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12. 新しい家族
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「エミーリエ…大きくなったわね。ユスティーナにそっくりよ。」
そう、涙ぐんで私を抱きしめてくれた。
「ユスティーナ…あなたの娘は、こんなに素敵になったわよ…。」
そう言って、その女性は頭を何度も撫でてくれる。遥か昔、お母様に撫でられている感覚を思い出して、私もなんだか懐かしい思いがした。
「母上…。まぁ、そのくらいにして挨拶を…」
「まぁ!そのくらいって、まだまだ足りないわよ!?せっかく会えたんだもの。今までごめんなさいね、新しい家族に冷遇されていたなんて気づきもしなくて…。全く、そいつらをこてんぱんにしてやらなきゃ、気が済まないわ!」
ルドヴィーク様のお母様は、ルドヴィーク様に言われると顔をそちらへ向け、今度はプリプリと怒りだした。
「まぁまぁ…。グーラよ、これからここでエミーリエは過ごすのだろう?だったらこれから一緒にいる時間は山のようにあるよ。とりあえず、座ろう。」
ルドヴィーク様のお父様かしら。ルドヴィーク様が年を取ったらこんな風になられるんじゃないかという様子の、目元に少し皺がある、短く切られた銀色の髪の男性がそう言われたので、私達はソファに座る事にした。
「父上、母上。もう分かっていると思いますが、私の大切な人であるエミーリエです。やっと連れて来る事ができました。エミーリエ、私の父と母だよ。この国の国王と王妃だけど、昔と変わらず気を遣わないで接してくれるととても喜ぶからそうしてやってほしい。」
国王!?王妃!?え!!ルドヴィーク様って、王子様だったの!?
「やだわエミーリエ、そんなに固まらないで。あなたのお母様は私と姉妹だったんだもの、そう変わらないのよ。」
そう変わらないと、優しい笑顔で言って下さったけれど…いえいえそんな!
「エミーリエ、我とは幼い頃に会ったきりだから記憶にはないかもしれないが、我々の事は家族だと思って欲しい。ルドヴィークは面白味がないからな。エミーリエが来てくれて華やかになるだろうよ。これから、エミーリエの王妃教育が始まってしまうが、辛くないようにさせるからな。エミーリエがルドヴィークと結婚してくれて本当に嬉しいよ。だが本当にこんな詰まらない男でいいのか?」
「父上、止めて下さい!これで嫌だからやっぱり国へ帰ると言われたらどうしてくれるんですか!…エミーリエ。確かに、私の妻になるという事は少し大変かもしれない。だけれど、私が共に、辛い事悲しい事共有するから。なんでも話してくれ。君を必ず幸せにするから。」
私は、国王様と王妃様に言われて頭が真っ白になったけれど、隣に座ったルドヴィーク様が私の手を取ってそう言ってくれたから、どうにか頑張ろうと思った。
「あの…こんな教育もまともに受けておりません私ですけれど、これからもよろしくお願い致します。」
そう、涙ぐんで私を抱きしめてくれた。
「ユスティーナ…あなたの娘は、こんなに素敵になったわよ…。」
そう言って、その女性は頭を何度も撫でてくれる。遥か昔、お母様に撫でられている感覚を思い出して、私もなんだか懐かしい思いがした。
「母上…。まぁ、そのくらいにして挨拶を…」
「まぁ!そのくらいって、まだまだ足りないわよ!?せっかく会えたんだもの。今までごめんなさいね、新しい家族に冷遇されていたなんて気づきもしなくて…。全く、そいつらをこてんぱんにしてやらなきゃ、気が済まないわ!」
ルドヴィーク様のお母様は、ルドヴィーク様に言われると顔をそちらへ向け、今度はプリプリと怒りだした。
「まぁまぁ…。グーラよ、これからここでエミーリエは過ごすのだろう?だったらこれから一緒にいる時間は山のようにあるよ。とりあえず、座ろう。」
ルドヴィーク様のお父様かしら。ルドヴィーク様が年を取ったらこんな風になられるんじゃないかという様子の、目元に少し皺がある、短く切られた銀色の髪の男性がそう言われたので、私達はソファに座る事にした。
「父上、母上。もう分かっていると思いますが、私の大切な人であるエミーリエです。やっと連れて来る事ができました。エミーリエ、私の父と母だよ。この国の国王と王妃だけど、昔と変わらず気を遣わないで接してくれるととても喜ぶからそうしてやってほしい。」
国王!?王妃!?え!!ルドヴィーク様って、王子様だったの!?
「やだわエミーリエ、そんなに固まらないで。あなたのお母様は私と姉妹だったんだもの、そう変わらないのよ。」
そう変わらないと、優しい笑顔で言って下さったけれど…いえいえそんな!
「エミーリエ、我とは幼い頃に会ったきりだから記憶にはないかもしれないが、我々の事は家族だと思って欲しい。ルドヴィークは面白味がないからな。エミーリエが来てくれて華やかになるだろうよ。これから、エミーリエの王妃教育が始まってしまうが、辛くないようにさせるからな。エミーリエがルドヴィークと結婚してくれて本当に嬉しいよ。だが本当にこんな詰まらない男でいいのか?」
「父上、止めて下さい!これで嫌だからやっぱり国へ帰ると言われたらどうしてくれるんですか!…エミーリエ。確かに、私の妻になるという事は少し大変かもしれない。だけれど、私が共に、辛い事悲しい事共有するから。なんでも話してくれ。君を必ず幸せにするから。」
私は、国王様と王妃様に言われて頭が真っ白になったけれど、隣に座ったルドヴィーク様が私の手を取ってそう言ってくれたから、どうにか頑張ろうと思った。
「あの…こんな教育もまともに受けておりません私ですけれど、これからもよろしくお願い致します。」
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