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6. 学院の初登校日
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この国ニュークビンアースは、国王陛下が治めている。
その国王を支える為には、宮廷で働く事が栄誉であるしエリートだと言われている。貴族達は、領主であれば領地も治めないといけないが、それは代行という形で信頼の置ける者に任せ、宮廷で働いている領主もいる。
また、後継者になれない長男以下の者達は宮廷で働く事が出来れば平民とならずに済む為、そこを目指す者も多かった。
その為、学力を付ける為には幼い頃より家庭教師を付ける家もある。
ちなみにクラーラの父は、宮廷で働くのは性に合わないと領主としてマグヌッセン伯爵領に隠って自ら仕事をしている。心無い者は、それを変わり者だとあざ笑った。
ここの主な特産品は、この地域でそこかしこに転がっている〝カオリン〟と呼ばれるものから出来た陶器だ。丈夫で、見た目も青々とした海を思い出させるような出来栄えで素晴らしいので売れ行きも伸びている為、マグヌッセン家は経営も順調だ。
そして十五歳になる歳に国立学院に入学し十八歳で卒業する。貴族、商家、庶民の誰でも入学する事が出来る。しかし、基本は寄付金が無いと入れない。
どうしても寄付金が払えない庶民などは稀に特別枠で入学する事が出来るように救済措置がある。
国立学院は、貴族、商家、庶民と身分関係なく人脈を築く場でもあると教えがあるが、実際には見えない壁のようなものがあり、度を越してしまう者がいれば、被害を被った家から抗議がある事があり、それがあるとその後の人生に大きく関わってしまう為に大抵は階級が違う者同士はつかず離れずの関係を保っている。
学院は宮廷の目と鼻の先にあり、今日からはマグヌッセン伯爵領のカントリーハウスから離れ、宮都にあるタウンハウスから通う。宮都から、馬車で半日かかる場所にマグヌッセン伯爵領がある為、そこから通うのは難しいからだ。
家から通う事が難しい者は、寮がある。だがクラーラは、寮ではなくタウンハウスから通う事を選んだ。タウンハウスには、この管理をお願いしている遠縁の老夫婦と、カントリーハウスからきた数人の使用人がいるから寮よりも慣れているからだ。
クラーラは、入学する学院に早く着いた。馬車止めが混むと思い、早く来たのだ。まだ人はほとんどいない。だが少し先に、校舎に続く道に佇んでいる金髪の女性を見つけた。
(綺麗な髪…!太陽に反射して、煌めいているわ。少し風が吹くと靡いて。まるで金色の滝みたいな髪だわ。)
クラーラはそう思いながら進んで行くと、その女性が振り返り、クラーラを見てにっこりと笑った。
「おはよう。私、人混みが苦手で早く来てしまったの。そうしたら、誰も居なくて寂しかったのよね。私、シャーロテ=オルリックよ、よろしくね。」
オルリック家といえば、公爵家だ。クラーラはだからこんなに綺麗な髪をしているのかと思った。きっと丁寧に時間を掛けて手入れしているのだろうと思ったのだ。
そして、恐れ多くも王家の血を少なからず受け継いでいる人と言葉を交わしてしまったと、途端に緊張した。でも、階級が目上の人から話し掛けられて答えないのも不敬にあたる為、緊張しながらもどうにか言葉を繋いだ。
「あ…あの、私もそうです。馬車止めは混むかと思いましたので。私はクラーラ=マグヌッセンでございます。こちらこそよろしくお願い致します。」
畏まって言ったクラーラに対して、シャーロテは明るく、でも少し圧を感じるような雰囲気で言葉を返された。
「ではクラーラとお呼びしても?ここは学院です。よければ、身分関係なくお友達になって欲しいわ。だってなんだか似た者同士みたいですもの。人混みが苦手なんでしょう?」
クラーラはそう言われ、少し笑うに留めた。伯爵家の者が、おいそれと公爵家の人間と一緒にいるのは身分違いだろうと思ったのだ。
「あら、その顔はつかず離れずでいこうと思っている顔ね?私、お友達を作れないのよ、寂しい人間なの。だからお願い、クラーラ。私の事はシャーロテと呼んでね?仲良くして欲しいけれど、ダメかしら?」
「い、いえ!ダメだなんてそんな!ではシャーロテ様、講堂へ行かれますか?まだ早いので、校舎でも見て回りますか?」
「ダメよ、シャーロテって呼んで?ね?抗議したりなんてそんな馬鹿な真似はしないわ。そんな事したら公爵家の名に傷をつける事になるもの。」
シャーロテにそう言われ、クラーラは確かに畏れ多くも同じ感性を持ってるかもしれないシャーロテと友達になりたいとも思った為、承諾をした。
「寛大なお心、ありがとうございます。では、シャーロテと呼ばせていただきますね。」
「もう!ここは学院よ!?言葉遣いも、友人に対する言葉にして!」
こうも必死に言われ、なんだか嬉しくなったクラーラはにっこりと微笑んで言葉を返した。
「はい、では、シャーロテ。末永くよろしくね。」
「良く出来ました!ふふふ。嬉しいわ、お友達ね!マグヌッセン伯爵家は、そこまで権力に拘りを持ってないでしょう?宮廷にも勤めていないし。だから、お友達になりたかったのもあるの。でも、貴女のその優しそうな人柄を見て余計に思ったの。じゃあ講堂へ行って、もっとお話しましょ!」
