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3. ふぅ…。

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「はー………。そんな途方もない考えがまかり通ると思っているのなら、この貴族社会ではやっていけないね。クラヴィズ、君がそう言うなら、この国の判断に委ねようではないか。おい。」

 そう、オルブライト様が言うと後ろに控えていた侍従がオルブライト様と小声で一言二言話し、侍従が走って門へと去って行きました。

「クラヴィズ。追って国王陛下の沙汰を待とうではないか。レティシア嬢。僕が君の後ろ盾となるよ。何かあれば僕に言えばいいよ。では諸君、授業が始まってしまうね。それぞれの教室へと向かおうではないか。」

 さすが公爵令息様ですわね。王族の血を引いていらっしゃるからかしら。クラヴィズ様の高圧的な言葉とは全く違い、けれど聞こうと思わせる落ち着いた声であった為止まっていた時がやっと進み出したかのように生徒達はその場から動き始めました。



△▲△▲△▲△▲

 その後何事もなく授業が終わり、帰ろうと馬車を待っているとそこにオルブライト様がやってきました。

「あぁ、よかった。まだ帰っていなくて。レティシア。君に話したい事があるんだけれど、君の屋敷に行って良いかい?もしくは、僕の屋敷に来るかな。」

 なんでしょうか?先ほどの話の続きかもしれませんわね。

「分かりました。では、うちに来ていただく事は出来ますか?」

「分かったよ、ありがとうレティシア。後から向かうね。」

 学院からですと、私の屋敷の方が近いので来てもらう事にしましょう。



「急に来たのに、お茶の準備までありがとう。君の家の者達は優秀だね。」

 オルブライト様は今、応接室でお茶を飲みながらそう言って下さいました。
さりげなく使用人の者達にまで謝辞を述べられるとは、本当にお優しい方ですわ。クラヴィズ様とは大違いです。

「いいえ、そのような…。お口に合うとよろしいのですが。」

「うん。美味しいよ。ところで…多分クラヴィズも家に帰って沙汰を聞かされていると思うけれど、国王陛下から裁決が下されてね。いの一番に僕から伝えたくて。」

「そうなのですね。迅速に対応していただけて本当にありがたいですわ。わざわざありがとうございます。」

「クラヴィズは、アンダーソン侯爵家の嫡男だったろ?というかご子息は一人だからね。あんなすっからかんな奴が後継者じゃ元々不安視はしていたんだけど。結論から言うと、侯爵家はとり潰しになったよ。」

「え!?」

 そんなに厳しい判断なのですか?それに、家まで無くなるなんて…。

「レティシアのせいでとかではないよ。侯爵家は先代まではしっかりと経営されてたんだけれどね。今のご当主、つまりクラヴィズの父親が経営に失敗してね。借金をこさえたんだ。まぁそれだけなら良くある話だけど、その借金を返す為に真面目に取り組めばいいものを、犯罪に手を染めちゃってね。いわゆる闇カジノさ。自分の領地に賭け事が出来る店を置いて、イカサマをして儲け、借金まみれになった奴を奴隷として売りさばいていたみたいなんだ。やっと摘発する事が出来たよ。君の家は、事業に成功して経営もしっかりなされている。それで、より裕福になろうと家同士の結びつきを強くしたいと婚約したんだと睨んでいるよ。君はこんなに美しいんだ。クラヴィズは、レティシアに一目ぼれしたのもあると思っているけどね。」

 私はそんな真っ黒な家と婚約させられていたなんて…。

 というか、オルブライト様、しれっと美しいと言って下さいましたのでスルーしそうになりましたけれど、憧れの方がそんな言葉を言うのですもの。顔が少し熱を持ってしまったわ。ばれないといいのですけれど。
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