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12. やっぱり癒される

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 心を砕かれるような残酷な現実を突きつけられ、目を熱く潤ませながら、デレクはまだ椅子に座ったまま、ラーシアをまっすぐに見つめていた。
後ろにはもう道がない。その覚悟がデレクの全身を包んでいる。

「ならば一つ教えてくれ。君は竜を愛しているのか?」

「答える必要はない」

ラーシアの目が一瞬揺れたように見えた。
この道を行くと決めたなら貫くしかない。デレクの頭に先ほどのヒューの言葉が浮かぶ。

「ならばゲームをしよう」

「ゲーム?」

深刻な話の最中にゲームをするのかと、ラーシアが笑い飛ばそうとするかのような声を出した。
デレクを引き離そうとするラーシアの挑発をデレクは淡々と受け止める。

「そうだ。君が俺に提案したことのあるゲームだ」

デレクはラーシアの答えも待たず、服を脱ぎ始めた。
ブーツの紐を解き、ベルトを外し、ズボンと下着から足を抜く。
あっという間に全裸になると、デレクは再び椅子に座り、背もたれの後ろで手を組んだ。

「もし俺が動かないでいられたら、君は俺の言うことを一つ聞く」

ラーシアの顔がわずかに歪んだ。

「弱いくせに」

「ならば問題ないだろう?これは君が俺に提案したことがあるゲームで、俺の方が不利だと分かっているはずだ」

昨夜のように、デレク主導で始めるわけではない。
ラーシアの方からデレクの体を求めなければならない。
震えながら、ラーシアは立ち上がり、デレクに近づく。

「服を脱がないのか?余裕だな」

デレクは挑発した。

服を脱いだほうがデレクも反応しやすい。すぐに腰を動かし、果ててしまうかもしれない。
それに昨夜は、流されたとはいえ既に裸を見せ合って体を重ねている。
服を脱ぐことなど容易い事だと思うのに、ラーシアは踏み切れない。

「こんなやり方は……ずるい」

「どっちにとって?」

デレクの強い眼差は迷いなくラーシアを捉えている。
股間の肉棒はすでに腹まで反り返り、赤く張り詰めている。
デレクの足の間に座り、ラーシアは手を固く鍛えられたデレクの内ももに置いた。

その感触を受けても、デレクは深く落ち着いた呼吸をしている。
苦しそうなのはラーシアの方だった。
手をデレクの足の間に入れ、重みのある袋を持ち上げると、愛おし気にそっと包み込む。
その熱がラーシアの手の熱と混ざり合うと、ラーシアは唇を開いて燃えるように熱い肉の先端に口づけをした。

「ふっ……」

少し揺れたが、デレクは静かに耐えている。
味わうように、ラーシアは唇で何度も肉棒の先端をついばみ、それからゆっくり咥えこむ。
舌先でくすぐり、壊れ物を扱うように優しく吸い上げる。

「んっ……」

鼻にかかった甘い声をあげたのはラーシアだった。

「んっ……んっ……」

首を前後に動かしながら、その熱を口いっぱいに頬張り、先から出てきた液体を大切に飲み込む。
唇を離すと、今度は茂みの中に顔を埋め、舌先で根元からお腹の方までなぞる。
筋肉の凹凸をなぞり、それから乳首を目指す。
手は袋の部分を離れ、デレクの体をまさぐりながら舌よりも早く乳首に到達する。

胸毛の間を指が走り、小さな突起を見つけるとさらりと触れる。

「うっ……」

うめいたのはデレクで、目を閉じ、苦しそうに眉根を寄せている。
その乳首の先をラーシアは唇で覆い、舌で舐めた。

「はぁ……はぁ……」

デレクの腰がわずかに動いている。
理性で押しとどめ、手を後ろに組んだ姿勢をなんとか維持している。
ラーシアはそっと乳首から唇を離し、目を閉じて耐えるデレクの顔を確認する。
もう少し押せば、勝てそうだと踏み、ラーシアは一気に攻撃に転じる。
左の乳首を舌で嬲り、右手で右の乳首を擦り、さらに左手でデレクの肉棒を優しく包む。

