17 / 20
17. マルツェルの仕業 〜マルツェル視点〜
しおりを挟む
俺は、マルツェル。この国の第二王子だぜ!
兄上は俺より三歳年上で、カシュパルっていって、なんでも完璧で少々鼻につくと言えなくもないが、まぁ最近は会ってもいないからどうなのか分からないけどさ。
そんな兄上は今年二十歳になるから父上直々に戴冠の儀があるんだ。それが済むと、兄上が国王陛下となる。父上は、国王陛下を退くらしい。
でも、いつ見ても美人な母上が最近悲しんでるんだ。
なんでも、ドレスや宝石を買う金を止められたとか。
それに嘆き、俺に国王陛下になってくれと言い出したんだ。
俺は、父上の仕事を見ていないから国王陛下が何するのかなんて良く分からないけどとにかく国中で一番偉い人なんだろ?もしそれになったら、いけすかない奴らが俺にひれ伏すんだろ!?だったら、なってやるよ!
政治の事は良く分かんねぇから、今までやってくれてる官僚共に引き続きやってもらえばいいだろ?俺って頭良いよな!
どうすればなれるか考えてた在る日。俺と話がしたいって兄上が言ってきたんだ。
まぁ、別にたまにはいいかと思って兄上の部屋に行ったら、これがつまんねーの!
カーテンがなんで金色じゃないんだ?
ソファの布地だって、金色がいいに決まってる!ベッドのカバーだって金色だろ?
金色は、自分が偉い立場だって感じる事が出来る色だろ?なかなか高価らしいじゃん?
なのに兄上は、薄い色でよ。クリーム色っていうのか?あれ。全く高級感のない部屋でびっくりしたぜ。
「どうだ?久し振りだな、マルツェル。最近、何か打ち込めるもの、出来たりしたか?」
なんて、兄上が聞いてくるもんだから俺は柄にも無く考え込んじまった。
「昔は、キラキラした物が好きだったよな?デニサ様の使わなくなった宝石を加工して、ブローチにして勲章のように幾つも服に付けていたよな。最近はしていないのか?」
「兄上、いつの話をしているんだ?確かに母上から貰った指輪やイヤリングを加工して、ブローチにしてるけどもう自分には付けたりしないさ。部屋に飾っているんだ。」
「そうなのか。いや、加工とかが好きならそういうのを学ぶのもいいかと思ったんだ。」
「学ぶ!?俺が?ないない!兄上は何が好きなのさ?」
「私か…好きな物があっても、私には意味が無い。この指輪、見てみろよ。これは、枷さ。私は二十歳になった。もうすぐ、戴冠の儀がある。その時にこの指輪が必要なんだ。」
そう言って、俺に手のひらを向けて指輪を見せた兄上。
「なんで?」
「この指輪、王位継承権の証だからさ。これが無きゃ、私は国王になれない。だから、大切にいつも指に嵌めている。だが…いつも嵌めているからか汚れているな。戴冠式までに磨いてもらわないとな…。そうだ、今日にでも磨いてもらおう。」
それを聞いた俺は閃いた!指輪が無ければ兄上は国王になれない…ってことは、順当にいけば、俺だな!
問題は、どうするか…ん?
視線を感じた俺は壁の方を見ると、そこで立っている侍女の中に、ずいぶん前に廊下でばったり会ってお友達になった侍女が俺を見て小さく手を振っているのが見える。
これは運が向いてきたぜ!
名案を思い付いた俺は、部屋を出る時にそれとなく侍女に合図を送り、廊下に出てきた所を近くの奥まった壁際に押し込んで耳元で作戦を伝えた。
『兄上の指輪を俺に持ってこい』
驚いていたが、ちょっと体に触れてやると向こうも嬉しそうに俺に引っ付いてきたもんだから、少しの間触れあってしまったぜ。
でもそのお陰か、その日の夕方に俺の部屋へ来て指輪を届けてくれたから、さすが俺のお友達だ!
