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16. 王宮へ
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アモリーとレナは、帽子を被った男性から遅れて王宮に着くと入り口入ってすぐの総合院と書かれたカウンターで説明をした。
総合院は、受付窓口のような場所で自分のしたい事を言うとそれぞれどの棟の何階に行けばいいのか、教えてくれる。だがあらかじめ予約を入れないと上に通してもらえないので、普通であれば予約がない場合はここで予約をし、決められた日時に再び来なければならない。
だが、レナのような急な用件は、すぐに受け付けてくれるらしく、担当がそこまで案内してくれる。
「分かりました。今係の者が参りますので、そちらで掛けてお待ち下さい。」
と言われ二人はしばらく近くのベンチで掛けて待っていた。
ようやく若い十代後半の青年が来て案内してくれ、迷路のような王宮内を進み、一つの部屋の前でその案内人は去っていった。
「どうぞ。」
すぐに部屋から声がして、部屋へと入ると正面の大きめな机に向かって何やら仕事をしている金髪の男性がいた。机に向かっているので顔などは見えなかった。
入り口近くには、これまた茶色に近い金髪の男性が立っていて、
「もう少しで手が空きますので、それまでそちらでお待ち下さい。」
と、目の前のソファへとレナとアモリーは促された。この男性が部屋に入るようにも言ったのだった。
二人が座り、声を掛けてくれた男性が紅茶の準備をしてくれたので有り難く口にしていると、机に向かっていた男性が席を立ち、こちらへと向かって来た。
「ずいぶんとお待たせしてすみません…て、あ!」
その男性がソファへと座り、レナとアモリーに視線を送ると、レナに気づいて言葉が止まった。
「あ!」
レナも気づき、言葉を発した。
「レナ、知り合い?」
と、隣に座ったアモリーは小声でレナに聞いた。
レナも小さく頷いて、その向かいに座った男性へと話し掛けた。
「ええと、靴磨きのお客さまですよね?」
「あぁ、そうだよ。その節はお世話になったね、ありがとう。」
男性は、ニッコリとレナへと優しく微笑んだ。
「え?客?かあちゃ…母の?」
「母?なるほど。君はあの靴磨きをしてくれた女性のご子息か。世話になった。」
「ご子息って大層なものじゃ…」
「はい。こちら、アモリーです。王宮内の保安院で働かれているそうです。私も今日初めてお会いして、話を聞いてこちらへと連れて来て下さいました。」
「ふむ。そうか。私は、ウィンフォード=グリフィスと言います。仕事は多岐に渡っていて、異世界人への対応もしています。総合院からの報告では、あなたが異世界人だと伺いました。…失礼ですが、お名前から伺っても?」
「あ!そうでした。私はレナと言います。レナ=オオハシ。」
レナは顔見知りではあったが、名前を言っていなかった事に気づき今更ながら名前を言った。
「レナ、レナね。うん、じゃあレナ、では今日からこの王宮内にある、東棟の一室をレナの部屋とするから。不便な事があれば、言ってくれ。…で、えーと、アモリー。」
「はい!」
「ここまで連れて来てくれて、ご苦労であった。アモリーは、西棟にある保安院の独身寮にいるのか?」
「はい!たまに、母の元へと帰っています。今日も、明日が休暇だった為に久しぶりに帰ったのですが、その時にレナに会いまして、話を聞き連れて参りました!それから、母は、レナを奴隷船から逃げだしたと思い込んでおりましたので、報告が遅れました!申し訳ありませんでした!!」
アモリーは、保安隊に属してはいるが所詮平民である。その為、要職についている人と話す機会もほとんど無いので緊張しているのだ。
「そうか、分かった。では今日はもう遅い。帰っていいぞ。」
ウィンフォードはそう言って、アモリーの退出を促す。
先ほど対応してくれて入り口に控えているのはケランというウィンフォードの側仕えであり、ケランもアモリーにさも恭しくお辞儀をして促した。
それに対し、アモリーは戸惑いながらも要職についている目上の人に言われたら従う他ない為、
「は、はい…じゃあねレナ。何かあればいつでも保安院にいるから俺を呼び付けるんだよ。分かった?」
と、名残惜しそうにレナへと告げる。
レナも、そうは言ってくれたが信頼しているエイダの息子とはいえ今日会うのが初めての人であるから、きっと社交辞令だろうとお礼を言うに留めた。
「はい、ありがとうございます。アモリーさん、せっかくエイダさんと過ごそうと思って帰っていらしたのにすみませんでした。では、お気を付けて。」
ケランはというとまだ立ち上がらないアモリーに近づいて、
「さぁ、お気を付けて。それとも、お送りしましょうか?」
と述べる。
アモリーは保安隊の隊員であるからこの王宮の敷地内は当然把握している。なので素早く立ち上がり、
