上 下
9 / 9

決めた

しおりを挟む
アウトレットモールは、田舎に出来た割にとてもおしゃれだった。お弁当をばぁちゃんの分と合わせて買い、真っ赤ないちごのタルトケーキも購入。それから帰路へついた。



「ただいま-!」
源太が車で送ってくれ、そのまま昼ごはんを食べると言って家に上がり込む。ばぁちゃんは頭に布を巻いて畑で野菜をいじっていた。近くでは、ポチャタが横になって寝ている。

「おかえりー!楽しかったかぇ?」
ばぁちゃんはキュウリを手に持って家に帰ってきた。

「うん!ばぁちゃん、お昼ご飯食べた?まだだったら、お弁当買ってきたから一緒に食べよ!」
「おやま!おいしそうだねぇ。いただこうかね。そのハンバーグ弁当でもいいかい?」
「えっ和食弁当じゃないの?」
「いーよ。俺それにするから。」
「おやだめかい?」
「そんな事ないよ。意外だっただけ。私がそれ食べるよ。」
ばぁちゃんも、和食だけじゃなくて、いろいろと食べるんだな。年寄り扱いしてごめん…。
「ポチャタはこれね。」
と言って、ばぁちゃんはキュウリを半分、小さく切ってあげた。それをペロリと食べて、ポチャタは土間で丸くなって寝はじめた。


「ばぁちゃん、私、仕事復帰しようかと思うの。」
「そうかい。好きにしなさい。私はポチャタといるからね。」
「ばぁちゃんごめんね。私、ばぁちゃんが淋しいかなと思ってここにいたの。でも、そうじゃなかったよね。上から目線でそんな風に思っちゃいけなかったよね。私のが、ばぁちゃんに癒されてた。」
「そうかい。それでいいんだよ。香澄ちゃんには香澄ちゃんの生活があるんだもの。私も好きにここで暮らしているんだからね。気ままに過ごすよ。香澄ちゃんも好きにしなさいな。でも、ばぁちゃんに癒されてたなら嬉しいねぇ。なぁポチャタ。」
ばぁちゃんは、ポチャタに向けて言葉を掛けた。するとポチャタは目を開けこちらをじっと見て、また目を閉じた。ポチャタも、好きにすれば?って言ってくれてるように感じた。

「それでさ、リモートワークでいいって言ってくれたんだけど、ここにまだちょっといてもいい?」
まだちょっと、すぐには都会に帰ろうとは思えなかった。

「ん?りもー?そのなんちゃらで、仕事が続けられるのかい?」
「うん。パソコンとネット環境があれば。」
「そうかね。じゃあ好きにしなさいな。私も好きにするからね。ばぁちゃんだって寝坊したい日もあるし、昼寝したい日もあるからね。」
「うん!ありがとう!なるべく邪魔しないようにするね。」

「俺もたまに来るからな!デートもまた行こうぜ。」

ポチャタを見ると、半分目を開けて耳をぴくぴくさせていた。こちらの会話を聞いているのかな。もしかしたら本当にじぃちゃんかもね。じぃちゃんも、まだまだお世話になるけど、よろしくね!
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

妻(さい)

谷川流慕
現代文学
リストラで職を失い、バイトで食いつなぐが、生まれつきの不器用さで、どこへ行っても仕事がうまくいかない。そんなダメ男である僕にとって唯一の宝は、良妻賢母の妻とやんちゃだが可愛い子どもたちだった。妻は再婚であり、前夫とは死別していたのだが、なぜかその死因については話そうとしない。気になりつつ平穏な家庭生活を送るのだが……

処理中です...