。

「ショッピングモールとか屋内プールのあるところがあるね」

「何でプール?」

「夏っぽいものを入れておこうと思って」

「それでプールなんだ……」

 そもそもプールで何をするんだと由芽は思う。

「ショッピングモールがいいかな」

 圭都はそう言いながら気力を振り絞って立ちあがる。

「ショッピングモール内って広かったよね。そこでログインできないかな?」

 基本的に魔物がポップされるのは野外、それに公共施設内などだ。おそらくショッピングモールもそのカテゴリーに当てはまるはずだ。

「空調の効いているだろうし文句もないか」

 ここが妥協点かと久遠はつぶやく。

 暑いのは誰も彼も一緒であると、そういうことなのだろう。
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