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12. 兄・カイヴィン
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僕はカイヴィン。
アイネルは三歳下の、僕の可愛い妹だ。
アイネルが十歳になり、ガーデンパーティーに参加が決まった。
僕も十歳になってから、ちょくちょく両親に付いて参加し、交流を深めてきた。
そこで、同じ年齢の第一王子である、ロイル=クレンヴィスとよく話すようになった。
初めて参加した時は緊張して、けれど次期伯爵になる際役立つようにと積極的に交流を深めて行った。
このクレンヴィス国は他国のように学校へは通わない。代わりに、家に家庭教師が来たり、王立図書館で自主的に学ぶ。
だから、学校へ通って交流を深めるなんて事は出来ない為、ガーデンパーティーなどで他の貴族達と交流したりするしかないのだ。
そこで初めは恐れ多くも第一王子であられるロイル様が皆に話し掛けて下さったのだ。
僕は緊張して、何を話したか覚えていない。緊張し過ぎて、子供達のテーブルから少し離れた所へ逃げてしまった。
そこで、一人でいるとロイル様がなんと気づいて話してくれたのだ。
「疲れるよな、人と話すのって。」
後ろを振り返ると、ロイル様で。僕は焦って、あたふたとしていたと思う。すると、ロイル様はいきなり吹き出してこう言ったのだ。
「君は、僕と似ているかもしれない。だから、君を見つけて話し掛けてしまった。僕も本当は、社交なんてしたくない。ヘラヘラと作った笑いなんてくそくらえだ!だけれど、僕は第一王子として表の顔を貼り付けて対応しないといけない。それって疲れると思わないか?」
第一王子と似ているだって?どこがなんだ?良く分からないまま、肯定すると、貼り付けていない、屈託の笑顔で言われた。
「ねぇ、公の目がない時は普通に話して欲しい。ロイルと呼んでくれ。えーと、君の名前は…カイヴィン、だよね?」
第一王子に呼び捨てで呼んでと言われてすぐに呼べる奴がいたら見てみたいよ!だから、今度は否定する。
「ますます、いいね!友達になって欲しいな。階級なんて関係なく。公の場所ではそれなりに話さないといけないけど、僕も君も、規模は違うかもしれないが、背負って立つのは一緒だろう?僕は国を、君は伯爵領地を。だけれど、誰にも弱音を吐けないのは辛いじゃないか。な?いいだろう?」
そう言われたら、確かにそうだなとしっくりきた。
そして、公の場でない所ならと恐れ多くも承諾すると、第一王子の整った顔が崩れ、本当に嬉しいと何度も言ってくれた。
それからは、会う度に少しずつ話す機会を増やし軽口を言い合える仲になれたのは、ロイルの裏の顔が僕となんら変わらない少年だと感じたからかもしれない。
アイネルにとって初めてのガーデンパーティーで、緊張したアイネルを子供達が集まるテーブルに連れて行った。
そこでは、王族であるロイルが手招きして呼んでくれた。
そしてその隣には、ロイルの婚約者となったウェンディ=ケラリス侯爵令嬢と少し前に十歳になりガーデンパーティーに参加し出したユリウス第二王子もいた。
順番に紹介すると、アイネルは更に緊張しながらも覚えたての挨拶をし、果敢にもウェンディに話し掛けた。
ウェンディは、ロイルと僕達と同じ年齢だ。それに目がつり目で少し怖い印象がある。まぁ、話せばサバサバとしていて男と話しているような気になるが、アイネルは良く話し掛けたなと感心する。
そこに、ユリウスがなぜか割り込んで、アイネルも返事をするといきなりかたを押したんだ。
僕は驚いたが、すぐに突風が吹いたので皆目を瞑ったり手で顔を覆ったりして突風が止むのを待った。
再び目を開くと…
アイネルが地面に横向きに倒れていた。
それを見たウェンディが大きな声を上げてくれたから、すぐに衛兵が駆けつけてくれた。
結局、気を失ったアイネルを馬車に乗せて急いで帰る事となった。
ロイルも、国王陛下も王妃様も王宮の医務室にと言われたが、父上は頑なに『お言葉は有難いのですが、帰ります。』と言った。
その後にロイルから手紙が届き、アイネルの心配と、ユリウスが謝罪したいと言っていると書いてあった。
だが、僕は怒っているんだ!