「あっ……」

色っぽいデレクの掠れた声に、ラーシアは苦しそうに顔を歪ませる。
荒い息遣いになっていたのはラーシアの方だった。

デレクの乳首は赤く尖り、股間の肉棒は硬いままで、デレクは何かに耐えるように固く目を閉ざしている。

勝利は目前なのに、ラーシアはデレクから手を離し、豊かな自身の胸に触れ、乳首を擦る。
立ち上がり、愛おし気にデレクの顔を見おろし、物欲し気に舌で唇を舐める。

ラーシアはデレクの体に両手を這わせ、胸を押し付けて抱き着くと、夢中でその唇を求めた。
すぐにデレクの舌が差し出される。

ラーシアは喜んでその舌に飛びついた。
舐めて吸い込み、それから自分の舌を差し出し、何度も唇を味わう。

思い出したように、ラーシアはデレクの肉棒を左手で包み、再び上下に擦り始める。
その間も、唾液をすすり合うような熱い口づけが続いている。

肉棒を愛撫するラーシアの手の中から濡れた音が聞こえ始める。
だけど、それは達するところまではどうしてもいかない。
唇が離れると、低く掠れた声がラーシアを呼んだ。

「ラーシア……」

まるで心の中を覗こうとするように、デレクの目はラーシアの目を覗き込んでいる。

「もう終わりか?」

ラーシアの目から涙が溢れ出た。
これ以上触れたら、止まらなくなるのはどっちなのか。
目を閉ざし、ラーシアはもう一度唇を重ねた。

言葉が無くてもわかってしまう。
熱く貪るような口づけ。
大きな体を全身でかき抱き、混ざり合うように体を重ねたくなる。

ラーシアの全身が訴える。
デレクに動いて欲しくてたまらない。張り詰めた乳房の先端はデレクの愛撫を待っている。
足の間は恥ずかしいぐらい濡れて、その熱いものを中に沈めたくてたまらない。

一方で、デレクは最後まで出す気がない。
リジーの死に対する悲しみとラーシアを失う苦痛が、デレクの心の欲望を抑制している。
この勝負はラーシアに勝ち目がない。
思念の読めるラーシアにはそれがわかっている。

「俺の番だな」

デレクが椅子の後ろで組んでいた手を解いた。
ラーシアの体を抱え上げ、寝台に横たえる。
昨夜よりずっと優しく、デレクはラーシアの服をまくりあげ、ズボンを下ろした。

ラーシアの欲望に染まった体がデレクの前に晒される。
思念は読めなくてもわかるはずだ。
デレクの体に触れ、愛撫を繰り返すうちにラーシアの体の準備は完全に出来上がっている。

震えながらラーシアはデレクを見上げている。

怯えたような瞳には渇望と恐れが混ざり合う。
デレクはラーシアの足を下から撫で上げ、股間の茂みの中に指を潜り込ませた。
恥ずかしそうにラーシアが足をよじ合わせ、顔を背ける。

引き抜いた指はびっしょりと濡れている。

「もう動いたのか?」

心が蕩けそうな優しい声音でデレクが囁く。
耐えきれず、ラーシアは足を開き、濡れた股間を淫らに晒し、腰をうねらせる。
デレクは腰を押し付けてくるが、熱くほてったものは入ってこない。
濡れた秘芯に熱い肉の先端が押し付けられるばかりだ。

上半身を重ね合わせ、デレクは大きな手で頬を包み、ラーシアの横を向いている顔を正面に向けさせた。
濡れた目元を唇で吸い上げ、優しく頬に口づけを繰り返す。
大きく分厚い手がラーシアの胸を優しく包む。
ラーシアの胸は大きく張り、その先端はさらなる刺激を求めて疼いている。

デレクの熱い手が乳房を揉み上げ、親指がその先端を擦り上げた。

「んっ……」

さらにその刺激を求めるように、ラーシアは背を逸らし胸を突き上げる。
甘く喘ぎながら、濡れた秘芯を擦る厚い肉の感触を、なんとか迎え入れようと腰がゆるやかに動いている。

