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異世界転移編
0001 女神クリス・サリーナ
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「よくぞ参られた、選ばれし勇者よ!」
パタン・・・。ドアを閉める。
「ここ、俺の部屋だよな?」番号を確かめる。うん、合ってる。
もう一度、ドアを開ける。
「よくぞま・・・」
パタン・・・。やっぱりドアを閉める。
夢、じゃないよな?
もう一度、ドアを開ける。
「よ・・」
パタン!ドアを閉める。いやいやおかしいだろ!誰?あれ。
「こらー!人がカッコよく言ってるのに無視するな!」
内側からドンドンとドアを叩く音がする。なになに怖いんだけど?まさか俺の隠し子?いやいや、考えれば玲子と付き合うまで俺はモテなかった!悲しい現実だけど、つい最近まで俺は貞操を守っていたんだ!だから隠し子の線は消える。
近所迷惑になるのも嫌なので、しぶしぶドアを開けると「小学生の女の子」が立っていた。しかも仁王立ちで。
「わらわが、迎えに来てやったぞ、勇者よ!さぁ、行こう!」手を差し出してくる。
「あ~もしもし、警察ですか?知らない女の子が家に勝手に入ってまして・・・」
「通報しないでください!」目を潤ませた女の子は俺の手を掴む。
いかにも怪しい女の子に俺は首を傾げ「それで、お前誰よ?ここは俺の家なんだけど。」
「フッフッフ~。よくぞ聞いてくれた!我が名はクリス・サリーナ!女神である!お前を異世界に導かんとやって来たのだ!頭が高い!」ビシッ!と指を指してきた。
「あ~、救急車ですか?俺の家に勝手に入って来た女の子が頭がおかしい言動をするんですけど、え?まずは警察に・・・はぁ、解りました。」
「お願いですから、通報はしないでください!」今度は土下座をしている。なんだコイツ。強気なのか弱気なのか正常なのか異常なのかも解らない。
「まぁ、玄関で立ち話もなんですし、奥へどうぞ。」遜色ない態度の女の子は俺を部屋奥に案内する。
「ここは俺の家だ!全く調子狂うなぁ~。絶対に警察に突き出してやるからな!」
「まぁまぁ、ご冗談を。」と俺を窘めてくる。
リビングにあるソファに座る俺。向かいに女神と言って聞かない女の子がちょこんと座っている。小さな体にこのソファーは合わないのだろう、足が宙ぶらりんだ。
「それで、本当はお前何者だよ?」早くハンバーガーを食べたい俺はふつふつと湧き上がる怒りを堪え、もう一度確認してみる。
「お前ではない!わらわの名はクリス・サリーナ!女神じゃ!」
「そうか、頭打ったんだな?やっぱり救急車呼ぼうか。」
「だから、本物の女神なんだって言ってるじゃない!」泣き出した・・・。
昔、小さな妹が泣き出した頃を思い出した俺は、とっさに「腹減ってないか?美味しい物でも食べようか?」と声を掛けたのだが、それは失敗だった。その声を待っていたのかのように自称神様のサリーナは一瞬で泣きやみ「わぁ~い!食事、食事!」と小躍りをしてる。
「てめぇ~ウソ泣きだったか。絶対に警察に突き出してやる!」怒りが頂点に昇っているが暴行を加える訳にも行かない。ハンバーガーを食わせてさっさと帰ってもらおう。
宅配の注文の為にスマホの画面を見ていると、
「なんだそれは?何かの魔道具か?」
「はぁ?この世界に魔道具なんかあるかぁ~!」
「何やら見ておるではないか。」
「お前、今時の小学生なんだろ?スマホだよ、ス・マ・ホ!」
「スマホ?何をするための道具なんだ?」
「本当に知らんのか?遠くの人と会話をする為の物だよ!」
「なんだ、意思伝達の物であったのか!それなら、わらわも出来るぞ!」
「スマホなしでどうやって電話出来んだよ・・・うっ!」
頭の中で声が聞こえる・・・。
「わらわの声が聞こえるか?勇者よ。」
慌てて、サリーナの方を見るとニヤリと笑いながら「これで、わらわが神と分かっただろ?」
口が、動いてない・・・テレパシーか!
「解った、解ったから、頭に直接、話しかけるのは止めてくれ!」
「止めてくれ?そこは「ください」だろうが。」悪魔のように笑うサリーナはテレパシーをやめないどころか更に強く念を送ってくる。
「ウッ!」頭に響く感覚がVR酔いに近い感覚で気持ち悪い・・・。
「ほらほら、どーした!やめてくださいだろう~やめてくださいと言え。痛!」
思いっきり、自称神様の頭を殴ってやった。
パタン・・・。ドアを閉める。
「ここ、俺の部屋だよな?」番号を確かめる。うん、合ってる。
もう一度、ドアを開ける。
「よくぞま・・・」
パタン・・・。やっぱりドアを閉める。
夢、じゃないよな?
