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ハイマギーの森編
0140 聖属性魔法使いを探して
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異世界に帰って来た。
「オウカ殿!」「ご主人様!」と皆が出迎えてくれるのだが、どこからか熱い視線を感じる・・・。
その視線の主は「サン」。舌なめずりまでしているが、親父の修行のせいか、前ほどの恐怖感を感じないようになっていた。
「玲子は⁉」
「ここよ、お帰りなさいって、キャッ!」
桜花は玲子を抱き寄せ濃厚なキスをする。その原因は、発散できなかったのと、サリーナのお陰で以前より元気になっていた為である。
俺はそのまま玲子を抱え上げ、俺の寝室へと急ぐ。玲子も俺に身体を委ねている。
その日の二人は、朝まで部屋から出ることはなかった。
翌日の朝。
「これから、リョウタの所に行こうと思うんだ。」
俺は朝からクロゲワギュウステーキを食べている。
その肉を切る手の動きや仕草などを、玲子はうっとりとした目で見つめていたのだが、玲子、聞いてる?の言葉に我を取り戻し「随分と急ね?サリーナ様に言われたの?」
「いや、ムッタ棟梁にリョウタが何とかしてくれるって言ってたし、ドワーフ国へまだ帰れないとの伝言も頼まれたんだよ。」
俺は玲子に顔を近づけ、小さな声で「今、サンに襲われたらどうなるか解らんし、決定打を打っておきたいんだよね。」
「ああ、それもそうね。」
「今回は誰をお供に連れて行くの?」
「すぐに帰ってくると思うから、ジギルとローズだけでいいんじゃないかと思ってる」
「それは、ズルいです!」と言って来たのは嫁達。
「いつもいつもローズさんばっかりご主人様の寵愛を受けるだなんて!」
ローズは当然でしょ?と言いたげな顔をしている。
「わかった、わかった。今回は女性傭兵団を連れて行くことにしよう。」
「「ありがとうございます!」」
「主殿、私は?」ジギルが不安げに聞いてくるので、君は当然、付いてくるんだと言うと一安心していたようだ。
「ところで女性傭兵団員って、何人位いるんだっけ?」
「ハッ!70名位です!」
「え?そんなに?」
はっきり言って多い!俺は日帰りのつもりだったんだけど!
ふと、女性傭兵団員を見ると、皆、不安そうな顔をしている。ここは主の懐の深さを示さねば。
「大丈夫、全員連れて行くから!」
「ご主人様~私は~?」リリアである。その瞬間に、女性傭兵団員の顔つきが変わった!と言うのも、リリアもまたローズと同じように桜花の寵愛を受けている回数が多いからである。
「リリアは今回はお留守番な。すぐに帰って来るし。」
なんだぁと残念そうにしているが、すぐに帰って来ると言う言葉に解りましたと笑顔を向けてくる。リリアの笑顔は可愛い。リンド評議国で人気だったのもうなづける。
「すぐに帰ってくる」の言葉に女性傭兵団員は、え?と声を出した。
すぐに帰って来るイコール寵愛が受けれないのでは?と思ったらしい。
それはそれで、考えよう。
「それじゃ行くか!ドワーフ王国へ!」
その言葉と共に俺達は転移魔法で消えた。
ドワーフ王国に付くと、鍛冶場の人達に出迎えられムッタ棟梁がしばらく帰れないとの伝言を伝えた所、国王らしいと笑っていた。
間に合わせで作ってくれと言っていた防具と剣を試してみる。
防具は前回は日本刀でスパッと切れたものが、今ではえぐれる程度にまで進化していて、剣の方はと言うと・・・。使えない。やはり親父に200振り打ってくれと頼んで正解だったと改めて思う。
今回は防具の量産をお願いした。
続いて二ホン国に転移。女性傭兵団員の中には、初めて二ホン国に来るのもいたようで、わぁ~とか、きゃ~とか、女性らしい黄色い声が城下町に響いた。
江戸城前にエレンさんが迎えに出てきていてくれた。
挨拶を済ませ、江戸城の中へ・・・リョウタがいる大広間へとやって来た。
「よう、リョウタ!」
「兄上!」
今回はどうされたのですか?と聞いてくるのだが、その前に何か食わせてくれと頼んだら、お茶と栗饅頭が出てきた。二ホン国にはあんこもあったのか。
二ホン国は言うなれば、江戸時代~明治初期の日本と然程変わらない。なので、豊かな実りからの恩恵は大きい訳だ。
それに伴い、先代勇者のリョウタ・タチバナが博識だった所が大きいので、様々な文化がここ二ホン国に根付いている。
そんな平和な国を魔族という事だけで、人間族が蹂躙して行ったのだ。
まっ、その原因を突き止め、解消するのが俺の勇者としての役目になる訳なんだけどね。
それはさておき、今は俺の問題だ。これを解決せねば勇者として自信を失くす。
俺は包み隠さず、今回の一件をリョウタに話した。
笑われるんだろうなと思っていたら、意外にもリョウタは涙を流してくれた。
「そうですか・・・。それは辛かったですね。」
「解ってくれるか!さすがはリョウタ!我が弟よ!」
「ええ、男に奪われてしまったとは男がすたります!そのサンという者を始末すればいいのですよね!」
リョウタが怒り狂ってる。いや、自信喪失はあったけど、別にサンを始末しろとは思ってないから。ね!だから、戻ってこい!リョウタ!
