Venus And The SAKURA

モカ☆まった〜り

文字の大きさ
上 下
87 / 167
貴族領地編

0084 レストランミツヤ会談

しおりを挟む
 王宮にての臨時協議会は3日間、続けられたのだが、決着はつかず・・・


 レストランミツヤにて。


「はぁ~、」とテーブルに頭を突っ伏しているのは新国王・バレット・クロゲワギュウ・コローレである。

「どうしたのですか?新国王様?」と笑みを浮かべているのは玲子である。
「その呼び方はやめてよ、今まで通りバレットでいいよ~それにしてもさぁ~、オウカさん、どれだけ体力あるの?普通、3日間徹夜で協議会なんてしないよ?貴族連中は皆、寝不足のせいで魂が抜けかかってるよ・・・。なのにオウカさんだけ、ピンピンしてるんだよ。」
「向こうでは、3日間徹夜の会議なんてしょっちゅう、ありましたからね。」とミルクティーを出しながら玲子は答える。
「とりあえず、このまま続行すると本当に皆が死んでしまうかも知れないから、2日間の休憩をオウカさんにお願いして許してもらったけど・・・。」

「オウ、待たせたな!」と爽やかに桜花がやって来た。

 桜花はバレットの向かいに座り、「何、だれてるの?気合が足らないんじゃないの?」とバレットに言った。
「オウカさんが異常なんですよ!」とバレットが涙目になりながら桜花に噛みついていた。

「オウカさん~、一体何が不満なんですかぁ~王国の貴族なら、誰でも喉から手が出るほどの褒美なんですよ~。」
「何度も言ってるだろう?俺は王都を離れる訳には行かないって。」
「それでも、あの領地の危機を救ってくれるのはオウカさんだけなんですよ~。」
「その話は何度も聞いた。別に俺でなくても他の貴族で大丈夫だろう?」
「その貴族たちが信用出来ないから、オウカさんに頼んでいるんじゃないですか~。」
「私は、あの領地の村の人たちを救ってやりたいんですよ~。」
「そうは、言ってもなぁ~。」

・・・ここでも、話は平行線。これでは埒が開かないことを悟った玲子が

「だったら、こうしない?」
「何か、いい提案があるのか?」
「桜花さんはその領地が安定するまでって、どう?それで、後任の領主を決めるのも桜花さんという事で。これなら、桜花さんは何度も経験してるから、大丈夫なんじゃない?」

 バレットは、死にかけていた顔が一気に明るくなり。「うん、それでいいよ!それで行こう!」
「まぁ、それならいいか・・・。」

 桜花が納得したことからなのか、協議会がこれ以上長引く危険を回避出来たからなのか、バレットは大喜び!
「じゃあ、次の協議会はこの結果を発表して終わりだね!」

「いや、まて・・・まだあるぞ。」その一言にバレットが青ざめる。
「何のこと・・・?」
「お前の妹の事だよ!なんで、俺が嫁にしないといけないんだよ!」
「王族の姫を妻として迎えるのは名誉あることなんだぞ!これだけは引けん!」
「大体、お前の妹はいくつなんだよ?」
「今年で13になるな。」
「俺の国では、淫行って法律に引っかかるの!せめて16になってから言えよ!」
「私は、オウカさんとの家同士の繋がりを持ちたいのだ!そしたら、いつでもオウカさんに相談できるだろう?信頼できる人が欲しいんだよ。」
「その為だけに、可愛い妹を道具にするな!」
「じゃあ、せめて妹に会ってくれないか?」
「そうよ。会ってみるだけ会ってみたら?桜花さん。」
「れ、玲子・・・・。」
「わかったよ。会えばいいのだろ?で、いつ会えるんだ?」
「既に、呼んである。」
「何?」
「アムよ。妹を連れて来てはくれまいか?」

「お待たせいたしましたわ。お兄様!」

 扉から、入って来たのは「ドレスを着た少女」。だめだ、絶対に捕まる。リリアの時もそうだったが、俺の倫理観がそれを許さん。

「ご機嫌麗しゅう存じますわ。オウカ様!」と両手でスカートを持ち挨拶をしてくる。さすがは王女、マナーはしっかりと躾けられているようだ。

「こんにちは。あのね、お嬢ちゃん・・・」
「私は、子供ではありませんわ!もう、立派なレディーなのです!」とキツく言ってくる。
「は、はぁ・・しかし私のいる世界では、まだまだ子供の年齢ですよ。」
「私のどこが気に入りませんの!これでも、お稽古事も十分に習ってますわ!」
「あのですね、王女様。私共の国では家柄や親が決めた婚姻と言うのは昔の話で、好きな人と自由に恋愛をして結婚をするようになったのですよ。ですから、王女様もご自分の意思をもっと尊重してください。」
「私は、王国の為なら、この身を捧げても構いませんわ!」

「いい加減にしろ!」レストラン内に響くぐらいの大声をあげ
「何と言おうと、この話はなし!王女様は自分の好きな人と結婚しなさい!」つい、叱責してしまった。

 予想は出来てたけど、王女は大声で泣き叫び、バレットが慰めても泣き止まない。
 この事態をどうしてくれるの?玲子とバレット、レストランにいる視線が痛い。はたからみたら、完全に俺が悪者だもんなぁ~。

「悪かった、悪かったから泣き止んで、な?」


ー***-


「美味しぃ~、お兄様は、いつもこのようなお茶を飲んでらしたのね。一人だけズルいです。」
 サリー王女は上機嫌でミルクティーを飲んでいる。

「そう言う事で、この件は諦めてくれ。」
「オウカ様は、私の事をどう思っていますの?」とサリー王女が聞いてきた。
「どうとは?どういうことですか?」
「私の事が嫌いなんですか?」
「いえ、決してそんなことは・・・」

 そう言えば、妹もこんな時期があったよなぁ~わがままだったけど、可愛かったなぁ。
「王女様は(妹のように)可愛いですよ。本当に。」
「そうですか・・・。」
「今日は、帰りますわ。オウカ様、お騒がせいたしました。」
「やれやれ、やっと帰ったか・・・。」
「私の可愛い妹を袖にするなんて・・・考えられぬ。」バレットも残念そうだ。

「じゃあ、まとめるぞ。」

・元ベルハイツ侯爵領は、経済・産業が安定するまで限定的に桜花が領主となる。
・その後の後継者は桜花が指名する。
・王都内に桜花の領地を儲けるが、特権として、非課税とするがレストランミツヤ、その他の事業に関してはこの限りではない。
・サリー王女の件は破棄とする。

「この結果を協議会で発表しよう!」

 このようにレストランミツヤ会談は終了したのである。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

プレアデスの伝説 姫たちの建国物語

のらしろ
ファンタジー
 主人公の守は海上警備庁に奉職すぐに組織ぐるみの不正に巻き込まれて、表敬航海中にアメリカで降ろされる。  守の友人である米国海兵隊員の紹介で民間軍事会社にとりあえず就職するが、これまた航海中に大波に攫われて異世界に転生させられる。  転生直前に、カミサマと思しき人から転生先の世界に平和をと頼まれ、自身が乗っていた船と一緒に異世界に送り込まれる。  カミサマからの説明はとにかく長く要領を得ずに分からなかったが転生直後にこれまた別の神様が夢に現れて説明してくれた。  とにかく、チート能力は渡せないが、現代社会から船を送るからそれを使って戦乱続く異世界に平和を求められる。  訳も分からずたった一人大海原に送り込まれて途方に暮れたが、ひょんなことから女性を助け、その女性からいろいろと聞かされる。  なんでもこの世界の神話ではプレアデスの姫と呼ばれる6人もの女性が神より遣わされる男性の下に嫁ぎ国を興すすとき神より大いなる祝福を受けるとあり、初めに助けた女性を皮切りに巡視艇を使って襲われている人たちを助けて、助けていく人たちの中にいるプレアデスの姫と呼ばれる女性たちと一緒に国を興す物語になっております。

処理中です...