118 / 167
リンド法国編
0115 レストランミツヤリンド法国店
しおりを挟む
「オウカ様、セバスでございます。」
「ああ、何か解った?」
「面白い事が解りました。」
「この国の法律を調べたのですが、飲酒、肉を食すという事を禁忌とはしておりません。」
「何!それは本当か!」
「はい、さらに奴隷売買、売春などの禁忌もございませんでした。」
「そうか。」
「それでは、これから神殿に潜りたいと思います。」
「神殿はやめとけ。精神支配を受けるぞ。」
「それはどういう仕組みですか?」
「ああ、神殿を取り囲むように呪術を練りこまれた鉱石が置いてあるんだ。」
「破壊してもよろしいですか?」
「できるならな。その後は下がって俺達の警護に当たれ。」
「畏まりました。」
「主、この国は本当に酒も肉もダメなのかい?」
「ダメだともさ。」
「なんで?」
「昔からそうなのさ。」
「ダメって紙か何かに書いてあったの?」
「いや、見てないねぇ。」
今日は、和食レストランミツヤリンド法国店の候補地を探している。
場所は・・・表通りは空きがない。裏通りでいいだろう。
裏通りの空き店舗を探してみると、空き家・空き店舗が多いのに気づく。みんなやっていけなかったんだろうな。
その中に手ごろな空き店舗が見つかった。
キャパは20人位。
少し、こじんまりとしているが、ここに長居もするつもりもない。
一時的な店舗だから、ちょうどいいと思う。
商人ギルドに店舗の買取申請をしにいくと、国直轄の申請場所があるからと言われ、そこに向かうとする。
申請場所は神殿のすぐ近く、豪華な建物のひとつがそうらしい。
申請は簡素なもので、住所と名前、建物代に権利金を支払うだけ・・・。
これが予想以上に高かった!
建物代金は金貨2枚。その他が権利金で18枚となる。合計金貨20枚。
更に、毎月の売り上げから25%の課税とは・・・。
そりゃ、店も畳むわな。
俺がキャッシュで支払ったら、受付の人がびっくりしていた。
俺もこの金額にはびっくりしたよ?
店の内容は飲食店。当然、酒も肉も出しますよと言えば、受付の人がダメですと言ってくるので、ダメだと書いてある法律の本を見せてくれと言ったら、しぶしぶ承認してくれた。
「リリア、やっぱり日本料理はやめよう!いつもの料理にするぞ!」
ここは開店の為の工事中の店内。
「お酒も肉もダメなんじゃないんですか~。」リリアは不思議そうだ。
「たった今、承認されたよ。メニューを考えてくれてありがとう。」
「オウカ様、大丈夫なのですか?」ジギルが心配そうに話しかけてくる。
「はっきり言って、危険だろう。だから、リリアの周りには俺達が、外からは傭兵団が、更に隠密部隊が警護に当たろう。」
「了解しました。」
その日の夜は、冒険者御用達の店に全員で行く。
どんな酒が置いてあるのか、店の料理の味の濃さをリリアに覚えてもらう為だ。
俺達も当然のように食べるのだが、皆が口を揃えて言うのは「リリアの作った料理の方が美味い」という事だった。
この店で食べるのは失敗だったか?途中から、普通に飲んで食べてとなってしまった。
結局、メニューはリリアが作りたいものでいいよとなったら、リリアが肉も洋食も出しますと張り切っていた。
それから2週間後、レストランミツヤリンド法国店オープン初日。
どれでも全品、銅の小粒1個!と触れまわっていたので、オープン前から人だかりが出来ている。
オープンと同時にお客さんがびっくりしていた。その訳は・・・。
「国公認、酒飲めます!」「国公認、肉、食べれます!」大きく書かれた壁。
本当なのか?とお客さんは疑いながらも酒と肉を注文する人が多く、魚を注文する人も法国にあるどの店よりも美味い料理に舌鼓を打っていた。
評判はあっという間に法国全土に広がり、連日、満員御礼となって行った。
商売としては大赤字なんだけどね。法王に繋がる為にはインパクトが必要だから、これは必要経費。
そんなある日、白いローブを目深にかぶった2人組のお客さんがやって来た。
この店は、酒も肉も出すのか?と聞いてくるので、壁の文字を指さしながら、本当ですよと答える。
リリアが出した肉料理を食べたお客さんは「これはどこの肉よりも美味いですな!」と言ったかと思うと、慌てて口をつむぎ、酒を飲んだかと思うと、酒の味を称賛していた。
二人が料理を楽しんでいる姿を見て、誰かが言った。
「副神官様だ!」
その声を聞いた二人は慌てて席を立ち、店を出て行った。
「神官様が食べてたんだから、俺達も肉を食うぜ!」
「ああ!酒も飲むぞ!」と店内は大いに賑わった。
この繁盛に悲鳴を上げていたのはリリアだけではなく・・・。
二ホン国とヒガシムラヤマ領だった。
連日のように注文がくるものだから、肉の出荷が追いつかず、とうとうストップしてしまった。
今出しているのは、一番余裕のある鶏肉のみとなってしまった。
そんな状況でも、リリアの工夫のお陰もあって、客足が遠のく事はなかった。
とうとう、鶏肉さえもなくなってしまったのだ。
今は、海の幸を基本に回している。
それでも、お客さんはやってくる。酒が飲めるからだ。
リリアは初めこそレストランの味付けをしていたのだが、酒を飲む人が多いという事で、味を酒にあうようにアレンジをして行ったのが、またウケて連日満員御礼、売り切れ御免の日々が過ぎて行った。
「ああ、何か解った?」