「いえ、結構です。それでは、レナをくれぐれもよろしくお願い致します。」
と、深々と一礼し、何度もレナへと振り返り部屋を出て行った。
総合院は、受付窓口のような場所で自分のしたい事を言うとそれぞれどの棟の何階に行けばいいのか、教えてくれる。だがあらかじめ予約を入れないと上に通してもらえないので、普通であれば予約がない場合はここで予約をし、決められた日時に再び来なければならない。
だが、レナのような急な用件は、すぐに受け付けてくれるらしく、担当がそこまで案内してくれる。
「分かりました。今係の者が参りますので、そちらで掛けてお待ち下さい。」
と言われ二人はしばらく近くのベンチで掛けて待っていた。
ようやく若い十代後半の青年が来て案内してくれ、迷路のような王宮内を進み、一つの部屋の前でその案内人は去っていった。
「どうぞ。」
すぐに部屋から声がして、部屋へと入ると正面の大きめな机に向かって何やら仕事をしている金髪の男性がいた。机に向かっているので顔などは見えなかった。
入り口近くには、これまた茶色に近い金髪の男性が立っていて、
「もう少しで手が空きますので、それまでそちらでお待ち下さい。」
と、目の前のソファへとレナとアモリーは促された。この男性が部屋に入るようにも言ったのだった。
二人が座り、声を掛けてくれた男性が紅茶の準備をしてくれたので有り難く口にしていると、机に向かっていた男性が席を立ち、こちらへと向かって来た。
「ずいぶんとお待たせしてすみません…て、あ!」
その男性がソファへと座り、レナとアモリーに視線を送ると、レナに気づいて言葉が止まった。
「あ!」
レナも気づき、言葉を発した。
「レナ、知り合い?」
と、隣に座ったアモリーは小声でレナに聞いた。
レナも小さく頷いて、その向かいに座った男性へと話し掛けた。
「ええと、靴磨きのお客さまですよね?」
「あぁ、そうだよ。その節はお世話になったね、ありがとう。」
男性は、ニッコリとレナへと優しく微笑んだ。
「え?客?かあちゃ…母の?」
「母?なるほど。君はあの靴磨きをしてくれた女性のご子息か。世話になった。」
「ご子息って大層なものじゃ…」
「はい。こちら、アモリーです。王宮内の保安院で働かれているそうです。私も今日初めてお会いして、話を聞いてこちらへと連れて来て下さいました。」
「ふむ。そうか。私は、ウィンフォード=グリフィスと言います。仕事は多岐に渡っていて、異世界人への対応もしています。総合院からの報告では、あなたが異世界人だと伺いました。…失礼ですが、お名前から伺っても?」
「あ!そうでした。私はレナと言います。レナ=オオハシ。」
レナは顔見知りではあったが、名前を言っていなかった事に気づき今更ながら名前を言った。
「レナ、レナね。うん、じゃあレナ、では今日からこの王宮内にある、東棟の一室をレナの部屋とするから。不便な事があれば、言ってくれ。…で、えーと、アモリー。」
「はい!」
「ここまで連れて来てくれて、ご苦労であった。アモリーは、西棟にある保安院の独身寮にいるのか?」
「はい!たまに、母の元へと帰っています。今日も、明日が休暇だった為に久しぶりに帰ったのですが、その時にレナに会いまして、話を聞き連れて参りました!それから、母は、レナを奴隷船から逃げだしたと思い込んでおりましたので、報告が遅れました!申し訳ありませんでした!!」
アモリーは、保安隊に属してはいるが所詮平民である。その為、要職についている人と話す機会もほとんど無いので緊張しているのだ。
「そうか、分かった。では今日はもう遅い。帰っていいぞ。」
ウィンフォードはそう言って、アモリーの退出を促す。
先ほど対応してくれて入り口に控えているのはケランというウィンフォードの側仕えであり、ケランもアモリーにさも恭しくお辞儀をして促した。
それに対し、アモリーは戸惑いながらも要職についている目上の人に言われたら従う他ない為、
「は、はい…じゃあねレナ。何かあればいつでも保安院にいるから俺を呼び付けるんだよ。分かった?」
と、名残惜しそうにレナへと告げる。
レナも、そうは言ってくれたが信頼しているエイダの息子とはいえ今日会うのが初めての人であるから、きっと社交辞令だろうとお礼を言うに留めた。
「はい、ありがとうございます。アモリーさん、せっかくエイダさんと過ごそうと思って帰っていらしたのにすみませんでした。では、お気を付けて。」
ケランはというとまだ立ち上がらないアモリーに近づいて、
「さぁ、お気を付けて。それとも、お送りしましょうか?」
と述べる。
アモリーは保安隊の隊員であるからこの王宮の敷地内は当然把握している。なので素早く立ち上がり、
「いえ、結構です。それでは、レナをくれぐれもよろしくお願い致します。」
と、深々と一礼し、何度もレナへと振り返り部屋を出て行った。
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