上 下
8 / 19

8. 門前払い

しおりを挟む
「どうしてダメなの!?あなたじゃお話にならないわ!もっと上…そうね、騎士団長か、お父様に話を通しなさい!」


 せっかく馬車の中で四人で楽しく話して帰ってきたのに、門番ったら、彼らを通す事は出来ないって言うのよ。あり得ないわ!

「ですから…王族専用居住区域は王族以外は入れませんと何度もお伝えしている通りです。どうしてもというなら、警備を増やしますから後日、ご自身で陛下へお願いして下さい。」

「なぜ?私の友人よ!?なぜ部屋に通す事が出来ないの?だったら、食堂でいいわ。通しなさい!」

「申し訳ありません、ヴァレリア様。許可を得てない人はお通し出来ないのです。」

「だったら、今から許可をもらう為にお父様に伝えに行きなさい!」

「陛下はただ今重要なお仕事をされています。ですからお会いになれるのは、夕方かと。」

「それじゃ、昼ご飯終わってしまうわ!」

「はい、申し訳ありません。」

 門番はそうやって同じ言葉を繰り返すばかり。どうして友人を自分の部屋に案内するのがいけないのよ!こういうのが王族って本当に面倒だわ!!警備とか言って!彼らが何かしでかすわけないじゃないの!!

「ヴァレリア様、今日のところは諦めましょう。王都の店へ出向きましょうか。お金を持って参りますから、馬車へお戻り下さい。」

 モラリが、そう言ったので私はせっかく来てもらった三人に謝った。

「…ごめんなさい、門番ってば分からず屋で。今回は謝罪の意味も込めて私が支払うから遠慮しないでね。でも、どのお店がいいかは私あまり出歩いた事無いから教えて欲しいの。良いお店ある?」

「仕方ねぇなぁ!肉の店ならいい所知ってるぜ!でも、俺ら金、本当に持ってないけどいいのか?」

「ええ。嫌な気分にさせてごめんなさいね。」

 もう!あとで帰ったらお父様に抗議してやるんだから!!





 アントンに教えてもらったお店は、本当にお肉の美味しいお店で、また皆で来ましょうと言った。食事をした後はお茶をゆっくりと味わって、みんなを送り届けてから宮廷に帰ってくるとすっかり日は暮れて夜になっていた。

「はー疲れた。そう言えば、みんな明日も行くって言ってたわね。奉仕活動は草取りだろうって言ってたわ。誘ってくれたから私も行こうかしらね。だから早く寝ないとね、モラリ。あ、ヴェロニカ!ただいまー。」

 少し後ろを歩いているモラリに話していると、ヴェロニカが前から歩いてくるので思わず話しかけた。

「どうだった?宮廷学院は。」

「ええ、楽しかったわ。ねぇ、この後話さない?」

 そう言われたけど、さすがに疲れちゃったのよね。

「ごめん、ヴェロニカ。明日も学校行くから早く寝たいの。急ぎじゃなければまたね!」


 ヴェロニカ、私がいなくて淋しかったのかしら?ま、大丈夫よね!そう言うのも慣れていかないと大人になった時困るものね。また、ゆっくり話せる時が出来たら話しましょうね!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

メイドの方が可愛くて婚約破棄?

岡暁舟
恋愛
メイドの方が好きなんて、許さない!令嬢は怒った。

【完結】双子の国の行く末〜妹ヴェロニカの見た景色〜

まりぃべる
恋愛
姉のヴァレリアと、私ヴェロニカは双子の王女。 長子が身分や仕事や財産を継承するが当たり前の思想が浸透していましたから、長女ヴァレリアが国を継ぐと漠然と思われていました。 しかし、それはだんだんと変化し、次の陛下は…? ☆妹が主人公です。 ☆現実世界に似たような名前、思想などがありますが、全く関係ありません。 ☆設定はふんわりと緩いです。 ☆カラーが異なる為にヴァレリアが過ごした日々を別の作品としました。 その作品を読んでいなくても分かると思います。 その作品は、こちらが完結したら投稿します。 ☆全39話です。書き上げていますので、随時投稿していきます。

【完結】おしどり夫婦と呼ばれる二人

通木遼平
恋愛
 アルディモア王国国王の孫娘、隣国の王女でもあるアルティナはアルディモアの騎士で公爵子息であるギディオンと結婚した。政略結婚の多いアルディモアで、二人は仲睦まじく、おしどり夫婦と呼ばれている。  が、二人の心の内はそうでもなく……。 ※他サイトでも掲載しています

婚約破棄を訴える夫候補が国賊だと知っているのは私だけ~不義の妹も一緒におさらば~

岡暁舟
恋愛
「シャルロッテ、君とは婚約破棄だ!」 公爵令嬢のシャルロッテは夫候補の公爵:ゲーベンから婚約破棄を突きつけられた。その背後にはまさかの妹:エミリーもいて・・・でも大丈夫。シャルロッテは冷静だった。

婚約破棄計画から始まる関係〜引きこもり女伯爵は王子の付き人に溺愛される〜

香木あかり
恋愛
「僕と婚約して、《婚約破棄されて》くれませんか?」 「へ?」  クリスティーナはとある事情からひっそりと引きこもる女伯爵だ。  その彼女のもとに来たのは、『婚約破棄されてくれ』という不思議な依頼だった。  依頼主のヘンリー・カスティルは、皆から親しまれる完璧な伯爵子息。でもクリスティーナの前では色んな面を見せ……。 「なるべく僕から離れないで、僕だけを見ていてくれますか?」 「貴女を離したくない」 「もう逃げないでください」  偽物の関係なのに、なぜか溺愛されることに……。 (優しくしないで……余計に好きになってしまう)  クリスティーナはいつしかヘンリーが好きになってしまう。でも相手は偽の婚約者。幸せになれないと気持ちに蓋をする。  それなのに…… 「もう遠慮はしませんからね」  グイグイと距離を詰めてくるヘンリー。  婚約破棄計画の結末は……?

【完結】失いかけた君にもう一度

暮田呉子
恋愛
偶然、振り払った手が婚約者の頬に当たってしまった。 叩くつもりはなかった。 しかし、謝ろうとした矢先、彼女は全てを捨てていなくなってしまった──。

【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。 ※アルファポリスのみの公開です。

処理中です...