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31. 挨拶

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 昼食も終え、レナとウィンフォードはそれぞれの支度の為に一度部屋へ戻った。


「ねぇサーザ。こんなに服があるのだけど…。」

「はい。これは全て、ウィンフォード様のご指示です。でもこれからは、レナ様がお選びになって下さいね。ウィンフォード様が手配して下さいますから。」


 レナは、クローゼットを見せてもらうと驚いた。いつの間にかたくさんワンピースが入っていた。確かにレナは、服を片手で数えるほどしか持ってきていない。しかも、エイダが教えてくれた、庶民が着るようなワンピース。

 けれどそれはやはり、未来の公爵夫人が着るのは善くないようで、普段の生活に困らない物を揃えてくれたのだ。パーティーなどの社交に出る場合には、レナ自ら選んでいいと言ってくれた。実際には、良く分からないから一人では選べないだろうがなんだか申し訳なく思った。


「何から何まで…申し訳ないわ。」

「何を言っているのですか!もっと甘えていいのですよ!ウィンフォード様が喜びます。男は、おねだりに弱いのですよ!さぁ、今日はどれになさいましょうねこちらは?」

「素敵ね、それにするわ。」



☆★

 階下が騒がしくなり、サーザも、

「そろそろ向かいましょう。」

 と言ったので、部屋を出る。

 玄関ホールに降りるとちょうどウィンフォードと話していたようで、

「あぁ、紹介するよ、レナ=オオハシ。俺の愛しい人だ。」

「まぁ!」

「レナさん。本当にうちの息子と結婚してくれるようで、ありがとう!私はウィンフォードの父のオスニエルだ。そしてこちらが妻の」

「ドルシラよ、よろしくね!ま~本当に可愛いわねぇ!珍しい髪色だし!うちのなんの面白味もない息子をよろしくね!」

「母上…」

「あら、あなたもオスニエルと同じ、陛下にこき使われて!仕事の鬼じゃないの!もういい加減、王太子に実務をやらせるといいと思うのよね!」


 と、ドルシラはプリプリとしている。過去に淋しい思いをしたのだろうかと考えさせられるほど、頬をふくらませている。


 ドルシラはとても若々しく見えるし、オスニエルも若々しい。まさに美男美女でレナは、

(すごい…まさに輝いているかんじ!こんな美男美女だから、ウィンフォード様も格好いいし、アルバータ様もブライズ様もお美しいのね!)

 と目を輝かせて思ったが、挨拶をしていないと思い出して、

「レナ=オオハシです。よろしくお願い致します。私には、ウィンフォード様は勿体ない程素敵な方なのですが、私も精一杯努力致します。」

 とだけ言った。

「何言っているのよ!あなたは充分素敵よ?私もね、イヌもネコも大好きなの!だから、陛下が早く変な決まり事を撤廃しないかとずっと思っていたのよ?あなたのおかげなのですってね?ありがとう!」

「あぁ、私の兄にスパッと言ってくれてありがとう。私からも礼を言う。なかなか、自分の先祖が決めた事を撤廃するなんて言い出しにくかったんだろう。それから、アルバータもブライズも世話になったそうで。君は若いのにずいぶんと立派だね。うちの息子をよろしく頼むよ。ではとりあえず部屋へ入ろう。」

 そう促され、応接室へと入っていく。



 家族として温かく迎えられたレナ。これから、この世界でレナの生活は続いていくーーー。
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