もちろん、兄上の部屋に置き忘れた忘れ物を届けに来た、とヤロとヨルマには言ってくれたからな。抜かりはないぜ!
でも、よく考えたら指輪を部屋のどこに隠しておけばいいのか迷っちまってよ。いつも勝手に使用人に掃除されてるからな、見つけられたら、兄上に返されたら意味ないだろ?
どうしようか考えたけど、すぐに遠くのククレの湖に捨ててしまえばいいんじゃね?と思ったから、俺ってやっぱ天才だよな!
兄上は俺より三歳年上で、カシュパルっていって、なんでも完璧で少々鼻につくと言えなくもないが、まぁ最近は会ってもいないからどうなのか分からないけどさ。
そんな兄上は今年二十歳になるから父上直々に戴冠の儀があるんだ。それが済むと、兄上が国王陛下となる。父上は、国王陛下を退くらしい。
でも、いつ見ても美人な母上が最近悲しんでるんだ。
なんでも、ドレスや宝石を買う金を止められたとか。
それに嘆き、俺に国王陛下になってくれと言い出したんだ。
俺は、父上の仕事を見ていないから国王陛下が何するのかなんて良く分からないけどとにかく国中で一番偉い人なんだろ?もしそれになったら、いけすかない奴らが俺にひれ伏すんだろ!?だったら、なってやるよ!
政治の事は良く分かんねぇから、今までやってくれてる官僚共に引き続きやってもらえばいいだろ?俺って頭良いよな!
どうすればなれるか考えてた在る日。俺と話がしたいって兄上が言ってきたんだ。
まぁ、別にたまにはいいかと思って兄上の部屋に行ったら、これがつまんねーの!
カーテンがなんで金色じゃないんだ?
ソファの布地だって、金色がいいに決まってる!ベッドのカバーだって金色だろ?
金色は、自分が偉い立場だって感じる事が出来る色だろ?なかなか高価らしいじゃん?
なのに兄上は、薄い色でよ。クリーム色っていうのか?あれ。全く高級感のない部屋でびっくりしたぜ。
「どうだ?久し振りだな、マルツェル。最近、何か打ち込めるもの、出来たりしたか?」
なんて、兄上が聞いてくるもんだから俺は柄にも無く考え込んじまった。
「昔は、キラキラした物が好きだったよな?デニサ様の使わなくなった宝石を加工して、ブローチにして勲章のように幾つも服に付けていたよな。最近はしていないのか?」
「兄上、いつの話をしているんだ?確かに母上から貰った指輪やイヤリングを加工して、ブローチにしてるけどもう自分には付けたりしないさ。部屋に飾っているんだ。」
「そうなのか。いや、加工とかが好きならそういうのを学ぶのもいいかと思ったんだ。」
「学ぶ!?俺が?ないない!兄上は何が好きなのさ?」
「私か…好きな物があっても、私には意味が無い。この指輪、見てみろよ。これは、枷さ。私は二十歳になった。もうすぐ、戴冠の儀がある。その時にこの指輪が必要なんだ。」
そう言って、俺に手のひらを向けて指輪を見せた兄上。
「なんで?」
「この指輪、王位継承権の証だからさ。これが無きゃ、私は国王になれない。だから、大切にいつも指に嵌めている。だが…いつも嵌めているからか汚れているな。戴冠式までに磨いてもらわないとな…。そうだ、今日にでも磨いてもらおう。」
それを聞いた俺は閃いた!指輪が無ければ兄上は国王になれない…ってことは、順当にいけば、俺だな!
問題は、どうするか…ん?
視線を感じた俺は壁の方を見ると、そこで立っている侍女の中に、ずいぶん前に廊下でばったり会ってお友達になった侍女が俺を見て小さく手を振っているのが見える。
これは運が向いてきたぜ!
名案を思い付いた俺は、部屋を出る時にそれとなく侍女に合図を送り、廊下に出てきた所を近くの奥まった壁際に押し込んで耳元で作戦を伝えた。
『兄上の指輪を俺に持ってこい』
驚いていたが、ちょっと体に触れてやると向こうも嬉しそうに俺に引っ付いてきたもんだから、少しの間触れあってしまったぜ。
でもそのお陰か、その日の夕方に俺の部屋へ来て指輪を届けてくれたから、さすが俺のお友達だ!
もちろん、兄上の部屋に置き忘れた忘れ物を届けに来た、とヤロとヨルマには言ってくれたからな。抜かりはないぜ!
でも、よく考えたら指輪を部屋のどこに隠しておけばいいのか迷っちまってよ。いつも勝手に使用人に掃除されてるからな、見つけられたら、兄上に返されたら意味ないだろ?
どうしようか考えたけど、すぐに遠くのククレの湖に捨ててしまえばいいんじゃね?と思ったから、俺ってやっぱ天才だよな!
11
お気に入りに追加
304
あなたにおすすめの小説
嘘はあなたから教わりました
菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。
異世界ライフは山あり谷あり
常盤今
ファンタジー
会社員の川端努は交通事故で死亡後に超常的存在から異世界に行くことを提案される。これは『魔法の才能』というチートぽくないスキルを手に入れたツトムが15歳に若返り異世界で年上ハーレムを目指し、冒険者として魔物と戦ったり対人バトルしたりするお話です。
※ヒロインは10話から登場します。
※火曜日と土曜日の8時30分頃更新
※小説家になろう(運営非公開措置)・カクヨムにも掲載しています。
【無断転載禁止】
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
本当の仲間ではないと勇者パーティから追放されたので、銀髪ケモミミ美少女と異世界でスローライフします。
なつめ猫
ファンタジー
田中一馬は、40歳のIT会社の社員として働いていた。
しかし、異世界ガルドランドに魔王を倒す勇者として召喚されてしまい容姿が17歳まで若返ってしまう。
探しにきた兵士に連れられ王城で、同郷の人間とパーティを組むことになる。
だが【勇者】の称号を持っていなかった一馬は、お荷物扱いにされてしまう。
――ただアイテムボックスのスキルを持っていた事もあり勇者パーティの荷物持ちでパーティに参加することになるが……。
Sランク冒険者となった事で、田中一馬は仲間に殺されかける。
Sランク冒険者に与えられるアイテムボックスの袋。
それを手に入れるまで田中一馬は利用されていたのだった。
失意の内に意識を失った一馬の脳裏に
――チュートリアルが完了しました。
と、いうシステムメッセージが流れる。
それは、田中一馬が40歳まで独身のまま人生の半分を注ぎこんで鍛え上げたアルドガルド・オンラインの最強セーブデータを手に入れた瞬間であった!
悪役令嬢キャロライン、勇者パーティーを追放される。
Y・K
ファンタジー
それは突然言い渡された。
「キャロライン、君を追放する」
公爵令嬢キャロラインはダンジョンの地下100階にて、いきなり勇者パーティーからの追放を言い渡された。
この物語は、この事件をきっかけにその余波がミッドランド王国中に広がりとてつもない騒動を巻き起こす物語。
追放されましたがマイペースなハーフエルフは今日も美味しい物を作る。
翔千
ファンタジー
ハーフエルフのシェナは所属していたAランクの勇者パーティーで魔力が弱いからと言う理由で雑用係をさせられていた。だが、ある日「態度が大きい」「役に立たない」と言われ、パーティー脱退の書類にサインさせられる。所属ギルドに出向くと何故かギルドも脱退している事に。仕方なく、フリーでクエストを受けていると、森で負傷した大男と遭遇し、助けた。実は、シェナの母親、ルリコは、異世界からトリップしてきた異世界人。アニメ、ゲーム、漫画、そして美味しい物が大好きだったルリコは異世界にトリップして、エルフとの間に娘、シェナを産む。料理上手な母に料理を教えられて育ったシェナの異世界料理。
少し捻くれたハーフエルフが料理を作って色々な人達と厄介事に出会うお話です。ちょこちょこ書き進めていくつもりです。よろしくお願します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる