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第五十七頁
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「何もない空間」。もとい、「創り出されたゆめの家」。
「どういう意味じゃ?」
ゼウスが静かに聞くと
「ゆめに何をさせようとしているのか、目的を教えて下さい。」
頭をテーブルに擦り付ける。
その姿を見て、ゼウスがパパの肩に手をやった。
「そんなに心配せんでもよい。全てはゆめの希望なんじゃよ。」
「希望って…ゆめがですか?」
「そうじゃとも、今持っている力は、全てゆめの能力なのじゃよ。儂らは、そのゆめの希望が叶うように、手を貸しているに過ぎん。」
「例えばじゃが、どうやって今、儂らと君達がこうやって、会えとると思う?」
「それは、ゼウス様の力の賜物では?」
「違う、儂にもこんな力はない。これは君達が儂らに会いたいと言っていたから、ゆめの力の応用で儂らに会えとる。」
「この技は、簡単に出来るものではない、きっとゆめは、君達に喜んでもらいたい一心で、必死に練習したんじゃろう。」
「元々は―今でもそうじゃが、本の世界、所謂、仮想世界の中でのみの能力だったのじゃが、今はそうでもなくなっての…」
「と、言いますと…」
「ゆめが読んだ本の世界が実際の宇宙に創造されてしまう様になったんじゃ。もう、150は新たな星が存在しとる。」
「それは、ゼウス様の力なのでは…」
「そうじゃ、ゆめは儂に接触すると言うきっかけを持って、能力が開花したと言ってもよい。」
「でも、ゆめの場合は、本と言う世界を宇宙の何処かに、作るだけの能力ですよね?」
「それが、そうでもないのじゃよ。」
「ゆめは、噺を一から作ることが出来る。この意味、解るかの?」
「それは、ゆめが書いた噺の世界が宇宙の何処かに、産まれると言うことですか?」
「左用。儂の創造の力に似とるの。当然、ゆめが創造した世界にも生命をもつ者がいる。」
「更には、消しゴムで消す事も出来る。」
「それは破壊の力と言う事ですか?」
「そう。じゃから、これからは儂らが、観察もしなくてはならないのじゃ。」
「それは、どういう意味ですか?」
「それは、ゆめが人間と言う事じゃよ。」
「人間だから?」
「左用。人間という生き物は、とにかく弱い。すぐに流されるし、傲慢にも怠慢にも堕落さえ、すぐになってしまう、弱い生き物よ。」
「まぁその点は、今のゆめには、心配はなさそうじゃが?」
「それは、どういう…」
「それは、パパさん、ママさん、おじさんの仲が、非常に良いという環境で育っておるからじゃ。」
「ましてや、そなた達のゆめへ注ぐ愛の量はものすごいものじゃ。こんな環境で育った人間は愛情深い。じゃが、騙されやすい…。」
「そこの部分を、しっかりと教育してやらなければならないのが、そなた達や儂らの仕事となる。」
「しかし、人に騙されたとして、何に影響が及ぶのでしょう。」
「ふむ。」
「今日、ゆめにされた事が、どういう事か解っとらんのか?」
「ここに連れてきた事ですか?」
「左用。ゆめは、本だけの仮想世界だけではなく、現実世界にも干渉が可能な存在になってしまったのじゃよ。もし、ゆめが、この世界を嫌になったり、ゆめの能力を知った者達が、ゆめを利用しようとしたら、どうなると思う?」
「…この世界の消失ですか?」
「左用。ゆめは余りにも大きな力を手に入れてしまったものよ…。」
「皆さ~ん、オヤツが出来たわよ~って、何?皆で暗い顔をして?」
「お~、そうじゃった、ヘーラー。すまんが儂はコーヒーと言うものが、飲みたいのう。」
「どういう意味じゃ?」
ゼウスが静かに聞くと
「ゆめに何をさせようとしているのか、目的を教えて下さい。」
頭をテーブルに擦り付ける。
その姿を見て、ゼウスがパパの肩に手をやった。
「そんなに心配せんでもよい。全てはゆめの希望なんじゃよ。」
「希望って…ゆめがですか?」
「そうじゃとも、今持っている力は、全てゆめの能力なのじゃよ。儂らは、そのゆめの希望が叶うように、手を貸しているに過ぎん。」
「例えばじゃが、どうやって今、儂らと君達がこうやって、会えとると思う?」
「それは、ゼウス様の力の賜物では?」
「違う、儂にもこんな力はない。これは君達が儂らに会いたいと言っていたから、ゆめの力の応用で儂らに会えとる。」
「この技は、簡単に出来るものではない、きっとゆめは、君達に喜んでもらいたい一心で、必死に練習したんじゃろう。」
「元々は―今でもそうじゃが、本の世界、所謂、仮想世界の中でのみの能力だったのじゃが、今はそうでもなくなっての…」
「と、言いますと…」
「ゆめが読んだ本の世界が実際の宇宙に創造されてしまう様になったんじゃ。もう、150は新たな星が存在しとる。」
「それは、ゼウス様の力なのでは…」
「そうじゃ、ゆめは儂に接触すると言うきっかけを持って、能力が開花したと言ってもよい。」
「でも、ゆめの場合は、本と言う世界を宇宙の何処かに、作るだけの能力ですよね?」
「それが、そうでもないのじゃよ。」
「ゆめは、噺を一から作ることが出来る。この意味、解るかの?」
「それは、ゆめが書いた噺の世界が宇宙の何処かに、産まれると言うことですか?」
「左用。儂の創造の力に似とるの。当然、ゆめが創造した世界にも生命をもつ者がいる。」
「更には、消しゴムで消す事も出来る。」
「それは破壊の力と言う事ですか?」
「そう。じゃから、これからは儂らが、観察もしなくてはならないのじゃ。」
「それは、どういう意味ですか?」
「それは、ゆめが人間と言う事じゃよ。」
「人間だから?」
「左用。人間という生き物は、とにかく弱い。すぐに流されるし、傲慢にも怠慢にも堕落さえ、すぐになってしまう、弱い生き物よ。」
「まぁその点は、今のゆめには、心配はなさそうじゃが?」
「それは、どういう…」
「それは、パパさん、ママさん、おじさんの仲が、非常に良いという環境で育っておるからじゃ。」
「ましてや、そなた達のゆめへ注ぐ愛の量はものすごいものじゃ。こんな環境で育った人間は愛情深い。じゃが、騙されやすい…。」
「そこの部分を、しっかりと教育してやらなければならないのが、そなた達や儂らの仕事となる。」
「しかし、人に騙されたとして、何に影響が及ぶのでしょう。」
「ふむ。」
「今日、ゆめにされた事が、どういう事か解っとらんのか?」
「ここに連れてきた事ですか?」
「左用。ゆめは、本だけの仮想世界だけではなく、現実世界にも干渉が可能な存在になってしまったのじゃよ。もし、ゆめが、この世界を嫌になったり、ゆめの能力を知った者達が、ゆめを利用しようとしたら、どうなると思う?」
「…この世界の消失ですか?」
「左用。ゆめは余りにも大きな力を手に入れてしまったものよ…。」
「皆さ~ん、オヤツが出来たわよ~って、何?皆で暗い顔をして?」
「お~、そうじゃった、ヘーラー。すまんが儂はコーヒーと言うものが、飲みたいのう。」
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