「何か魔法で、出来ないのか?鉄壁の心とか。」
「そうですなぁ~、私は精神操作系の魔法は使えないですからな~ナツには治療してもらわなかったのですか?」
ナツ・・・。俺の妻で唯一の魔族。精神操作系魔法を得意としている。現在オムライス専門店で店長をしてもらってるけど、来た客にこの店のいい評判を流させる魔法を使っている・・・。よろしくないけど。
「それがな、ナツでも駄目だったんだよ。」
「そんな兄上が、どうやって立ち直ったのですか?」
「ああ、サリーナに治してもらった。」
「それなら『聖属性魔法』ですね。我々に聖属性を使える者はいませんな。」
確かに、聖属性を使える魔族って、おかしいもんな。
やっぱり、サリーナでないとだめか。
「エルフなら可能性はありますぞ。魔法に長けております故。」
エルフ・・・。以前の戦争の為に住処を追われ、このサイゲの森に移住している種族である。ちなみに2名ほど、玲子の側近に付けている。
「そうか。じゃあ、エルフの里に行ってみるよ。」
「すぐに行かれますかな?」
「急ぐ旅でもないし、今日はここに泊まることにするよ。」
「では、今夜は宴ですな!」
喜んでいるのはリョウタだけではない。女性傭兵団員達だ。何故かじゃんけん大会になっている。今夜は何人相手にするんだ?以前よりも元気になったと言っても時間制限はあるよ?
・・・7人相手した。
お陰で一睡もしていない。
朝ご飯を食べた俺達は、いざ出発!と言いたいが、少しだけ眠らせて・・。
昼前に改めて、出発することにした。
エルフの里と言っても、二ホン国の領土内にあるので近い。更に転移で行けるから、もっと近いのだ。
エルフの里に着くとジュウエモン・サブロウ・ジロウの長老達が出迎えてくれた。
お久しぶりです。ポトフとアランは元気にやってますよと挨拶を済ませると、ひときわ大きな建物に案内してくれた。
以前は、小さなログハウスだったのに、この森への移住を認めてもらってからは、ドラゴン族やラミア族とも仲良くなった為に敵はいないと認識、よって建物が大きくなっていったのだとか。
それもオウカ殿のお陰ですと改めてお礼を言われた。
うん。なんだか気分がいいぞ。
俺は包み隠さずに全てを話し、サリーナのような聖属性魔法が使える者はいないか?と尋ねると、意外な答えが返って来た。
「この里にいるエルフは聖属性魔法を扱える者は居ませんが、使える者を見知っています。」
「それもエルフ?」
「はい。」
「あれ?確か他のエルフは絶滅したんじゃ・・・?」
「実は逃げることに成功したエルフがいるとの噂を聞きました。」
エルフが噂話?風の精霊か何かかな?今は突っ込まない事にしよう。
「そのエルフはどこにいるの?」
長老たちは顔を見合わせ、言うかどうするかを考えているようだが、教えてくれるなら、そのエルフ達はこの森に保護をして来ますよと言うと長老たちは頷いて話してくれる。
「このサイゲの森の南、滝を下った所、通称ハイマギーの森という所です。」
「そこって、ワイバーンが出るって言ってた危険な森だよね?」
「はい、ですので我々にはどうすることも出来ないのです。」
「解った!俺達が言って来よう!」
「オウカ殿!」「ご主人様!」と皆が出迎えてくれるのだが、どこからか熱い視線を感じる・・・。
その視線の主は「サン」。舌なめずりまでしているが、親父の修行のせいか、前ほどの恐怖感を感じないようになっていた。
「玲子は⁉」
「ここよ、お帰りなさいって、キャッ!」
桜花は玲子を抱き寄せ濃厚なキスをする。その原因は、発散できなかったのと、サリーナのお陰で以前より元気になっていた為である。
俺はそのまま玲子を抱え上げ、俺の寝室へと急ぐ。玲子も俺に身体を委ねている。
その日の二人は、朝まで部屋から出ることはなかった。
翌日の朝。
「これから、リョウタの所に行こうと思うんだ。」
俺は朝からクロゲワギュウステーキを食べている。
その肉を切る手の動きや仕草などを、玲子はうっとりとした目で見つめていたのだが、玲子、聞いてる?の言葉に我を取り戻し「随分と急ね?サリーナ様に言われたの?」
