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26. 西湖
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「速っ!女神様、速いですね!手綱さばき、素晴らしいですよ!」
リシャルド様はすぐ後ろについて走っていて、そう言ってくれた。ウカーシュ様も、ずっと私の隣にいて合わせてにこやかに走ってくれている。
お二人共、本当にダミアン兄様と同じ位か、それよりもお上手ね!
私は、久々に思い切り風を切って走れる事にとても高揚感を抱いていた。
「ナタリアは気持ち良さそうだね。来れて良かったよ。しかし本当に、走らせるのが上手だ。この子も、ナタリアの事を信頼しているんだね。」
「ふふ。そう言って下さって嬉しいですわ。お二人も、とてもお上手ですのね。ダミアン兄様より、お上手かもしれませんわ。」
「そう?そう言ってくれて嬉しいよ。ナタリアのその、素敵な笑顔が見えるのならまた一緒に来たいな。」
「うふふ。そうですね。出来たらいいですわね。」
確かに、こうやって私が速く走らせたり少しゆっくりにしても、お二人共合わせてくれるから、とても走りやすいのよね。…でも、次、はないでしょうね。だって、コンガレン国の人達ですものね。まぁ、仕方ないわ!
「そうですね!どんよりとした雲も、いつの間にか晴れてくれましたし、心地良いですよね!」
後ろから、リシャルド様がそう言った。さっきはどんよりとしていたのに、走り出したら瞬く間に雲が晴れたのよね。まるで、私の心みたいだわ!清々しいもの。
「そういえばそうですわよね!本当に良いお天気になりましたわね。」
「あ、ナタリア。西湖が見えてきたよ。あの辺りで休憩しようか。」
パシャパシャ
「はー、冷たくて気持ちがいい!ナタリアもやってみたらどうだい?」
私達は湖畔まで来ると、馬達に水を飲ませてから、近くに生えていた低い木の枝に馬をくくりつけた。
ウカーシュ様とリシャルド様は、湖の水面に両手を突っ込み顔を洗っていた。
「ええ。」
チャプチャプ…
湖に手を入れるととても冷たかった。でも、その手をすぐに水から引き上げ、走って火照った頬に当てると、とても気持ちが良かった。
「気持ちいい…!」
「良い顔だね!ナタリアを見ているとこっちまで楽しくなるなぁ。」
「えー?だって、本当に気持ちいいのですもの!普段だったら、湖の水は冷たいからこんな事しないの。でも、駆けてきたからかしら。とてもヒンヤリとして気持ちいいわ。」
「そうだね。それは良かった。」
ウカーシュ様はとても優しい笑みを浮かべて私に向けて言った。
「わ!何ですか!?あれ…!」
突如、リシャルド様が大きな声を上げた。
「本当だ!水面がキラキラと虹色に光っていて、それが湖の上に煙のように上っている…?」
「え?あぁ…!私も、良く分かりませんけれど、ここではいつもあの風景を見ますのよ。」
湖の水面一帯が虹色にキラキラと光り輝いて、それが煙のように上に舞い上がってゆっくりとある程度の高さまでいくとそれが消えて本当に煙みたい。
でもそれは、私はここに来るといつも見る光景なのだけれど、リシャルド様は指を指してウカーシュ様もとても驚いているわ。
「ウカーシュ様あれはまさか…。」
「ああ。あまり触れないでおこう。きっとナタリアがなにか関係しているのかもしれない。だが、とても綺麗だ…。」
何かしら?リシャルド様がウカーシュ様に近づいてお話されているわ。ここでしか見られない珍しい光景なのかしらね。他の湖に行った事がないからわからないけれど。
私はここに来るといつも清々しくて心地よい気分になるのよね。そうすると、たいていその光景が見られるのよ。西湖は素敵な所よね。
リシャルド様はすぐ後ろについて走っていて、そう言ってくれた。ウカーシュ様も、ずっと私の隣にいて合わせてにこやかに走ってくれている。
お二人共、本当にダミアン兄様と同じ位か、それよりもお上手ね!
私は、久々に思い切り風を切って走れる事にとても高揚感を抱いていた。
「ナタリアは気持ち良さそうだね。来れて良かったよ。しかし本当に、走らせるのが上手だ。この子も、ナタリアの事を信頼しているんだね。」
「ふふ。そう言って下さって嬉しいですわ。お二人も、とてもお上手ですのね。ダミアン兄様より、お上手かもしれませんわ。」
「そう?そう言ってくれて嬉しいよ。ナタリアのその、素敵な笑顔が見えるのならまた一緒に来たいな。」
「うふふ。そうですね。出来たらいいですわね。」
確かに、こうやって私が速く走らせたり少しゆっくりにしても、お二人共合わせてくれるから、とても走りやすいのよね。…でも、次、はないでしょうね。だって、コンガレン国の人達ですものね。まぁ、仕方ないわ!
「そうですね!どんよりとした雲も、いつの間にか晴れてくれましたし、心地良いですよね!」
後ろから、リシャルド様がそう言った。さっきはどんよりとしていたのに、走り出したら瞬く間に雲が晴れたのよね。まるで、私の心みたいだわ!清々しいもの。
「そういえばそうですわよね!本当に良いお天気になりましたわね。」
「あ、ナタリア。西湖が見えてきたよ。あの辺りで休憩しようか。」
パシャパシャ
「はー、冷たくて気持ちがいい!ナタリアもやってみたらどうだい?」
私達は湖畔まで来ると、馬達に水を飲ませてから、近くに生えていた低い木の枝に馬をくくりつけた。
ウカーシュ様とリシャルド様は、湖の水面に両手を突っ込み顔を洗っていた。
「ええ。」
チャプチャプ…
湖に手を入れるととても冷たかった。でも、その手をすぐに水から引き上げ、走って火照った頬に当てると、とても気持ちが良かった。
「気持ちいい…!」
「良い顔だね!ナタリアを見ているとこっちまで楽しくなるなぁ。」
「えー?だって、本当に気持ちいいのですもの!普段だったら、湖の水は冷たいからこんな事しないの。でも、駆けてきたからかしら。とてもヒンヤリとして気持ちいいわ。」
「そうだね。それは良かった。」
ウカーシュ様はとても優しい笑みを浮かべて私に向けて言った。
「わ!何ですか!?あれ…!」
突如、リシャルド様が大きな声を上げた。
「本当だ!水面がキラキラと虹色に光っていて、それが湖の上に煙のように上っている…?」
「え?あぁ…!私も、良く分かりませんけれど、ここではいつもあの風景を見ますのよ。」
湖の水面一帯が虹色にキラキラと光り輝いて、それが煙のように上に舞い上がってゆっくりとある程度の高さまでいくとそれが消えて本当に煙みたい。
でもそれは、私はここに来るといつも見る光景なのだけれど、リシャルド様は指を指してウカーシュ様もとても驚いているわ。
「ウカーシュ様あれはまさか…。」
「ああ。あまり触れないでおこう。きっとナタリアがなにか関係しているのかもしれない。だが、とても綺麗だ…。」
何かしら?リシャルド様がウカーシュ様に近づいてお話されているわ。ここでしか見られない珍しい光景なのかしらね。他の湖に行った事がないからわからないけれど。
私はここに来るといつも清々しくて心地よい気分になるのよね。そうすると、たいていその光景が見られるのよ。西湖は素敵な所よね。
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