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◎二年目、四月の章

■里奈と由芽はは久しぶりに夜な夜な何を語るのか

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 里奈と由芽はそれぞれの布団の中に入るとついていた灯りが自動で消える。

「最近ね。身長はそこまで伸びてないんだけど、胸のあたりとかお尻のあたりが大きくなったみたいで……」

 自分は身長どころか胸もお尻も大して変わっていないのだがと里奈は声に出さず叫んだ。

 由芽が里奈の服を着たとき里奈はあまりに白々しい返事をした覚えがある。

 成長には個人差があって、きっと自分も由芽に負けないくらいの成長をするに違いないと里奈は思うことにした。

「いいじゃない里奈ちゃんはスレンダーで可愛らしいんだから」

「よゆーのつもり?」

 ここ一年は自分を特に誰かと比べる必要がなかったので、由芽の成長度合いを見せられるとさすがに胸にくるものがある。

「そう聞こえるなら謝るけど?」

「それはそれでムカつくからイヤ」

 里奈ははっきりと言う。里奈のこういう性格を嫌う人もいる。一方で由芽のように笑って流してくれるもいるのだ。

「……里奈ちゃんに連絡しても、また無視されるかなって思ったけど」

 由芽はいまどんな表情をしているのだろうか。里奈は暗がりの中を想像するしかなかった。

「助けてって言ったら、ちゃんと来てくれたね」

 由芽は一年間どんな思いで過ごしていたのだろうか。その口調は淡々としたものだ。

「やっぱり里奈ちゃんは私のヒーローだよ」

「買い被りすぎ」

 里奈は自嘲気味に笑った。ではと思うのだ。久遠がいなかったらどうしていたのかと。それについての答えはいまだにでていない。

「私、里奈ちゃんにひどいことしたよね。友達なのに……いちばんの友達だと思ってたのに」

 里奈がクランから追放された件のことだろう。たしかに追放されるまで由芽との関係はギクシャクしはじめた。

 一方で追放されたあとに由芽を一方的に拒んだのは里奈のほうだ。

「……一緒に寝る? ベッド狭いけど」

 由芽は「うん」と言って頷いた。

 それだけで里奈の心のわだかまりのようなものが少しだけほどけたような気がした。
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