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1. 初めに

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 私、ヴェロニカ。もうしばらくしたら十九歳だわ。


 どうしてこうなってしまったのかしら…。


 私は、生まれつき国家権力を持つ王家の者が政治を主体的に動かすモルドバコドル国の、双子の王女です。

 双子であり姉であるヴァレリアと、幼い頃はたくさん一緒に遊んで、仲も良かったと思うのだけれど。


 いつしか、私達は違う方向を向いてしまっていたみたい。


 どうすれば良かったのかしら。


 何を悩んでいるかって?それはもちろん、ヴァレリアの事よ。これからの事も不安ではありますけれどね。私だけでは、答えが出ないのーーー。





ーーー
ーー


 私の母であるイオネル王妃は、私達を生んで少しして、体調を崩されて亡くなったらしい。
だから私達は、母の顔は宮廷に飾ってある肖像画でしか知らない。

 その代わり、乳母がついたの。私にはユーリア、ヴァレリアにはパトリツィアが。
四歳位までは同じ部屋を使っていたと思うのだけれど、一人ずつ部屋が与えられるようになった。
私は、一緒の部屋でも良かったんだけれどそれでも、自分だけのベッド、自分だけの衣装部屋、自分だけのイスを見ると、少し大人になったような気分になったわ。


 私は明るい金色の髪に水色の瞳、ヴァレリアは明るい金色の髪に濃い青色の瞳で、ヴァレリアの方が目の色が濃いように、意思も強くて自分の意見を曲げなかったわ。


 だからなのか、宮廷から郊外へ向けて少し馬車で行くとある離れの城にはいつしか私一人で行くようになったの。ヴァレリアは、『少し距離があって面倒。』と言って。
そこには、前国王のおじい様と前王妃のおばあ様が住んでいて、小さい頃は三日と開けず会いに行っていたのに。

 おばあ様は会いに行くと、いつでも優しく接してくれていたの。もちろん、危ない事やダメな事をしていたら優しくしっかりと注意もしてくれたわ。だから、私は会いに行くのがとても楽しみだったの。
たいていは色とりどりの花が咲いている庭園が見渡せる四阿で、アフタヌーンティーを一緒に飲むだけ、という限られた時間ではあったけれど。



 学びの場も、別れてしまって。
王族が通う学院も決まっていたのだけれど、ヴァレリアは慣例には従わず違う学校へと通う事に決めてしまったのよ。私と一緒に過ごしたくは無かったのかしら。だってそれで、私と顔を合わす時間もかなり減ったのよ。
その学びの場で、いろいろなご友人から影響を受けたのだと思うのだけれど。

 それがいけなかったのではなくて?




 でもこれだけでは分からないわよね。見守っていてくれたでしょうけれど、もう少し詳しくお話してもよろしいかしら?少し長くなりますけれど、どうぞ聞いて下さいませね。
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