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24. お礼を言いに
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ブライズが帰ってからまた、少しだけサーザからブライズの事を教えられた。
ブライズは、十歳。
公爵家の娘だからと厳しい淑女教育にも進んで励んでいた。その為年齢よりもかなり大人びて見えるのだという。
しかし、先ほどレナが忠告したように幼い頃は体が弱く、よく咳をしたり熱を出したりしていた。
ブライズは、他のイヌやネコも可愛がっていたが、リプリーはどうやらグリフィス公爵家の敷地内で生まれたのか小さな頃はよく姿を現していて、真っ白でフワフワで、リプリーが一番のお気に入りだった。
そんなリプリーが自分で動き回れるようになると姿を見ない日も増え、たまにしか敷地内に来なくなった。たまに姿を現す毎に白から茶色に毛色が変化していっているのにブライズは残念がっていた。
リプリーだという事は、ネコなのに酷くだみ声で、すぐに分かるのだという。
それが、昔のように真っ白になって帰ってきたから淑女とはかけ離れた、幼子のように飛び跳ねて喜びを体で表現していたのだという。
「年相応の子供に戻して下さって、ご両親も喜んでおりました。」
「そんな…!私はただ、薄汚れていたから洗っただけよ。」
「それでもですよ。レナ様は本当に素晴らしいですね。」
☆★
「では参りましょう。」
夕食を終えたレナは、サーザに言われウィンフォードの仕事部屋へと向かう。
その途中、レナはふと思いサーザへと質問する。
レナが王宮へと来たときも、夜なのにウィンフォード様は仕事部屋で机に向かっていたから。
(残業なのかな?それとも、遅番勤務?朝から毎日この位の時間まで働くって、ブラック企業だわ。)
とレナは思ったのだ。
「ウィンフォード様も、こちらにお泊まりなの?」
「いいえ、タウンハウスへとお帰りですよ。でも帰られるのは最近特に遅いですね。何でも、新しく決まり事を作るとかどうとかで忙しくされております。」
「え!そうなんだ…あれ?サーザは?」
「私は元々雇い主がグリフィス家でございますから、どちらに帰ってもいいようになってます。今はレナ様についてますから、王宮の使用人棟が主ですね。たまに、グリフィス家にも顔を出しておりますが。」
「そうだったの…サーザも忙しいのね。」
「そうでもありません。以前も言いましたが、もっと顎で使って下さらないと、体が鈍ってしまいますよ!あ、着きましたね。」
サーザと話しているといつの間にか、ウィンフォード様の仕事部屋の前についたようで、サーザが扉を叩く。
「どうぞ。」
中からケランの声がし、サーザが扉を開けて私が入ると、私は廊下で待ちますと扉をすぐに閉めてしまった。
近くにいるケランを見ると、にっこりと笑って頷いて、
「大丈夫です。サーザは私と隣に立つのが嫌なだけですよ。ゆっくりしていって下さい。私は居ない者としてお話し下さい。さぁどうぞ、あちらへ。」
と、以前も座ったソファへと促される。
レナは素直にそれに従い、座った。
ケランは、傍にあったワゴンから紅茶を準備してまた入り口近くの壁際へと戻って行った。
「レナ、わざわざ来てくれてありがとう。」
ウィンフォードも仕事のキリが付いたのか、書いていた書類を持ち上げトントンと揃えると、
「これを、あちらへ届けてくれ。」
とケランへと言った。
ケランも当然の事のように、
「はい、確かに。ではごゆっくり。」
と言って書類を受け取り出て行く。
その間にウィンフォードもレナの対面へと座り、
「レナ。エイダね、元気にしていたよ。」
と、紅茶に手を付けながらレナへと言った。
「え!会われたのですか?」
レナも、紅茶に手を伸ばそうとして驚き、ウィンフォードへと視線を向ける。エイダの事は特に気になっていた。レナが客寄せすると本当に褒めてくれたエイダ。自分が居なくなって、儲けがまた減ったのではないかと思ったのだ。
「あぁ。仕事でまた馬車の停留所へ行った時にね。俺が贈った看板を使ってくれていたよ。そのお陰か、レナが客寄せしていたほどではないけど盛況だったよ。」
「まぁ!え?ウィンフォード様がエイダさんに看板を?どんな?」
「いや、靴磨きの宣伝文句をね。エイダは一人でやっていた時、客寄せなんてしなかったんだ。俺も、レナが客寄せしていなければ、あの人が靴磨きをする人だとは分からなかったんだ。だから、声を出さなくても一目見て分かるようにね。きっとレナも、気にしているかと思って。」
「ウィンフォード様…!嬉しいです!ありがとうございます!!」
レナはその話を聞き、涙がこみ上げるほど嬉しくなった。エイダがうまくやっていけるのか、それがとても心残りだったからだ。
「それから、理髪師の派遣をバリウェリーにしておいたよ。アイビーからも愚痴られたけど、二カ月程前に理髪師が辞めたんだって?髪を切りたくても切れなかった人がレナが来たお陰でやっと切れるようになったのにって。レナには悪いとは思ったが、ここからではやはりレナを通わせる事は出来ないから、そのお詫びだ。」
「何から何まで…!ウィンフォード様、ありがとうございます!これで心残りも無いです!」
「それは良かった!俺も、そう言ってくれて嬉しいよ。」
(ん?あれ?ウィンフォード様って、以前は私って言ってなかった?)
