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32. これからは
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あれから一月が経ち。
今日も朝からウィンフォードとレナは馬車に乗って出勤する。
サーザは馬車の中ではなく、御者席で御者と一緒に乗っている。サーザからは『私の事はお気になさらず。お二人のいちゃいちゃを見せつけられるより、外の景色を見ていたいですから。』と言われ、レナは少し申し訳なく思ったけれど、確かに景色がいいのだろうと思った。
ケランは歩いて王宮へと向かう。ケランもグリフィス公爵家の使用人であったのだ。
(ウィンフォード様と息が合っているのはその為なのね。サーザとも仲がいい、というかサーザが避けているのも頷けるわ。でも、二人の間には何かあったのかしら?)
そうレナは思うけれど、サーザは何も言わないし、きっといつかは分かるのだろうと思っていた。
馬車は意外とゆっくり進む為、歩く速度が速ければ同じ位の速度だったので、ケランの方がいつも屋敷を後に出発するのに、馬車が王宮に辿り着くと出迎えていた。
この公爵家所有の馬車は、木で出来たベンチのような座席ではなく、お尻に響かないようにふかふかのクッションがしっかりとひいてあり、レナは酷く驚いた。
公爵家へ挨拶へ行った時は、王宮の予約馬車だった。
「じゃあね、レナ。また昼食で。」
ウィンフォードは本棟に仕事部屋がある。
レナは、庭の奥に造られた動物理髪院へと行く。レナは午前中だけこちらで働き、昼食はウィンフォードの部屋で摂り、午後は公爵邸へと帰り公爵夫人になる為の作法など学んでいるのだ。
ウィンフォードは、仕事が立て込んでしまうと昼食は摂らずにそのまま仕事をぶっ通しで行う。見かねたケランがレナにそれとなく言い、『それなら一緒に昼食を採りませんか。』とウィンフォードに問いかけると二つ返事でウィンフォードは頷いてそうなったのだ。
☆★
「おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはようです!」
「おはようですー!」
動物理髪院では、ウィンフォードが募集を掛けて集まってくれた四人がレナから教わった事を忠実に守り、学んでいる。
四人は、皆志願してきただけあって動物好き。ただ今までは、国からの決まり事があって触る事も人目を忍んでしていた。
これからは大手を振って出来ると皆、喜んでいた。
三人は女性で、一人は男性だ。
皆レナとそれなりに近い年齢で、ウィンフォードは初めの面接の時、男性を振り落とそうとした。
だが、意外にも動物の事を真摯に考えている事を知り、
「レナは俺の嫁になるからな!手を出すつもりなら今すぐ止めてくれ。」
とウィンフォードは直々に言ったのだ。
「そんなつもりはありませんから。小さな頃から動物は僕の生活の一部でした。僕は孤児院の出で、いつも一緒になって走り回っていました。でもその為、亡くなっていく子も見ていて歯痒かったのです。少しでも彼らが快適に過ごせる手伝いが出来るならと思ったのです。」
と苦笑しながら返したので、採用に至った。もちろん、サーザにも何かあれば手を出していいと許可を出してある用意周到さだ。
「分かった。レナの知識を存分に学べ。邪な心が見えたら、サーザが容赦しないからな。」
とウィンフォードは再度そう釘を刺した。
「さぁ、もう皆さんはだいぶ慣れましたね?噛まれたり、ひっかかれるのは仕方有りませんが、されないようにくれぐれも気をつけましょう。心を出来るだけ解してから、お手入れをするのですよ。でももしもされてしまったら、よーく傷口を洗って下さいね。」
レナは今日も四人に、自分が学んできた事を伝え、後継を育てる。
レナは今日もこの、今まで生きてきた所とは違う世界で生きている。
☆★
最後までお読み下さいまして本当にありがとうございました!
お気に入り登録してくれた方、しおりを挟んでくれた方、本当に本当に、ありがとうございました!!
今日も朝からウィンフォードとレナは馬車に乗って出勤する。
サーザは馬車の中ではなく、御者席で御者と一緒に乗っている。サーザからは『私の事はお気になさらず。お二人のいちゃいちゃを見せつけられるより、外の景色を見ていたいですから。』と言われ、レナは少し申し訳なく思ったけれど、確かに景色がいいのだろうと思った。
ケランは歩いて王宮へと向かう。ケランもグリフィス公爵家の使用人であったのだ。
(ウィンフォード様と息が合っているのはその為なのね。サーザとも仲がいい、というかサーザが避けているのも頷けるわ。でも、二人の間には何かあったのかしら?)
そうレナは思うけれど、サーザは何も言わないし、きっといつかは分かるのだろうと思っていた。
馬車は意外とゆっくり進む為、歩く速度が速ければ同じ位の速度だったので、ケランの方がいつも屋敷を後に出発するのに、馬車が王宮に辿り着くと出迎えていた。
この公爵家所有の馬車は、木で出来たベンチのような座席ではなく、お尻に響かないようにふかふかのクッションがしっかりとひいてあり、レナは酷く驚いた。
公爵家へ挨拶へ行った時は、王宮の予約馬車だった。
「じゃあね、レナ。また昼食で。」
ウィンフォードは本棟に仕事部屋がある。
レナは、庭の奥に造られた動物理髪院へと行く。レナは午前中だけこちらで働き、昼食はウィンフォードの部屋で摂り、午後は公爵邸へと帰り公爵夫人になる為の作法など学んでいるのだ。
ウィンフォードは、仕事が立て込んでしまうと昼食は摂らずにそのまま仕事をぶっ通しで行う。見かねたケランがレナにそれとなく言い、『それなら一緒に昼食を採りませんか。』とウィンフォードに問いかけると二つ返事でウィンフォードは頷いてそうなったのだ。
☆★
「おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはようございます。」
「おはようです!」
「おはようですー!」
動物理髪院では、ウィンフォードが募集を掛けて集まってくれた四人がレナから教わった事を忠実に守り、学んでいる。
四人は、皆志願してきただけあって動物好き。ただ今までは、国からの決まり事があって触る事も人目を忍んでしていた。
これからは大手を振って出来ると皆、喜んでいた。
三人は女性で、一人は男性だ。
皆レナとそれなりに近い年齢で、ウィンフォードは初めの面接の時、男性を振り落とそうとした。
だが、意外にも動物の事を真摯に考えている事を知り、
「レナは俺の嫁になるからな!手を出すつもりなら今すぐ止めてくれ。」
とウィンフォードは直々に言ったのだ。
「そんなつもりはありませんから。小さな頃から動物は僕の生活の一部でした。僕は孤児院の出で、いつも一緒になって走り回っていました。でもその為、亡くなっていく子も見ていて歯痒かったのです。少しでも彼らが快適に過ごせる手伝いが出来るならと思ったのです。」
と苦笑しながら返したので、採用に至った。もちろん、サーザにも何かあれば手を出していいと許可を出してある用意周到さだ。
「分かった。レナの知識を存分に学べ。邪な心が見えたら、サーザが容赦しないからな。」
とウィンフォードは再度そう釘を刺した。
「さぁ、もう皆さんはだいぶ慣れましたね?噛まれたり、ひっかかれるのは仕方有りませんが、されないようにくれぐれも気をつけましょう。心を出来るだけ解してから、お手入れをするのですよ。でももしもされてしまったら、よーく傷口を洗って下さいね。」
レナは今日も四人に、自分が学んできた事を伝え、後継を育てる。
レナは今日もこの、今まで生きてきた所とは違う世界で生きている。
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