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9. 発見
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食料が少ないとお父様に聞いて、また庭を散策する事にした。何か、長い夢の事を思い出すかなと思ったのと、庭には色とりどりの花が咲いていて心が和むから散策しようと思ったからだ。
サイモンがまた、最奥の方で作業をしていた。
「サイモン!今は何をしているの?」
「アイネル様ですか。今日は、この辺りを綺麗にしようと思いましてね。以前領主様と話していて、ほら例の、ロダトとローズをもっと増やすのにこの辺りでということになりまして。あまりお屋敷から見える所ですとお客様にも見えるといけませんからね。」
そうなんだ。なんだか一人でやってもらっていて申し訳ないわ。だって、ずいぶん放置されていたようで、見ると結構な蔓が溢れるように生えていた。ん…?これって…。
「ねぇ、サイモン。これって引っ張っていい?」
「いいですが、なかなか抜けませんよ。」
サイモンは少し笑いながら言った。
でも、私これ知っているわ。サツマイモの蔓じゃないのかしら?
「ねぇ、耕しましょ!だって地面にサツマイモが埋まっているわよ。」
「さつまいも?ってなんですか?」
「サツマイモよ、サツマイモ…あ!そうか…とりあえず掘るわよ!クワとかないの?」
さつまって確か、どこかの地方の名前だったような…?だからこちらではそう呼ばないのかしらね。
「クワですか…ここは畑とは違いますからね。私は庭師ですからスコップは持ってますけれど…。」
と、申し訳なさそうにサイモンは言った。
でもサイモン。ここは十分畑みたいよ。昔はここで、サツマイモ育てていたのかしら?
サイモンはお父様よりもっと年上の、五十代位なのよね。そのサイモンが知らないって事は、その前から放置されてたのかしら。
「いいわ。あ、シャベル借りるわよ。」
サイモンが持って来ていた、道具の中に小さい片手で扱えるほどのシャベルがあったからそれを手に取って地面にしゃがみ込んだ。
「何するんです?」
「ちょっと掘ってみるわ。サツマイモだったら食べれるのよ!」
そう言って私は、一カ所を掘ってみる。あまり蔓に近いと、サツマイモが傷付いてしまうから少し大きめに掘ってみた。
「わ!ちょっと!私がやります!アイネル様の手が汚れてしまいます!」
サイモンが慌てて私に言うけれど、もう遅いわよ。けれど、土の中からモゾモゾと這い出てきた虫もいて、私は苦手だったからサイモンに代わってもらった。
「よっと!ふー。アイネル様、やっと一つ取れましたよ。へー、こんなのが植わってたんですか?しかし一つ取るだけでも大変だな…。上の蔓だけ引っこ抜けば終わりかと思ったんですがね。」
そうなんだ…。でも確かに大変ね…んー、ちょっとこれはお父様に相談してみようかしら!
「サイモン、お疲れさま!ありがとう。ねぇ、ちょっとお父様に相談してくるから、ここはそのままにしておいてくれない?今日は違う所のお仕事をしてもらえるかしら。」
「え!ま、まぁアイネル様がそう言うなら。では今日はそのままにしますからね?あ、アイネル様、きちんと手は洗って下さいね。手が真っ黒で、旦那様が見たら卒倒しますから。」
「分かったわ。本当にありがとう。」
そう言って、私はサツマイモを持ってお父様に会いに行こうと屋敷へ戻った。
サイモンがまた、最奥の方で作業をしていた。
「サイモン!今は何をしているの?」
「アイネル様ですか。今日は、この辺りを綺麗にしようと思いましてね。以前領主様と話していて、ほら例の、ロダトとローズをもっと増やすのにこの辺りでということになりまして。あまりお屋敷から見える所ですとお客様にも見えるといけませんからね。」
そうなんだ。なんだか一人でやってもらっていて申し訳ないわ。だって、ずいぶん放置されていたようで、見ると結構な蔓が溢れるように生えていた。ん…?これって…。
「ねぇ、サイモン。これって引っ張っていい?」
「いいですが、なかなか抜けませんよ。」
サイモンは少し笑いながら言った。
でも、私これ知っているわ。サツマイモの蔓じゃないのかしら?
「ねぇ、耕しましょ!だって地面にサツマイモが埋まっているわよ。」
「さつまいも?ってなんですか?」
「サツマイモよ、サツマイモ…あ!そうか…とりあえず掘るわよ!クワとかないの?」
さつまって確か、どこかの地方の名前だったような…?だからこちらではそう呼ばないのかしらね。
「クワですか…ここは畑とは違いますからね。私は庭師ですからスコップは持ってますけれど…。」
と、申し訳なさそうにサイモンは言った。
でもサイモン。ここは十分畑みたいよ。昔はここで、サツマイモ育てていたのかしら?
サイモンはお父様よりもっと年上の、五十代位なのよね。そのサイモンが知らないって事は、その前から放置されてたのかしら。
「いいわ。あ、シャベル借りるわよ。」
サイモンが持って来ていた、道具の中に小さい片手で扱えるほどのシャベルがあったからそれを手に取って地面にしゃがみ込んだ。
「何するんです?」
「ちょっと掘ってみるわ。サツマイモだったら食べれるのよ!」
そう言って私は、一カ所を掘ってみる。あまり蔓に近いと、サツマイモが傷付いてしまうから少し大きめに掘ってみた。
「わ!ちょっと!私がやります!アイネル様の手が汚れてしまいます!」
サイモンが慌てて私に言うけれど、もう遅いわよ。けれど、土の中からモゾモゾと這い出てきた虫もいて、私は苦手だったからサイモンに代わってもらった。
「よっと!ふー。アイネル様、やっと一つ取れましたよ。へー、こんなのが植わってたんですか?しかし一つ取るだけでも大変だな…。上の蔓だけ引っこ抜けば終わりかと思ったんですがね。」
そうなんだ…。でも確かに大変ね…んー、ちょっとこれはお父様に相談してみようかしら!
「サイモン、お疲れさま!ありがとう。ねぇ、ちょっとお父様に相談してくるから、ここはそのままにしておいてくれない?今日は違う所のお仕事をしてもらえるかしら。」
「え!ま、まぁアイネル様がそう言うなら。では今日はそのままにしますからね?あ、アイネル様、きちんと手は洗って下さいね。手が真っ黒で、旦那様が見たら卒倒しますから。」
「分かったわ。本当にありがとう。」
そう言って、私はサツマイモを持ってお父様に会いに行こうと屋敷へ戻った。
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