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12. 何やっているの?

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 ノラは、魔力省の裏手にある、騎士団が練習する広場の隅で腰をかがめては何かをやっていた。
今は騎士団は練習していないから、邪魔にならない。だけれど、侍女がここで何をしているのだろう。
今はもう少しで昼休憩の時間。少し早く休憩に入ったのかしら?

 近づいて行くと、何かを探しているようだった。

 広場は、林を切り開いたような場所で、休憩する際に木陰になるように所々木は隅に植わっている。その木の根元辺りをかがんではブツブツ言いながら歩いていた。

 もう少し近くに寄れないかしら?

 そう思った時にノラが立ち上がり、こちらを向いた。

「誰!?」

 ノラは、私を見ても初対面の人と会うような挨拶をしてきた。

「どちら様?ここへ何しに来たの?」

「え?あ、私、この前ここに来て、落とし物をしてしまったので…。」

 そう適当な事を言うと、ノラは安心した顔つきをして言った。

「そう、見つかるといいわね。私も探し物をしているのよ。」

「え?そうなの?じゃあ私も手伝うわ!」

 何をしているのか気になるし、弱味でも握れるかもしれないわ!そしたら、ちょっとは仕返しになるかも。そう思って私は手伝うと言った。

「…そう、ありがとう。時間も無いし、助かるわ。キノコを探しているの。とても小さくて珍しいもの。でも触ってはダメよ。」

 キノコ?なぁんだ。食べ…え?なんで?何に使うのかしら。ノラってそんなにキノコが好きだった?

「ふーん。キノコね。美味しい?」

「はぁ!?食べた事ないわよ!あ…私は食べないの。違う人が食べるのよ。」

 そうなんだ…ますますわからないわ。オスカー様がキノコ好きではなかった気がするもの。むしろ、残されていたような…。

「あ!これ?」

 木の根元にこぶのような小さくてぷっくりとしたものがあった。
咄嗟に、取ってあげようとした。

「触らないで!!!あ…ごめんなさい。大きな声をだして。ありがとう、それよ。助かったわ。私が取るわね。」

 そう言ってノラは、取ろうとしていた私を押しのけ、自らの手でブチッと引っこ抜いた。

「ありがとう。助かったわ。この事は内緒にしてね。相手に驚かせたいもの。時間が無いから行くわね。」

 そう言うと、立ち上がり王宮の方へ戻って行った。

 あんなに大事そうに持って…。
誰にあげるのかしら?
それにしても、私に触らないで!って言ったから、毒キノコかと思ったじゃないの。ノラは手で取ってたわ。
私が汚いみたいじゃないの!

 でも、なんとなく気になったのでアグネス様には報告しておこうと思って部屋に急いだ。
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