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◎二年目、四月の章
■準備画面はログアウト中でも開けることを再認識する
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里奈は学生寮で寝泊まりしている。今まで意識すらしなかったが、久遠も同じ寮だった。
しかも隣部屋である。これでお互い会話がほとんどなかったのだから驚きだろう。
もっとも時代としてはおかしくも何ともなく、よくあることでもあった。
「ログアウトしていてもメニュー画面は開ける。だから装備変更も可能なのは承知していると思う。ついでにバザーへのアクセスもできるから買い物もできる」
久遠からフレンド申請が届く。里奈はそれを承諾する。
「フレンド登録すると個別でトークができる。あとアイテムやお金の譲渡もね」
久遠から式神が三〇枚送られてくるのを里奈は受領した。
「こんなにもらっていいの?」
「貸しを一つということでいいよ」
久遠は制服から私服に着替えていた。里奈は対照的に制服のまま。
「万倍で返してやるわ」
お金のやりくりは厳しいが、支給されるもので今日まで生きてきた。その代わり、ほぼ贅沢とは無縁な生活であった。
「期待しておくよ」
二人は談話室にいた。二人しかいないので貸し切り状態だ。
どちらかの部屋でもよかったのだが、ベッドのある部屋というのが里奈は嫌だった。
もっとも久遠がいまさら何かをしてくるようには思えなかった。
この少年はそういうことはしないと根拠のない確信めいたものがあったからだ。
「そろそろ行こうか」
久遠が立ちあがると里奈もそれに続く。
夜が迫りつつあった。
しかも隣部屋である。これでお互い会話がほとんどなかったのだから驚きだろう。
もっとも時代としてはおかしくも何ともなく、よくあることでもあった。
「ログアウトしていてもメニュー画面は開ける。だから装備変更も可能なのは承知していると思う。ついでにバザーへのアクセスもできるから買い物もできる」
久遠からフレンド申請が届く。里奈はそれを承諾する。
「フレンド登録すると個別でトークができる。あとアイテムやお金の譲渡もね」
久遠から式神が三〇枚送られてくるのを里奈は受領した。
「こんなにもらっていいの?」
「貸しを一つということでいいよ」
久遠は制服から私服に着替えていた。里奈は対照的に制服のまま。
「万倍で返してやるわ」
お金のやりくりは厳しいが、支給されるもので今日まで生きてきた。その代わり、ほぼ贅沢とは無縁な生活であった。
「期待しておくよ」
二人は談話室にいた。二人しかいないので貸し切り状態だ。
どちらかの部屋でもよかったのだが、ベッドのある部屋というのが里奈は嫌だった。
もっとも久遠がいまさら何かをしてくるようには思えなかった。
この少年はそういうことはしないと根拠のない確信めいたものがあったからだ。
「そろそろ行こうか」
久遠が立ちあがると里奈もそれに続く。
夜が迫りつつあった。
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