レナはなんとなくだがそれが少しだけ気になった。
ブライズは、十歳。
公爵家の娘だからと厳しい淑女教育にも進んで励んでいた。その為年齢よりもかなり大人びて見えるのだという。
しかし、先ほどレナが忠告したように幼い頃は体が弱く、よく咳をしたり熱を出したりしていた。
ブライズは、他のイヌやネコも可愛がっていたが、リプリーはどうやらグリフィス公爵家の敷地内で生まれたのか小さな頃はよく姿を現していて、真っ白でフワフワで、リプリーが一番のお気に入りだった。
そんなリプリーが自分で動き回れるようになると姿を見ない日も増え、たまにしか敷地内に来なくなった。たまに姿を現す毎に白から茶色に毛色が変化していっているのにブライズは残念がっていた。
リプリーだという事は、ネコなのに酷くだみ声で、すぐに分かるのだという。
それが、昔のように真っ白になって帰ってきたから淑女とはかけ離れた、幼子のように飛び跳ねて喜びを体で表現していたのだという。
「年相応の子供に戻して下さって、ご両親も喜んでおりました。」
「そんな…!私はただ、薄汚れていたから洗っただけよ。」
「それでもですよ。レナ様は本当に素晴らしいですね。」
☆★
「では参りましょう。」
夕食を終えたレナは、サーザに言われウィンフォードの仕事部屋へと向かう。
その途中、レナはふと思いサーザへと質問する。
レナが王宮へと来たときも、夜なのにウィンフォード様は仕事部屋で机に向かっていたから。
(残業なのかな?それとも、遅番勤務?朝から毎日この位の時間まで働くって、ブラック企業だわ。)
とレナは思ったのだ。
「ウィンフォード様も、こちらにお泊まりなの?」
「いいえ、タウンハウスへとお帰りですよ。でも帰られるのは最近特に遅いですね。何でも、新しく決まり事を作るとかどうとかで忙しくされております。」
「え!そうなんだ…あれ?サーザは?」
「私は元々雇い主がグリフィス家でございますから、どちらに帰ってもいいようになってます。今はレナ様についてますから、王宮の使用人棟が主ですね。たまに、グリフィス家にも顔を出しておりますが。」
「そうだったの…サーザも忙しいのね。」
「そうでもありません。以前も言いましたが、もっと顎で使って下さらないと、体が鈍ってしまいますよ!あ、着きましたね。」
サーザと話しているといつの間にか、ウィンフォード様の仕事部屋の前についたようで、サーザが扉を叩く。
「どうぞ。」
中からケランの声がし、サーザが扉を開けて私が入ると、私は廊下で待ちますと扉をすぐに閉めてしまった。
近くにいるケランを見ると、にっこりと笑って頷いて、
「大丈夫です。サーザは私と隣に立つのが嫌なだけですよ。ゆっくりしていって下さい。私は居ない者としてお話し下さい。さぁどうぞ、あちらへ。」
と、以前も座ったソファへと促される。
レナは素直にそれに従い、座った。
ケランは、傍にあったワゴンから紅茶を準備してまた入り口近くの壁際へと戻って行った。
「レナ、わざわざ来てくれてありがとう。」
ウィンフォードも仕事のキリが付いたのか、書いていた書類を持ち上げトントンと揃えると、
「これを、あちらへ届けてくれ。」
とケランへと言った。
ケランも当然の事のように、
「はい、確かに。ではごゆっくり。」
と言って書類を受け取り出て行く。
その間にウィンフォードもレナの対面へと座り、
「レナ。エイダね、元気にしていたよ。」
と、紅茶に手を付けながらレナへと言った。
「え!会われたのですか?」
レナも、紅茶に手を伸ばそうとして驚き、ウィンフォードへと視線を向ける。エイダの事は特に気になっていた。レナが客寄せすると本当に褒めてくれたエイダ。自分が居なくなって、儲けがまた減ったのではないかと思ったのだ。
「あぁ。仕事でまた馬車の停留所へ行った時にね。俺が贈った看板を使ってくれていたよ。そのお陰か、レナが客寄せしていたほどではないけど盛況だったよ。」
「まぁ!え?ウィンフォード様がエイダさんに看板を?どんな?」
「いや、靴磨きの宣伝文句をね。エイダは一人でやっていた時、客寄せなんてしなかったんだ。俺も、レナが客寄せしていなければ、あの人が靴磨きをする人だとは分からなかったんだ。だから、声を出さなくても一目見て分かるようにね。きっとレナも、気にしているかと思って。」
「ウィンフォード様…!嬉しいです!ありがとうございます!!」
レナはその話を聞き、涙がこみ上げるほど嬉しくなった。エイダがうまくやっていけるのか、それがとても心残りだったからだ。
「それから、理髪師の派遣をバリウェリーにしておいたよ。アイビーからも愚痴られたけど、二カ月程前に理髪師が辞めたんだって?髪を切りたくても切れなかった人がレナが来たお陰でやっと切れるようになったのにって。レナには悪いとは思ったが、ここからではやはりレナを通わせる事は出来ないから、そのお詫びだ。」
「何から何まで…!ウィンフォード様、ありがとうございます!これで心残りも無いです!」
「それは良かった!俺も、そう言ってくれて嬉しいよ。」
(ん?あれ?ウィンフォード様って、以前は私って言ってなかった?)
レナはなんとなくだがそれが少しだけ気になった。
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