【完結】私、噂の令息に嫁ぎます!

まりぃべる

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15. 侯爵家での暮らし

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 侯爵家に来て二週間。

 うちとは比べ物にならないものがたくさんあって、驚きの連続よ!

 このヴェーバー領は、一年を通して温暖な気候だそう。朝は冷え込む時期もあるけれど、暖かい気候が続くので道中もとてもたくさんの種類の花が咲いている。

 お屋敷はとても広く、まるでここが王宮と言われても信じてしまうほど。
…王宮も行った事も無いから、分からないだけかもしれないけれど。


 結婚式をした日に、侯爵家の馬車に乗って、途中町の宿に二泊してこのお屋敷までやってきた。

 その馬車も、さすが侯爵家の持ち物!揺れるけれど、クッションもたくさん置いてあったからか、そこまで響くものでもなくて。体もそこまで痛くはならなかったわ!

 長い時間フォルス様と二人っきりで乗っていて、初めは緊張したのだけれど、小窓から見える景色を不思議そうに見ていると、いつの間にかフォルス様が講義を始めてくれた。

『あれは、小麦畑だよ。あの領地ではね…』『あれは、ぶどう畑だよ。あそこで作られるワインはね…』等々、いろいろと教えてくれるからとても聞いていて為になったし、面白かったわ。
半分以上、うちの食卓でお目にかかっていない話もあったけれど、これから、侯爵家で食卓に上がるものも数多くあるのですって。目に見たものが、食べる時には姿を変えるってとても驚いたわ。小麦なんて、それの代表よね。あんなものがパンや麺に変わるなんて驚いたわ。

 

 馬車がテイラー侯爵家のお屋敷に着くと、フォルス様は早速屋敷の説明をしてくれた。

 正面玄関は本邸のちょうど真ん中にあった。
ボウマン家は、玄関扉は一つだったけれど、ここはうちの玄関扉よりもかなり大きいものが両開きにあった。

 そして、大きな本邸の他に左右に別邸が一棟ずつ建っている。
一つは使用人棟で、もう一つは引退された前侯爵であるお義父様が住んでおられるのだそう。
前侯爵夫人は、フォルス様が小さな頃にお亡くなりになったらしい。だからお義父様が一人で住んでおられるのだとか。

 「うちは、こんな感じで周りも自然に囲まれていてとても広いからね。一人で外に出ない事。いいかな?こちら側正面玄関側なら出歩くのは構わないけれど、裏側は広いし迷ってもいけない。あちらには行かないように。いいかな?」

 と、軽い説明も受けました。

 確かに、周りは森のように木々に囲まれている。屋敷がある場所だけ、開けている。だからきっと奥も森のようになっているのだわ。



 お屋敷に辿り着いた日に、正面玄関でそう説明を受けたので、他に建物は無いと思っていたのです。
 

 でも、庭を散策していて、裏手に回ってしまった時に、木々の陰に隠れるように家が一軒建っていたのです。
私には、 エラという名の侍女がついていたのですが、そちらの方へ私が向かうとしきりに『帰りましょう』と言っていたのです。でも、私は気になって裏手に回ってしまったのです。
だって、お屋敷も広いのだけれど、それを囲うように木々が丁寧に植えられているの。だから、裏がどうなっているのか、どこまで敷地が続いているのか見たかったのよね。

 だけれど、私がその建物を見て、『あれは?』って聞いた時のエラのしまった!っていうような顔。
そしてとても哀しそうに、『申し訳ありません、私の口からは言えませんので、旦那様からお聞き下さい。』と言われたのよね。

 あれを見て、封印しかけていた、という事を思い出してしまったの。

 もしかしたら、離婚の理由って、あの建物じゃないのかしら?
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