そう言ったシャーロテは、嬉しそうにクラーラの手を引っ張って講堂へと向かった。
その国王を支える為には、宮廷で働く事が栄誉であるしエリートだと言われている。貴族達は、領主であれば領地も治めないといけないが、それは代行という形で信頼の置ける者に任せ、宮廷で働いている領主もいる。
また、後継者になれない長男以下の者達は宮廷で働く事が出来れば平民とならずに済む為、そこを目指す者も多かった。
その為、学力を付ける為には幼い頃より家庭教師を付ける家もある。
ちなみにクラーラの父は、宮廷で働くのは性に合わないと領主としてマグヌッセン伯爵領に隠って自ら仕事をしている。心無い者は、それを変わり者だとあざ笑った。
ここの主な特産品は、この地域でそこかしこに転がっている〝カオリン〟と呼ばれるものから出来た陶器だ。丈夫で、見た目も青々とした海を思い出させるような出来栄えで素晴らしいので売れ行きも伸びている為、マグヌッセン家は経営も順調だ。
そして十五歳になる歳に国立学院に入学し十八歳で卒業する。貴族、商家、庶民の誰でも入学する事が出来る。しかし、基本は寄付金が無いと入れない。
どうしても寄付金が払えない庶民などは稀に特別枠で入学する事が出来るように救済措置がある。
国立学院は、貴族、商家、庶民と身分関係なく人脈を築く場でもあると教えがあるが、実際には見えない壁のようなものがあり、度を越してしまう者がいれば、被害を被った家から抗議がある事があり、それがあるとその後の人生に大きく関わってしまう為に大抵は階級が違う者同士はつかず離れずの関係を保っている。
学院は宮廷の目と鼻の先にあり、今日からはマグヌッセン伯爵領のカントリーハウスから離れ、宮都にあるタウンハウスから通う。宮都から、馬車で半日かかる場所にマグヌッセン伯爵領がある為、そこから通うのは難しいからだ。
家から通う事が難しい者は、寮がある。だがクラーラは、寮ではなくタウンハウスから通う事を選んだ。タウンハウスには、この管理をお願いしている遠縁の老夫婦と、カントリーハウスからきた数人の使用人がいるから寮よりも慣れているからだ。
クラーラは、入学する学院に早く着いた。馬車止めが混むと思い、早く来たのだ。まだ人はほとんどいない。だが少し先に、校舎に続く道に佇んでいる金髪の女性を見つけた。
(綺麗な髪…!太陽に反射して、煌めいているわ。少し風が吹くと靡いて。まるで金色の滝みたいな髪だわ。)
クラーラはそう思いながら進んで行くと、その女性が振り返り、クラーラを見てにっこりと笑った。
「おはよう。私、人混みが苦手で早く来てしまったの。そうしたら、誰も居なくて寂しかったのよね。私、シャーロテ=オルリックよ、よろしくね。」
オルリック家といえば、公爵家だ。クラーラはだからこんなに綺麗な髪をしているのかと思った。きっと丁寧に時間を掛けて手入れしているのだろうと思ったのだ。
そして、恐れ多くも王家の血を少なからず受け継いでいる人と言葉を交わしてしまったと、途端に緊張した。でも、階級が目上の人から話し掛けられて答えないのも不敬にあたる為、緊張しながらもどうにか言葉を繋いだ。
「あ…あの、私もそうです。馬車止めは混むかと思いましたので。私はクラーラ=マグヌッセンでございます。こちらこそよろしくお願い致します。」
畏まって言ったクラーラに対して、シャーロテは明るく、でも少し圧を感じるような雰囲気で言葉を返された。
「ではクラーラとお呼びしても?ここは学院です。よければ、身分関係なくお友達になって欲しいわ。だってなんだか似た者同士みたいですもの。人混みが苦手なんでしょう?」
クラーラはそう言われ、少し笑うに留めた。伯爵家の者が、おいそれと公爵家の人間と一緒にいるのは身分違いだろうと思ったのだ。
「あら、その顔はつかず離れずでいこうと思っている顔ね?私、お友達を作れないのよ、寂しい人間なの。だからお願い、クラーラ。私の事はシャーロテと呼んでね?仲良くして欲しいけれど、ダメかしら?」
「い、いえ!ダメだなんてそんな!ではシャーロテ様、講堂へ行かれますか?まだ早いので、校舎でも見て回りますか?」
「ダメよ、シャーロテって呼んで?ね?抗議したりなんてそんな馬鹿な真似はしないわ。そんな事したら公爵家の名に傷をつける事になるもの。」
シャーロテにそう言われ、クラーラは確かに畏れ多くも同じ感性を持ってるかもしれないシャーロテと友達になりたいとも思った為、承諾をした。
「寛大なお心、ありがとうございます。では、シャーロテと呼ばせていただきますね。」
「もう!ここは学院よ!?言葉遣いも、友人に対する言葉にして!」
こうも必死に言われ、なんだか嬉しくなったクラーラはにっこりと微笑んで言葉を返した。
「はい、では、シャーロテ。末永くよろしくね。」
「良く出来ました!ふふふ。嬉しいわ、お友達ね!マグヌッセン伯爵家は、そこまで権力に拘りを持ってないでしょう?宮廷にも勤めていないし。だから、お友達になりたかったのもあるの。でも、貴女のその優しそうな人柄を見て余計に思ったの。じゃあ講堂へ行って、もっとお話しましょ!」
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