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2. スティーナの妹
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次代の花姫であるスティーナ=オーグレンに、一歳年下のテレサという妹が出来た。
そのテレサは、まだ教育もされていないという事もあって、自分の気持ちは正直に言葉に出し、またくるくるとよく表情が変わる子供らしい子供だった。髪も金髪で波打っており、瞳は水色をしている。
スティーナは、黄色の髪に濃い青色の瞳を持つ女性で、オーグレン家の長女である。
両親とあまり触れ合う機会の無かったスティーナは、家の繁栄の為に自分がしっかりしないと、とこのウプサラ国の古くからの伝統に疑問も持たない、芯の強い、幼い頃より少し大人びた勤勉な少女となっていく。
ウプサラでは、女子への教育は家に教師を呼んで学ぶのが主流である。
教師がいる場所へ学びに行く学校なるものは、ウプサラでは男子しか通う事が出来ないからだ。
男子が行く学校は、十二歳になったら通う事が出来る。軍学校と士官学校がそれぞれ宮殿の近くにあり、親元から離れて備えつけられた寮から通う形であった。
まだ幼いスティーナも、オーグレン家の一員として、侍女のヤーナから六歳になると少しずつ教わっていく事となる。
オーグレン家は、訳あって両親が子供達に構う事はなかった。その為、姉妹はお互いの姿を見かけると声を掛け合う、それなりに仲の良い関係であった。
☆★
「おねえさま!おねえさま-!」
姿を見かけると自分の元にそのように駆け寄ってくるテレサがとても可愛らしいと思っていたスティーナ。懐いてくれるのは、擽ったさもあるなと思いながら。
まだスティーナが学ぶ事もしていない、五歳の頃。
スティーナは咲いている花を見て回ったり、蝶やたまに顔を出す小動物を見るのが好きでよく屋敷内の広い庭に出ていた。
その日常でもヤーナから、植物の名前や、小動物の名前など何気ない生活の中でも知識を蓄えていくスティーナであった。
「どうしたの?テレサ。走るとまた転ぶわよ。気をつけてね。」
「だっておねえさまを見つけたから!
ねぇ、私、さっき向こうでかわいいお花を見つけたの!これ、おねえさまに渡そうって持ってきた!
大好きなおねえさま!はい、どうぞ!」
「あら、本当ね。可愛いわ!」
「よかった!うれしい?」
「え?」
「私ね、おねえさまの事を考えてこの花にしたの。だから、よろこんでくれてよかった!」
(私の事を思って?…嬉しいわ!)
スティーナは、贈り物をされた事が無い。正確に言えば、ヤーナから手渡された木彫りの人形などはあるが、いつの間にか部屋にあったりとしたものが多く、両親から何かを買ってもらったという思い出が特に無い為、自分の事を思って選んだというテレサの言葉がとても心に響いた。
「ありがとうテレサ!
ねぇ、せっかくだから一緒に遊びましょう?」
「ほんとー!?うれしい!」
スティーナは妹に対して笑顔でそう答えた。
テレサは一歳年下ではあるが、とても話すことが好きな少女であった為、スティーナもたくさん会話が出来て楽しくもあった。
両親と触れ合えないスティーナにとって、妹と触れ合える時間はとても温かい気持ちになるのだった。
(テレサも懐いてくれるもの。私がしっかりしなくちゃね!)
天真爛漫で自分を慕ってくれるテレサと遊びながら、ますますスティーナはオーグレン家の繁栄の為に知識を増やそうと思っていった。
そのテレサは、まだ教育もされていないという事もあって、自分の気持ちは正直に言葉に出し、またくるくるとよく表情が変わる子供らしい子供だった。髪も金髪で波打っており、瞳は水色をしている。
スティーナは、黄色の髪に濃い青色の瞳を持つ女性で、オーグレン家の長女である。
両親とあまり触れ合う機会の無かったスティーナは、家の繁栄の為に自分がしっかりしないと、とこのウプサラ国の古くからの伝統に疑問も持たない、芯の強い、幼い頃より少し大人びた勤勉な少女となっていく。
ウプサラでは、女子への教育は家に教師を呼んで学ぶのが主流である。
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オーグレン家は、訳あって両親が子供達に構う事はなかった。その為、姉妹はお互いの姿を見かけると声を掛け合う、それなりに仲の良い関係であった。
☆★
「おねえさま!おねえさま-!」
姿を見かけると自分の元にそのように駆け寄ってくるテレサがとても可愛らしいと思っていたスティーナ。懐いてくれるのは、擽ったさもあるなと思いながら。
まだスティーナが学ぶ事もしていない、五歳の頃。
スティーナは咲いている花を見て回ったり、蝶やたまに顔を出す小動物を見るのが好きでよく屋敷内の広い庭に出ていた。
その日常でもヤーナから、植物の名前や、小動物の名前など何気ない生活の中でも知識を蓄えていくスティーナであった。
「どうしたの?テレサ。走るとまた転ぶわよ。気をつけてね。」
「だっておねえさまを見つけたから!
ねぇ、私、さっき向こうでかわいいお花を見つけたの!これ、おねえさまに渡そうって持ってきた!
大好きなおねえさま!はい、どうぞ!」
「あら、本当ね。可愛いわ!」
「よかった!うれしい?」
「え?」
「私ね、おねえさまの事を考えてこの花にしたの。だから、よろこんでくれてよかった!」
(私の事を思って?…嬉しいわ!)
スティーナは、贈り物をされた事が無い。正確に言えば、ヤーナから手渡された木彫りの人形などはあるが、いつの間にか部屋にあったりとしたものが多く、両親から何かを買ってもらったという思い出が特に無い為、自分の事を思って選んだというテレサの言葉がとても心に響いた。
「ありがとうテレサ!
ねぇ、せっかくだから一緒に遊びましょう?」
「ほんとー!?うれしい!」
スティーナは妹に対して笑顔でそう答えた。
テレサは一歳年下ではあるが、とても話すことが好きな少女であった為、スティーナもたくさん会話が出来て楽しくもあった。
両親と触れ合えないスティーナにとって、妹と触れ合える時間はとても温かい気持ちになるのだった。
(テレサも懐いてくれるもの。私がしっかりしなくちゃね!)
天真爛漫で自分を慕ってくれるテレサと遊びながら、ますますスティーナはオーグレン家の繁栄の為に知識を増やそうと思っていった。
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