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貴族領地編
0084 レストランミツヤ会談
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王宮にての臨時協議会は3日間、続けられたのだが、決着はつかず・・・
レストランミツヤにて。
「はぁ~、」とテーブルに頭を突っ伏しているのは新国王・バレット・クロゲワギュウ・コローレである。
「どうしたのですか?新国王様?」と笑みを浮かべているのは玲子である。
「その呼び方はやめてよ、今まで通りバレットでいいよ~それにしてもさぁ~、オウカさん、どれだけ体力あるの?普通、3日間徹夜で協議会なんてしないよ?貴族連中は皆、寝不足のせいで魂が抜けかかってるよ・・・。なのにオウカさんだけ、ピンピンしてるんだよ。」
「向こうでは、3日間徹夜の会議なんてしょっちゅう、ありましたからね。」とミルクティーを出しながら玲子は答える。
「とりあえず、このまま続行すると本当に皆が死んでしまうかも知れないから、2日間の休憩をオウカさんにお願いして許してもらったけど・・・。」
「オウ、待たせたな!」と爽やかに桜花がやって来た。
桜花はバレットの向かいに座り、「何、だれてるの?気合が足らないんじゃないの?」とバレットに言った。
「オウカさんが異常なんですよ!」とバレットが涙目になりながら桜花に噛みついていた。
「オウカさん~、一体何が不満なんですかぁ~王国の貴族なら、誰でも喉から手が出るほどの褒美なんですよ~。」
「何度も言ってるだろう?俺は王都を離れる訳には行かないって。」
「それでも、あの領地の危機を救ってくれるのはオウカさんだけなんですよ~。」
「その話は何度も聞いた。別に俺でなくても他の貴族で大丈夫だろう?」
「その貴族たちが信用出来ないから、オウカさんに頼んでいるんじゃないですか~。」
「私は、あの領地の村の人たちを救ってやりたいんですよ~。」
「そうは、言ってもなぁ~。」
・・・ここでも、話は平行線。これでは埒が開かないことを悟った玲子が
「だったら、こうしない?」
「何か、いい提案があるのか?」
「桜花さんはその領地が安定するまでって、どう?それで、後任の領主を決めるのも桜花さんという事で。これなら、桜花さんは何度も経験してるから、大丈夫なんじゃない?」
バレットは、死にかけていた顔が一気に明るくなり。「うん、それでいいよ!それで行こう!」
「まぁ、それならいいか・・・。」
桜花が納得したことからなのか、協議会がこれ以上長引く危険を回避出来たからなのか、バレットは大喜び!
「じゃあ、次の協議会はこの結果を発表して終わりだね!」
「いや、まて・・・まだあるぞ。」その一言にバレットが青ざめる。
「何のこと・・・?」
「お前の妹の事だよ!なんで、俺が嫁にしないといけないんだよ!」
「王族の姫を妻として迎えるのは名誉あることなんだぞ!これだけは引けん!」
「大体、お前の妹はいくつなんだよ?」
「今年で13になるな。」
「俺の国では、淫行って法律に引っかかるの!せめて16になってから言えよ!」
「私は、オウカさんとの家同士の繋がりを持ちたいのだ!そしたら、いつでもオウカさんに相談できるだろう?信頼できる人が欲しいんだよ。」
「その為だけに、可愛い妹を道具にするな!」
「じゃあ、せめて妹に会ってくれないか?」
「そうよ。会ってみるだけ会ってみたら?桜花さん。」
「れ、玲子・・・・。」
「わかったよ。会えばいいのだろ?で、いつ会えるんだ?」
「既に、呼んである。」
「何?」
「アムよ。妹を連れて来てはくれまいか?」
「お待たせいたしましたわ。お兄様!」
扉から、入って来たのは「ドレスを着た少女」。だめだ、絶対に捕まる。リリアの時もそうだったが、俺の倫理観がそれを許さん。
「ご機嫌麗しゅう存じますわ。オウカ様!」と両手でスカートを持ち挨拶をしてくる。さすがは王女、マナーはしっかりと躾けられているようだ。
「こんにちは。あのね、お嬢ちゃん・・・」
「私は、子供ではありませんわ!もう、立派なレディーなのです!」とキツく言ってくる。
「は、はぁ・・しかし私のいる世界では、まだまだ子供の年齢ですよ。」
「私のどこが気に入りませんの!これでも、お稽古事も十分に習ってますわ!」