「あ……」

肉棒の先端がぐっと押し入ると、すぐにするりと抜けてしまう。
ラーシアの欲望に火をつけながらも、求める反り返った部分まで決して入ってこない。

ラーシアの腰はもどかし気に揺れ、大きく開いた足はデレクの腰を逃すまいと必死に分厚い体に絡みつく。
蕩けるようなラーシアの目がデレクに訴える。

それを見おろしながら、デレクは意地悪な愛撫を繰り返す。
乳首を指先で嬲りながら、唇を貪り、腰を少し前に出してはひっこめる。

「んんっ……」

頬を紅潮させ、ラーシアが激しく身をよじりだした。

「俺の勝ちだ」

体をぴたりと重ね、肝心なところは空っぽにさせたまま、デレクが告げる。
ラーシアは泣きながらデレクに訴えた。

「お願い。もう……入れて……」

次の瞬間、デレクは腰を突き上げ、じらされ続けていた熱く潤った肉の間を真っすぐに奥まで貫いた。

「あんっ……」

熱い肉の重みが、さっきまで空っぽだった胎内を予想以上の大きさで満たしてしまう。
ラーシアは体を大きく逸らし、胸を物欲し気に突き出した。
すかさずその先端にデレクがしゃぶりつく。
甘い嬌声が漏れる。

激しかったのは最初だけだった。後は優しく、慈しむようにゆっくりと腰が押し付けられる。
悲しみを慰め、深い愛を伝えるためだけの優しい交わりだった。
その心に触れ、ラーシアは泣きながらデレクの体にしがみついた。


 軋んでいたベッドが静かになり、ラーシアの体から力が抜けた。
体の奥はまだ強く収縮し、デレクの物に未練がましくしがみついている。
デレクの物はまだ熱く張り詰めたままで、ラーシアを満足させても果てることはなかった。

ぐったりしていたラーシアは目を開け、デレクに問いかけるような視線を投げかけた。
デレクは体を重ね、ラーシアの顔を見おろしている。

「ラーシア、俺の勝ちだ。俺の言うことを一つ聞いてもらう」

かすかにラーシアは首を横に振る。
せっかく止まった涙が再び溢れだす。
デレクはもう容赦しなかった。
命をかけて覚悟を決めていた。

「ラーシア、俺を連れて行け。竜のところでもいい。君が竜の妻だというなら、俺は君の護衛、あるいは召使として君についていく。君には指一本触れない。もし竜の逆鱗に触れ、竜のもとに到着した途端に殺されるとしても俺に悔いはない。
ごまかしても無駄だ。俺達は求め合っている。君の体は言葉より正直だ。
だから、俺はお前と行く。約束だ」

震える指を伸ばし、ラーシアはデレクの頬を抱いた。

「デレク、君は……この国の騎士なのに、この国にはもう戻れない。ヒューとも会えなくなる。こんなに平和で豊かな国はない。デレク、君の国は本当に良い国だ。ここを離れてここ以上の場所を見つけるのは難しい」

「ラーシア、君がいなければ意味がない」

「もし、私が国のために犠牲になったことを申し訳なく思っているなら」

「ラーシア、君は俺の心が読めるはずだ。それが理由じゃないことはわかっているはずだ。こんなことは無意味だ。負けを認めろ」

言葉を失い震えるラーシアを抱きしめ、デレクはその頬に唇を押し当てた。

「どんな残忍な死が待っていても構わない。君と引き離され、俺が孤独に死ぬとしても、君は気にしなくていい。ラーシア、俺は覚悟を決めた。だから、約束だ。ラーシア、愛している」

ラーシアの愛さえ確信出来れば、それでよかったのだ。

リジーは残念だったが、ラーシアが産む次の竜もきっと可愛いだろう。
もしラーシアの夫である竜に許されるなら、子供の世話や何か仕事をして傍にいることが出来るはずだ。

デレクは泣いているラーシアを腕に閉じ込め、静かに、そんなことを考えていた。


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