いくらロイルのお願いでも、可愛い妹のアイネルに手を上げた奴を会わせるわけにはいかないさ!
アイネルは三歳下の、僕の可愛い妹だ。
アイネルが十歳になり、ガーデンパーティーに参加が決まった。
僕も十歳になってから、ちょくちょく両親に付いて参加し、交流を深めてきた。
そこで、同じ年齢の第一王子である、ロイル=クレンヴィスとよく話すようになった。
初めて参加した時は緊張して、けれど次期伯爵になる際役立つようにと積極的に交流を深めて行った。
このクレンヴィス国は他国のように学校へは通わない。代わりに、家に家庭教師が来たり、王立図書館で自主的に学ぶ。
だから、学校へ通って交流を深めるなんて事は出来ない為、ガーデンパーティーなどで他の貴族達と交流したりするしかないのだ。
そこで初めは恐れ多くも第一王子であられるロイル様が皆に話し掛けて下さったのだ。
僕は緊張して、何を話したか覚えていない。緊張し過ぎて、子供達のテーブルから少し離れた所へ逃げてしまった。
そこで、一人でいるとロイル様がなんと気づいて話してくれたのだ。
「疲れるよな、人と話すのって。」
後ろを振り返ると、ロイル様で。僕は焦って、あたふたとしていたと思う。すると、ロイル様はいきなり吹き出してこう言ったのだ。
「君は、僕と似ているかもしれない。だから、君を見つけて話し掛けてしまった。僕も本当は、社交なんてしたくない。ヘラヘラと作った笑いなんてくそくらえだ!だけれど、僕は第一王子として表の顔を貼り付けて対応しないといけない。それって疲れると思わないか?」
第一王子と似ているだって?どこがなんだ?良く分からないまま、肯定すると、貼り付けていない、屈託の笑顔で言われた。
「ねぇ、公の目がない時は普通に話して欲しい。ロイルと呼んでくれ。えーと、君の名前は…カイヴィン、だよね?」
第一王子に呼び捨てで呼んでと言われてすぐに呼べる奴がいたら見てみたいよ!だから、今度は否定する。
「ますます、いいね!友達になって欲しいな。階級なんて関係なく。公の場所ではそれなりに話さないといけないけど、僕も君も、規模は違うかもしれないが、背負って立つのは一緒だろう?僕は国を、君は伯爵領地を。だけれど、誰にも弱音を吐けないのは辛いじゃないか。な?いいだろう?」
そう言われたら、確かにそうだなとしっくりきた。
そして、公の場でない所ならと恐れ多くも承諾すると、第一王子の整った顔が崩れ、本当に嬉しいと何度も言ってくれた。
それからは、会う度に少しずつ話す機会を増やし軽口を言い合える仲になれたのは、ロイルの裏の顔が僕となんら変わらない少年だと感じたからかもしれない。
アイネルにとって初めてのガーデンパーティーで、緊張したアイネルを子供達が集まるテーブルに連れて行った。
そこでは、王族であるロイルが手招きして呼んでくれた。
そしてその隣には、ロイルの婚約者となったウェンディ=ケラリス侯爵令嬢と少し前に十歳になりガーデンパーティーに参加し出したユリウス第二王子もいた。
順番に紹介すると、アイネルは更に緊張しながらも覚えたての挨拶をし、果敢にもウェンディに話し掛けた。
ウェンディは、ロイルと僕達と同じ年齢だ。それに目がつり目で少し怖い印象がある。まぁ、話せばサバサバとしていて男と話しているような気になるが、アイネルは良く話し掛けたなと感心する。
そこに、ユリウスがなぜか割り込んで、アイネルも返事をするといきなりかたを押したんだ。
僕は驚いたが、すぐに突風が吹いたので皆目を瞑ったり手で顔を覆ったりして突風が止むのを待った。
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その後にロイルから手紙が届き、アイネルの心配と、ユリウスが謝罪したいと言っていると書いてあった。
だが、僕は怒っているんだ!
いくらロイルのお願いでも、可愛い妹のアイネルに手を上げた奴を会わせるわけにはいかないさ!
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