「あのですね、王女様。私共の国では家柄や親が決めた婚姻と言うのは昔の話で、好きな人と自由に恋愛をして結婚をするようになったのですよ。ですから、王女様もご自分の意思をもっと尊重してください。」
「私は、王国の為なら、この身を捧げても構いませんわ!」
「いい加減にしろ!」レストラン内に響くぐらいの大声をあげ
「何と言おうと、この話はなし!王女様は自分の好きな人と結婚しなさい!」つい、叱責してしまった。
予想は出来てたけど、王女は大声で泣き叫び、バレットが慰めても泣き止まない。
この事態をどうしてくれるの?玲子とバレット、レストランにいる視線が痛い。はたからみたら、完全に俺が悪者だもんなぁ~。
「悪かった、悪かったから泣き止んで、な?」
ー***-
「美味しぃ~、お兄様は、いつもこのようなお茶を飲んでらしたのね。一人だけズルいです。」
サリー王女は上機嫌でミルクティーを飲んでいる。
「そう言う事で、この件は諦めてくれ。」
「オウカ様は、私の事をどう思っていますの?」とサリー王女が聞いてきた。
「どうとは?どういうことですか?」
「私の事が嫌いなんですか?」
「いえ、決してそんなことは・・・」
そう言えば、妹もこんな時期があったよなぁ~わがままだったけど、可愛かったなぁ。
「王女様は(妹のように)可愛いですよ。本当に。」
「そうですか・・・。」
「今日は、帰りますわ。オウカ様、お騒がせいたしました。」
「やれやれ、やっと帰ったか・・・。」
「私の可愛い妹を袖にするなんて・・・考えられぬ。」バレットも残念そうだ。
「じゃあ、まとめるぞ。」
・元ベルハイツ侯爵領は、経済・産業が安定するまで限定的に桜花が領主となる。
・その後の後継者は桜花が指名する。
・王都内に桜花の領地を儲けるが、特権として、非課税とするがレストランミツヤ、その他の事業に関してはこの限りではない。
・サリー王女の件は破棄とする。
「この結果を協議会で発表しよう!」
このようにレストランミツヤ会談は終了したのである。
レストランミツヤにて。
「はぁ~、」とテーブルに頭を突っ伏しているのは新国王・バレット・クロゲワギュウ・コローレである。
「どうしたのですか?新国王様?」と笑みを浮かべているのは玲子である。
「その呼び方はやめてよ、今まで通りバレットでいいよ~それにしてもさぁ~、オウカさん、どれだけ体力あるの?普通、3日間徹夜で協議会なんてしないよ?貴族連中は皆、寝不足のせいで魂が抜けかかってるよ・・・。なのにオウカさんだけ、ピンピンしてるんだよ。」
「向こうでは、3日間徹夜の会議なんてしょっちゅう、ありましたからね。」とミルクティーを出しながら玲子は答える。
「とりあえず、このまま続行すると本当に皆が死んでしまうかも知れないから、2日間の休憩をオウカさんにお願いして許してもらったけど・・・。」
「オウ、待たせたな!」と爽やかに桜花がやって来た。
桜花はバレットの向かいに座り、「何、だれてるの?気合が足らないんじゃないの?」とバレットに言った。
「オウカさんが異常なんですよ!」とバレットが涙目になりながら桜花に噛みついていた。
「オウカさん~、一体何が不満なんですかぁ~王国の貴族なら、誰でも喉から手が出るほどの褒美なんですよ~。」
「何度も言ってるだろう?俺は王都を離れる訳には行かないって。」
「それでも、あの領地の危機を救ってくれるのはオウカさんだけなんですよ~。」
「その話は何度も聞いた。別に俺でなくても他の貴族で大丈夫だろう?」
「その貴族たちが信用出来ないから、オウカさんに頼んでいるんじゃないですか~。」
「私は、あの領地の村の人たちを救ってやりたいんですよ~。」
「そうは、言ってもなぁ~。」
・・・ここでも、話は平行線。これでは埒が開かないことを悟った玲子が
「だったら、こうしない?」
「何か、いい提案があるのか?」
「桜花さんはその領地が安定するまでって、どう?それで、後任の領主を決めるのも桜花さんという事で。これなら、桜花さんは何度も経験してるから、大丈夫なんじゃない?」
バレットは、死にかけていた顔が一気に明るくなり。「うん、それでいいよ!それで行こう!」
「まぁ、それならいいか・・・。」
桜花が納得したことからなのか、協議会がこれ以上長引く危険を回避出来たからなのか、バレットは大喜び!
「じゃあ、次の協議会はこの結果を発表して終わりだね!」
「いや、まて・・・まだあるぞ。」その一言にバレットが青ざめる。
「何のこと・・・?」
「お前の妹の事だよ!なんで、俺が嫁にしないといけないんだよ!」
「王族の姫を妻として迎えるのは名誉あることなんだぞ!これだけは引けん!」
「大体、お前の妹はいくつなんだよ?」
「今年で13になるな。」
「俺の国では、淫行って法律に引っかかるの!せめて16になってから言えよ!」
「私は、オウカさんとの家同士の繋がりを持ちたいのだ!そしたら、いつでもオウカさんに相談できるだろう?信頼できる人が欲しいんだよ。」
「その為だけに、可愛い妹を道具にするな!」
「じゃあ、せめて妹に会ってくれないか?」
「そうよ。会ってみるだけ会ってみたら?桜花さん。」
「れ、玲子・・・・。」
「わかったよ。会えばいいのだろ?で、いつ会えるんだ?」
「既に、呼んである。」
「何?」
「アムよ。妹を連れて来てはくれまいか?」
「お待たせいたしましたわ。お兄様!」
扉から、入って来たのは「ドレスを着た少女」。だめだ、絶対に捕まる。リリアの時もそうだったが、俺の倫理観がそれを許さん。
「ご機嫌麗しゅう存じますわ。オウカ様!」と両手でスカートを持ち挨拶をしてくる。さすがは王女、マナーはしっかりと躾けられているようだ。
「こんにちは。あのね、お嬢ちゃん・・・」
「私は、子供ではありませんわ!もう、立派なレディーなのです!」とキツく言ってくる。
「は、はぁ・・しかし私のいる世界では、まだまだ子供の年齢ですよ。」
「私のどこが気に入りませんの!これでも、お稽古事も十分に習ってますわ!」
「あのですね、王女様。私共の国では家柄や親が決めた婚姻と言うのは昔の話で、好きな人と自由に恋愛をして結婚をするようになったのですよ。ですから、王女様もご自分の意思をもっと尊重してください。」
「私は、王国の為なら、この身を捧げても構いませんわ!」
「いい加減にしろ!」レストラン内に響くぐらいの大声をあげ
「何と言おうと、この話はなし!王女様は自分の好きな人と結婚しなさい!」つい、叱責してしまった。
予想は出来てたけど、王女は大声で泣き叫び、バレットが慰めても泣き止まない。
この事態をどうしてくれるの?玲子とバレット、レストランにいる視線が痛い。はたからみたら、完全に俺が悪者だもんなぁ~。
「悪かった、悪かったから泣き止んで、な?」
ー***-
「美味しぃ~、お兄様は、いつもこのようなお茶を飲んでらしたのね。一人だけズルいです。」
サリー王女は上機嫌でミルクティーを飲んでいる。
「そう言う事で、この件は諦めてくれ。」
「オウカ様は、私の事をどう思っていますの?」とサリー王女が聞いてきた。
「どうとは?どういうことですか?」
「私の事が嫌いなんですか?」
「いえ、決してそんなことは・・・」
そう言えば、妹もこんな時期があったよなぁ~わがままだったけど、可愛かったなぁ。
「王女様は(妹のように)可愛いですよ。本当に。」
「そうですか・・・。」
「今日は、帰りますわ。オウカ様、お騒がせいたしました。」
「やれやれ、やっと帰ったか・・・。」
「私の可愛い妹を袖にするなんて・・・考えられぬ。」バレットも残念そうだ。
「じゃあ、まとめるぞ。」
・元ベルハイツ侯爵領は、経済・産業が安定するまで限定的に桜花が領主となる。
・その後の後継者は桜花が指名する。
・王都内に桜花の領地を儲けるが、特権として、非課税とするがレストランミツヤ、その他の事業に関してはこの限りではない。
・サリー王女の件は破棄とする。
「この結果を協議会で発表しよう!」
このようにレストランミツヤ会談は終了したのである。
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