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7. ピオトル兄様の成果

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 あれから二週間。

 ピオトル兄様からまた手紙が、届いたそうです。

「前回の初任務は、それなりに成功で終わったらしいぞ。」

「それなり?それなりにってどう言う事ですか?」

 お兄様が食事の手を止めて聞きました。

「うーん…。どうやら爪跡を残せなかったらしい。だから、次は頑張る!と延々と書いてあった。新人だし、爪跡もなにも、祈るだけなのだから何をどうしたかったのか疑問だらけではあるが、まぁあいつにしてはやらかさなかっただけ、よしとしよう。」

「そうですね。いくらその領地からイノリコが出ると、そこは繁栄すると言われてはいても、醜聞があっては体裁が良くないですものね。まぁでも、ボロが出なくて本当に良かったです。」

「まぁなぁ…。」

 ピオトル兄様、あちらでも頑張って祈って下さっているのね。
ここフォルヒデン領にいた時から、いろんな格好をして祈って下さっていたものね。
石に片足を乗せ、人差し指だけを天に向けてお祈りをしたり。
仰向けになって胸に両手を組んでお祈りをしたり。
うつ伏せになって顔に両手を当ててお祈りをしたり。

 ピオトル兄様はいろんな事をして、私を楽しませてくれるのよね。それとも、イノリコは、いろんな格好をしないと祈りが通じないのかしら?

 ん?でも…。

「ダミアン兄様、ボロって?」

「あ、いや…ちょっとあいつは礼儀作法も完璧ではないだろう?だから、この前みたいに神官長の話を遮ったりとか、いろいろとヘマをしないといいなと思っただけだよ。だって俺達が傍にいるわけじゃないだろう?注意する人がいないからね。上手くやれているのか、心配なんだよ。」

「あぁ、そういう事ですね。確かに…ピオトル兄様は奔放ですものね。もう少し礼儀作法を身につければ良かったのに、必要ないと言われていましたものね。」

「どこで生活するにも、他人やいろいろな人がいるのだから、迷惑を掛けないように最低限の規律は守らないといけないんだがな。その為に、従僕が教えようとしてくれていたのにあいつは…。」

「ピオトル兄様は私に合わせてくれていたのですよ。」

「いや…うーん。いくら妹が可愛いからって、三歳年下のナタリアといつも一緒にいて自分が学ぶべきはずの教養を学ばないのは問題だったと思うのだが。上手く、イノリバで生活出来ているといいんだけれどね。」

「そう言われると…そうですわね。」

 確かにピオトル兄様はよく私の方へ来ては一緒にいたものね。


「それよりも、ナタリア。どうだい、明日、西湖へピクニックに行かないか?」

 西湖とは、領地の西にあるそれなりに大きな湖です。

「え?いいのですか!?…でも、ダミアン兄様、忙しいのでしょう?大丈夫なのですか?」

「あぁ、たまには息抜きも必要だからね。最近やっと小雨が降る日が増えて作物の方も心配なくなったから余裕が出来てね。ナタリアも、ピオトルがいなくなって淋しいかなと思ってね。」

「まぁ!では、お父様も一緒に行きません?それは難しいかしら。」

「そうだな…ナタリアがそう言ってくれるなら私も行こうかな。」

「本当ですか!?嬉しいです!楽しみにしていますね!」


 明日は久しぶりに楽しみだわ。晴れるといいわね。
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