「面白い事が解りました。」
「この国の法律を調べたのですが、飲酒、肉を食すという事を禁忌とはしておりません。」
「何!それは本当か!」
「はい、さらに奴隷売買、売春などの禁忌もございませんでした。」
「そうか。」
「それでは、これから神殿に潜りたいと思います。」
「神殿はやめとけ。精神支配を受けるぞ。」
「それはどういう仕組みですか?」
「ああ、神殿を取り囲むように呪術を練りこまれた鉱石が置いてあるんだ。」
「破壊してもよろしいですか?」
「できるならな。その後は下がって俺達の警護に当たれ。」
「畏まりました。」
「主、この国は本当に酒も肉もダメなのかい?」
「ダメだともさ。」
「なんで?」
「昔からそうなのさ。」
「ダメって紙か何かに書いてあったの?」
「いや、見てないねぇ。」
今日は、和食レストランミツヤリンド法国店の候補地を探している。
場所は・・・表通りは空きがない。裏通りでいいだろう。
裏通りの空き店舗を探してみると、空き家・空き店舗が多いのに気づく。みんなやっていけなかったんだろうな。
その中に手ごろな空き店舗が見つかった。
キャパは20人位。
少し、こじんまりとしているが、ここに長居もするつもりもない。
一時的な店舗だから、ちょうどいいと思う。
商人ギルドに店舗の買取申請をしにいくと、国直轄の申請場所があるからと言われ、そこに向かうとする。
申請場所は神殿のすぐ近く、豪華な建物のひとつがそうらしい。
申請は簡素なもので、住所と名前、建物代に権利金を支払うだけ・・・。
これが予想以上に高かった!
建物代金は金貨2枚。その他が権利金で18枚となる。合計金貨20枚。
更に、毎月の売り上げから25%の課税とは・・・。
そりゃ、店も畳むわな。
俺がキャッシュで支払ったら、受付の人がびっくりしていた。
俺もこの金額にはびっくりしたよ?
店の内容は飲食店。当然、酒も肉も出しますよと言えば、受付の人がダメですと言ってくるので、ダメだと書いてある法律の本を見せてくれと言ったら、しぶしぶ承認してくれた。
「リリア、やっぱり日本料理はやめよう!いつもの料理にするぞ!」
ここは開店の為の工事中の店内。
「お酒も肉もダメなんじゃないんですか~。」リリアは不思議そうだ。
「たった今、承認されたよ。メニューを考えてくれてありがとう。」
「オウカ様、大丈夫なのですか?」ジギルが心配そうに話しかけてくる。
「はっきり言って、危険だろう。だから、リリアの周りには俺達が、外からは傭兵団が、更に隠密部隊が警護に当たろう。」
「了解しました。」
その日の夜は、冒険者御用達の店に全員で行く。
どんな酒が置いてあるのか、店の料理の味の濃さをリリアに覚えてもらう為だ。
俺達も当然のように食べるのだが、皆が口を揃えて言うのは「リリアの作った料理の方が美味い」という事だった。
この店で食べるのは失敗だったか?途中から、普通に飲んで食べてとなってしまった。
結局、メニューはリリアが作りたいものでいいよとなったら、リリアが肉も洋食も出しますと張り切っていた。
それから2週間後、レストランミツヤリンド法国店オープン初日。
どれでも全品、銅の小粒1個!と触れまわっていたので、オープン前から人だかりが出来ている。
オープンと同時にお客さんがびっくりしていた。その訳は・・・。
「国公認、酒飲めます!」「国公認、肉、食べれます!」大きく書かれた壁。
本当なのか?とお客さんは疑いながらも酒と肉を注文する人が多く、魚を注文する人も法国にあるどの店よりも美味い料理に舌鼓を打っていた。
評判はあっという間に法国全土に広がり、連日、満員御礼となって行った。
商売としては大赤字なんだけどね。法王に繋がる為にはインパクトが必要だから、これは必要経費。
そんなある日、白いローブを目深にかぶった2人組のお客さんがやって来た。
この店は、酒も肉も出すのか?と聞いてくるので、壁の文字を指さしながら、本当ですよと答える。
リリアが出した肉料理を食べたお客さんは「これはどこの肉よりも美味いですな!」と言ったかと思うと、慌てて口をつむぎ、酒を飲んだかと思うと、酒の味を称賛していた。
二人が料理を楽しんでいる姿を見て、誰かが言った。
「副神官様だ!」
その声を聞いた二人は慌てて席を立ち、店を出て行った。
「神官様が食べてたんだから、俺達も肉を食うぜ!」
「ああ!酒も飲むぞ!」と店内は大いに賑わった。
この繁盛に悲鳴を上げていたのはリリアだけではなく・・・。
二ホン国とヒガシムラヤマ領だった。
連日のように注文がくるものだから、肉の出荷が追いつかず、とうとうストップしてしまった。
今出しているのは、一番余裕のある鶏肉のみとなってしまった。
そんな状況でも、リリアの工夫のお陰もあって、客足が遠のく事はなかった。
とうとう、鶏肉さえもなくなってしまったのだ。
今は、海の幸を基本に回している。
それでも、お客さんはやってくる。酒が飲めるからだ。
リリアは初めこそレストランの味付けをしていたのだが、酒を飲む人が多いという事で、味を酒にあうようにアレンジをして行ったのが、またウケて連日満員御礼、売り切れ御免の日々が過ぎて行った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
(完結)お姉様を選んだことを今更後悔しても遅いです!