もう一度、ドアを開ける。
「よ・・」
パタン!ドアを閉める。いやいやおかしいだろ!誰?あれ。
「こらー!人がカッコよく言ってるのに無視するな!」
内側からドンドンとドアを叩く音がする。なになに怖いんだけど?まさか俺の隠し子?いやいや、考えれば玲子と付き合うまで俺はモテなかった!悲しい現実だけど、つい最近まで俺は貞操を守っていたんだ!だから隠し子の線は消える。
近所迷惑になるのも嫌なので、しぶしぶドアを開けると「小学生の女の子」が立っていた。しかも仁王立ちで。
「わらわが、迎えに来てやったぞ、勇者よ!さぁ、行こう!」手を差し出してくる。
「あ~もしもし、警察ですか?知らない女の子が家に勝手に入ってまして・・・」
「通報しないでください!」目を潤ませた女の子は俺の手を掴む。
いかにも怪しい女の子に俺は首を傾げ「それで、お前誰よ?ここは俺の家なんだけど。」
「フッフッフ~。よくぞ聞いてくれた!我が名はクリス・サリーナ!女神である!お前を異世界に導かんとやって来たのだ!頭が高い!」ビシッ!と指を指してきた。
「あ~、救急車ですか?俺の家に勝手に入って来た女の子が頭がおかしい言動をするんですけど、え?まずは警察に・・・はぁ、解りました。」
「お願いですから、通報はしないでください!」今度は土下座をしている。なんだコイツ。強気なのか弱気なのか正常なのか異常なのかも解らない。
「まぁ、玄関で立ち話もなんですし、奥へどうぞ。」遜色ない態度の女の子は俺を部屋奥に案内する。
「ここは俺の家だ!全く調子狂うなぁ~。絶対に警察に突き出してやるからな!」
「まぁまぁ、ご冗談を。」と俺を窘めてくる。
リビングにあるソファに座る俺。向かいに女神と言って聞かない女の子がちょこんと座っている。小さな体にこのソファーは合わないのだろう、足が宙ぶらりんだ。
「それで、本当はお前何者だよ?」早くハンバーガーを食べたい俺はふつふつと湧き上がる怒りを堪え、もう一度確認してみる。
「お前ではない!わらわの名はクリス・サリーナ!女神じゃ!」
「そうか、頭打ったんだな?やっぱり救急車呼ぼうか。」
「だから、本物の女神なんだって言ってるじゃない!」泣き出した・・・。
昔、小さな妹が泣き出した頃を思い出した俺は、とっさに「腹減ってないか?美味しい物でも食べようか?」と声を掛けたのだが、それは失敗だった。その声を待っていたのかのように自称神様のサリーナは一瞬で泣きやみ「わぁ~い!食事、食事!」と小躍りをしてる。
「てめぇ~ウソ泣きだったか。絶対に警察に突き出してやる!」怒りが頂点に昇っているが暴行を加える訳にも行かない。ハンバーガーを食わせてさっさと帰ってもらおう。
宅配の注文の為にスマホの画面を見ていると、
「なんだそれは?何かの魔道具か?」
「はぁ?この世界に魔道具なんかあるかぁ~!」
「何やら見ておるではないか。」
「お前、今時の小学生なんだろ?スマホだよ、ス・マ・ホ!」
「スマホ?何をするための道具なんだ?」
「本当に知らんのか?遠くの人と会話をする為の物だよ!」
「なんだ、意思伝達の物であったのか!それなら、わらわも出来るぞ!」
「スマホなしでどうやって電話出来んだよ・・・うっ!」
頭の中で声が聞こえる・・・。
「わらわの声が聞こえるか?勇者よ。」
慌てて、サリーナの方を見るとニヤリと笑いながら「これで、わらわが神と分かっただろ?」
口が、動いてない・・・テレパシーか!
「解った、解ったから、頭に直接、話しかけるのは止めてくれ!」
「止めてくれ?そこは「ください」だろうが。」悪魔のように笑うサリーナはテレパシーをやめないどころか更に強く念を送ってくる。
「ウッ!」頭に響く感覚がVR酔いに近い感覚で気持ち悪い・・・。
「ほらほら、どーした!やめてくださいだろう~やめてくださいと言え。痛!」
思いっきり、自称神様の頭を殴ってやった。
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