「いや、ムッタ棟梁にリョウタが何とかしてくれるって言ってたし、ドワーフ国へまだ帰れないとの伝言も頼まれたんだよ。」
俺は玲子に顔を近づけ、小さな声で「今、サンに襲われたらどうなるか解らんし、決定打を打っておきたいんだよね。」
「ああ、それもそうね。」
「今回は誰をお供に連れて行くの?」
「すぐに帰ってくると思うから、ジギルとローズだけでいいんじゃないかと思ってる」
「それは、ズルいです!」と言って来たのは嫁達。
「いつもいつもローズさんばっかりご主人様の寵愛を受けるだなんて!」
ローズは当然でしょ?と言いたげな顔をしている。
「わかった、わかった。今回は女性傭兵団を連れて行くことにしよう。」
「「ありがとうございます!」」
「主殿、私は?」ジギルが不安げに聞いてくるので、君は当然、付いてくるんだと言うと一安心していたようだ。
「ところで女性傭兵団員って、何人位いるんだっけ?」
「ハッ!70名位です!」
「え?そんなに?」
はっきり言って多い!俺は日帰りのつもりだったんだけど!
ふと、女性傭兵団員を見ると、皆、不安そうな顔をしている。ここは主の懐の深さを示さねば。
「大丈夫、全員連れて行くから!」
「ご主人様~私は~?」リリアである。その瞬間に、女性傭兵団員の顔つきが変わった!と言うのも、リリアもまたローズと同じように桜花の寵愛を受けている回数が多いからである。
「リリアは今回はお留守番な。すぐに帰って来るし。」
なんだぁと残念そうにしているが、すぐに帰って来ると言う言葉に解りましたと笑顔を向けてくる。リリアの笑顔は可愛い。リンド評議国で人気だったのもうなづける。
「すぐに帰ってくる」の言葉に女性傭兵団員は、え?と声を出した。
すぐに帰って来るイコール寵愛が受けれないのでは?と思ったらしい。
それはそれで、考えよう。
「それじゃ行くか!ドワーフ王国へ!」
その言葉と共に俺達は転移魔法で消えた。
ドワーフ王国に付くと、鍛冶場の人達に出迎えられムッタ棟梁がしばらく帰れないとの伝言を伝えた所、国王らしいと笑っていた。
間に合わせで作ってくれと言っていた防具と剣を試してみる。
防具は前回は日本刀でスパッと切れたものが、今ではえぐれる程度にまで進化していて、剣の方はと言うと・・・。使えない。やはり親父に200振り打ってくれと頼んで正解だったと改めて思う。
今回は防具の量産をお願いした。
続いて二ホン国に転移。女性傭兵団員の中には、初めて二ホン国に来るのもいたようで、わぁ~とか、きゃ~とか、女性らしい黄色い声が城下町に響いた。
江戸城前にエレンさんが迎えに出てきていてくれた。
挨拶を済ませ、江戸城の中へ・・・リョウタがいる大広間へとやって来た。
「よう、リョウタ!」
「兄上!」
今回はどうされたのですか?と聞いてくるのだが、その前に何か食わせてくれと頼んだら、お茶と栗饅頭が出てきた。二ホン国にはあんこもあったのか。
二ホン国は言うなれば、江戸時代~明治初期の日本と然程変わらない。なので、豊かな実りからの恩恵は大きい訳だ。
それに伴い、先代勇者のリョウタ・タチバナが博識だった所が大きいので、様々な文化がここ二ホン国に根付いている。
そんな平和な国を魔族という事だけで、人間族が蹂躙して行ったのだ。
まっ、その原因を突き止め、解消するのが俺の勇者としての役目になる訳なんだけどね。
それはさておき、今は俺の問題だ。これを解決せねば勇者として自信を失くす。
俺は包み隠さず、今回の一件をリョウタに話した。
笑われるんだろうなと思っていたら、意外にもリョウタは涙を流してくれた。
「そうですか・・・。それは辛かったですね。」
「解ってくれるか!さすがはリョウタ!我が弟よ!」
「ええ、男に奪われてしまったとは男がすたります!そのサンという者を始末すればいいのですよね!」
リョウタが怒り狂ってる。いや、自信喪失はあったけど、別にサンを始末しろとは思ってないから。ね!だから、戻ってこい!リョウタ!
「何か魔法で、出来ないのか?鉄壁の心とか。」
「そうですなぁ~、私は精神操作系の魔法は使えないですからな~ナツには治療してもらわなかったのですか?」
ナツ・・・。俺の妻で唯一の魔族。精神操作系魔法を得意としている。現在オムライス専門店で店長をしてもらってるけど、来た客にこの店のいい評判を流させる魔法を使っている・・・。よろしくないけど。
「それがな、ナツでも駄目だったんだよ。」
「そんな兄上が、どうやって立ち直ったのですか?」
「ああ、サリーナに治してもらった。」
「それなら『聖属性魔法』ですね。我々に聖属性を使える者はいませんな。」
確かに、聖属性を使える魔族って、おかしいもんな。
やっぱり、サリーナでないとだめか。
「エルフなら可能性はありますぞ。魔法に長けております故。」
エルフ・・・。以前の戦争の為に住処を追われ、このサイゲの森に移住している種族である。ちなみに2名ほど、玲子の側近に付けている。
「そうか。じゃあ、エルフの里に行ってみるよ。」
「すぐに行かれますかな?」
「急ぐ旅でもないし、今日はここに泊まることにするよ。」
「では、今夜は宴ですな!」
喜んでいるのはリョウタだけではない。女性傭兵団員達だ。何故かじゃんけん大会になっている。今夜は何人相手にするんだ?以前よりも元気になったと言っても時間制限はあるよ?
・・・7人相手した。
お陰で一睡もしていない。
朝ご飯を食べた俺達は、いざ出発!と言いたいが、少しだけ眠らせて・・。
昼前に改めて、出発することにした。
エルフの里と言っても、二ホン国の領土内にあるので近い。更に転移で行けるから、もっと近いのだ。
エルフの里に着くとジュウエモン・サブロウ・ジロウの長老達が出迎えてくれた。
お久しぶりです。ポトフとアランは元気にやってますよと挨拶を済ませると、ひときわ大きな建物に案内してくれた。
以前は、小さなログハウスだったのに、この森への移住を認めてもらってからは、ドラゴン族やラミア族とも仲良くなった為に敵はいないと認識、よって建物が大きくなっていったのだとか。
それもオウカ殿のお陰ですと改めてお礼を言われた。
うん。なんだか気分がいいぞ。
俺は包み隠さずに全てを話し、サリーナのような聖属性魔法が使える者はいないか?と尋ねると、意外な答えが返って来た。
「この里にいるエルフは聖属性魔法を扱える者は居ませんが、使える者を見知っています。」
「それもエルフ?」
「はい。」
「あれ?確か他のエルフは絶滅したんじゃ・・・?」
「実は逃げることに成功したエルフがいるとの噂を聞きました。」
エルフが噂話?風の精霊か何かかな?今は突っ込まない事にしよう。
「そのエルフはどこにいるの?」
長老たちは顔を見合わせ、言うかどうするかを考えているようだが、教えてくれるなら、そのエルフ達はこの森に保護をして来ますよと言うと長老たちは頷いて話してくれる。
「このサイゲの森の南、滝を下った所、通称ハイマギーの森という所です。」
「そこって、ワイバーンが出るって言ってた危険な森だよね?」
「はい、ですので我々にはどうすることも出来ないのです。」
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