青空一夏
恋愛
私はブロッサム・ビアス。ビアス候爵家の次女で、私の婚約者はフロイド・ターナー伯爵令息だった。結婚式を一ヶ月後に控え、私は仕上がってきたドレスをお父様達に見せていた。
すると、お母様達は思いがけない言葉を口にする。
「まぁ、素敵! そのドレスはお腹周りをカバーできて良いわね。コーデリアにぴったりよ」
「まだ、コーデリアのお腹は目立たないが、それなら大丈夫だろう」
なぜ、お姉様の名前がでてくるの?
なんと、お姉様は私の婚約者の子供を妊娠していると言い出して、フロイドは私に婚約破棄をつきつけたのだった。
※タグの追加や変更あるかもしれません。
※因果応報的ざまぁのはず。
※作者独自の世界のゆるふわ設定。
※過去作のリメイク版です。過去作品は非公開にしました。
※表紙は作者作成AIイラスト。ブロッサムのイメージイラストです。
【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後
綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、
「真実の愛に目覚めた」
と衝撃の告白をされる。
王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。
婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。
一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。
文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。
そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。
周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?
五年目の浮気、七年目の破局。その後のわたし。
あとさん♪
恋愛
大恋愛での結婚後、まるまる七年経った某日。
夫は愛人を連れて帰宅した。(その愛人は妊娠中)
笑顔で愛人をわたしに紹介する夫。
え。この人、こんな人だったの(愕然)
やだやだ、気持ち悪い。離婚一択!
※全15話。完結保証。
※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第四弾。
今回の夫婦は子無し。騎士爵(ほぼ平民)。
第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』
第二弾『そういうとこだぞ』
第三弾『妻の死で思い知らされました。』
それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。
※この話は小説家になろうにも投稿しています。
※2024.03.28 15話冒頭部分を加筆修正しました。
後妻を迎えた家の侯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
私はイリス=レイバン、侯爵令嬢で現在22歳よ。お父様と亡くなったお母様との間にはお兄様と私、二人の子供がいる。そんな生活の中、一か月前にお父様の再婚話を聞かされた。
もう私もいい年だし、婚約者も決まっている身。それぐらいならと思って、お兄様と二人で了承したのだけれど……。
やってきたのは、ケイト=エルマン子爵令嬢。御年16歳! 昔からプレイボーイと言われたお父様でも、流石にこれは…。
『家出した伯爵令嬢』で序盤と終盤に登場する令嬢を描いた外伝的作品です。本編には出ない人物で一部設定を使い回した話ですが、独立したお話です。
完結済み!
【完結】後妻に入ったら、夫のむすめが……でした
仲村 嘉高
恋愛
「むすめの世話をして欲しい」
夫からの求婚の言葉は、愛の言葉では無かったけれど、幼い娘を大切にする誠実な人だと思い、受け入れる事にした。
結婚前の顔合わせを「疲れて出かけたくないと言われた」や「今日はベッドから起きられないようだ」と、何度も反故にされた。
それでも、本当に申し訳なさそうに謝るので、「体が弱いならしょうがないわよ」と許してしまった。
結婚式は、お互いの親戚のみ。
なぜならお互い再婚だから。
そして、結婚式が終わり、新居へ……?
一緒に馬車に乗ったその方は誰ですか?
【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。
鏑木 うりこ
恋愛
クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!
茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。
ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?
(´・ω・`)普通……。
でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる