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3. 王宮の正門で、門前払い!?
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レナータは、アリーサに乗ってこのプラハブルノ国の王宮へとやって来た。
幼い頃は、ごくたまに両親と王宮まで来た気がするが、今まで一度も一人で来た事が無く、無事に着けるか不安でもあったがどうにか日が傾く前に辿り着いた。
ククレの湖から流れ出る川の本流と併走していけば、王宮へと繋がっているから、迷わずに来れたのだった。
しかし普通の人であれば、馬も疲れてしまうしそこまで早くは辿り着けない距離だ。だが、レナータの愛馬アリーサは魔獣の血が流れている為にここまで走ってくる事が出来た。またレナータも、早くしなければという思いが強く、歩みを緩める事なく休憩も取らずに来たのだった。
レナータもさすがにこの距離を駆けた事がなかったので肩で息をしながらも、早く応援を頼まないとという焦る思いで、王宮の正門の門番の列へと並ぶ。
やっとレナータの番が来て、レナータは門番へと話し掛ける。
「私、西の辺境地から来ました、レナータ=バルツァルと申します。火急の用件で参りました!魔術師団へお取り次ぎをお願い致します!」
レナータは、煌めくような銀色の髪をしていてこの辺りでは珍しい。逆に言えば、バルツァル家の者と言えば銀色の髪だと目印になる程で、分かる者が見ればすぐにバルツァル辺境伯の血筋の者だと分かる。が、門番はまだ、そのような知識は持ち合わせていないまだまだ下っ端が所属していた。
その為、レナータは疑われてしまった。
「辺境の地から~?連絡が来てないですねぇ。本当に、バルツァル家の方ですか?誰か大人の方は?」
レナータは自分がまだ子供だから、相手にされない事にイライラとしたが、その気持ちを抑えつつ反論した。
「連絡が来てないって、だから火急の件だと申し上げました!とにかく、領地の、ひいては国の一大事なのです!上の者に取り次いで下さい!」
「へっ!そういう怪しい輩を通す事は出来ないんだよ!ほら、今日連絡を上げておくから明日また来なさい。」
「何を言っているのです?それで、私の領地の者達が倒れ、この王宮にまで野獣が溢れてもいいとお考えなのですか!?早く、通しなさい!」
「痴れ言を言って…!はいはい。明日またね、お嬢さん!はい、次。」
「待って!お願い!取り次いで!!お父様や皆が亡くなってしまうわ!!」
レナータは、これで明日まで時間が経ってしまったら、ますます遅くなり、持ちこたえられるか不安で、涙声になりながらも声を張り上げた。
「何を騒いでいる?」
「レオシュ様!」
その声にレナータは振り返ると、騒ぎを聞きつけたのか、レナータの後ろからかなり背の高い、青み掛かった黒い色の髪の、紺色の軍服を着た男性が近寄ってきた。
「いえ、レオシュ様のお手を患わせるわけには…!ちょっとしたワガママなお嬢さんなだけで…」
「酷いわ!あの、お願いします!私、レナータ=バルツァルと申します。バルツァル領が大変なので、応援をお願いしたいのです!ですから取り次いでいただきたいのに、聞き入れて下さらなくて。決して、ワガママな話ではありません!」
「…おい、門番。彼女を見て分からないか?」
「え?何がです?一人で来るなんてワガママなお嬢さんかと…。大方、マルツェル様へ会いにいくのではないですか?」
「…ふん。まぁ、お前の判断が正しいのかは、すぐに分かる。…レナータ嬢、不安な思いをさせて申し訳なかった。こちらへおいで。」
目に涙を溜めたレナータが美しいと思ったレオシュは、怖がらせないよう優しくそうレナータに言った。
幼い頃は、ごくたまに両親と王宮まで来た気がするが、今まで一度も一人で来た事が無く、無事に着けるか不安でもあったがどうにか日が傾く前に辿り着いた。
ククレの湖から流れ出る川の本流と併走していけば、王宮へと繋がっているから、迷わずに来れたのだった。
しかし普通の人であれば、馬も疲れてしまうしそこまで早くは辿り着けない距離だ。だが、レナータの愛馬アリーサは魔獣の血が流れている為にここまで走ってくる事が出来た。またレナータも、早くしなければという思いが強く、歩みを緩める事なく休憩も取らずに来たのだった。
レナータもさすがにこの距離を駆けた事がなかったので肩で息をしながらも、早く応援を頼まないとという焦る思いで、王宮の正門の門番の列へと並ぶ。
やっとレナータの番が来て、レナータは門番へと話し掛ける。
「私、西の辺境地から来ました、レナータ=バルツァルと申します。火急の用件で参りました!魔術師団へお取り次ぎをお願い致します!」
レナータは、煌めくような銀色の髪をしていてこの辺りでは珍しい。逆に言えば、バルツァル家の者と言えば銀色の髪だと目印になる程で、分かる者が見ればすぐにバルツァル辺境伯の血筋の者だと分かる。が、門番はまだ、そのような知識は持ち合わせていないまだまだ下っ端が所属していた。
その為、レナータは疑われてしまった。
「辺境の地から~?連絡が来てないですねぇ。本当に、バルツァル家の方ですか?誰か大人の方は?」
レナータは自分がまだ子供だから、相手にされない事にイライラとしたが、その気持ちを抑えつつ反論した。
「連絡が来てないって、だから火急の件だと申し上げました!とにかく、領地の、ひいては国の一大事なのです!上の者に取り次いで下さい!」
「へっ!そういう怪しい輩を通す事は出来ないんだよ!ほら、今日連絡を上げておくから明日また来なさい。」
「何を言っているのです?それで、私の領地の者達が倒れ、この王宮にまで野獣が溢れてもいいとお考えなのですか!?早く、通しなさい!」
「痴れ言を言って…!はいはい。明日またね、お嬢さん!はい、次。」
「待って!お願い!取り次いで!!お父様や皆が亡くなってしまうわ!!」
レナータは、これで明日まで時間が経ってしまったら、ますます遅くなり、持ちこたえられるか不安で、涙声になりながらも声を張り上げた。
「何を騒いでいる?」
「レオシュ様!」
その声にレナータは振り返ると、騒ぎを聞きつけたのか、レナータの後ろからかなり背の高い、青み掛かった黒い色の髪の、紺色の軍服を着た男性が近寄ってきた。
「いえ、レオシュ様のお手を患わせるわけには…!ちょっとしたワガママなお嬢さんなだけで…」
「酷いわ!あの、お願いします!私、レナータ=バルツァルと申します。バルツァル領が大変なので、応援をお願いしたいのです!ですから取り次いでいただきたいのに、聞き入れて下さらなくて。決して、ワガママな話ではありません!」
「…おい、門番。彼女を見て分からないか?」
「え?何がです?一人で来るなんてワガママなお嬢さんかと…。大方、マルツェル様へ会いにいくのではないですか?」
「…ふん。まぁ、お前の判断が正しいのかは、すぐに分かる。…レナータ嬢、不安な思いをさせて申し訳なかった。こちらへおいで。」
目に涙を溜めたレナータが美しいと思ったレオシュは、怖がらせないよう優しくそうレナータに言った。
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