11 / 32
11. 再び馬車乗り場前で
しおりを挟む
アイビーやエイダと話し、午前中の早い時間はエイダと靴磨きをし、その後ここへ来て理髪師をする事とした。
エイダは、レナが理髪師の仕事をする間ここでゆっくり休憩したり、買い物に出る事もすると言った。
(一緒にいてもらって悪いなぁ…。)
とレナが思うが、言葉にすればエイダはきっとまたレナが心配だと言って笑ってくれるのだろうとレナは思って言わないでおいた。
エイダは時々、レナが奴隷船か何かに乗せられて逃げのびた人だと思っている節があるので、レナが心配だと過保護に世話をやいてくれるのだ。
翌日、また一日が始まる。
レナは、今日から理髪師としてやっていくんだと少し緊張しながらもエイダの仕事を手伝いに行った。
「今日はまた、馬車乗り場にしようか。」
エイダはそう言ってまた、馬車乗り場の隣に腰を下ろした。
と、また前回のお客さんが馬車の停留所で並んでいてこちらを見て気づいたようで列から外れて来た。
「また、靴磨きをやるのか?」
(金髪が日に当たってキラキラと輝いているわ!イケメンだなぁ…。目の保養ね!)
レナはそう思いながらも、話しかけられたので言葉を返す。エイダはまだ荷物を並べていたのだ。
「はい!一昨日も来てくれましたよね!また磨いてもいいのですか?」
それにしても、靴磨きってそんな頻繁にするもの?と思って聞くと、男性は苦笑いしながら答える。
「あぁ…ちょっと訳あってすぐに泥だらけになってしまうんだ。家に帰って磨いても、すぐに泥だらけになるから諦めていたんだが…やってもらえるならありがたい。お願いしよう。」
(すぐに泥だらけになるって、どうして?でも、またお客さんになってくれるならありがたいものね。)
「はい!準備がありますから、少しだけお待ちいただけますか?…エイダさん、磨いて欲しいそうです。」
「え?あぁ…いらっしゃいませ!はいはい、どうぞ!」
エイダは準備をしていてお客さんに気づいていないようだったが、レナがそう言うと慌ててそう言って、その男性の靴磨きをしだした。
(それにしても…エイダさんの靴磨きって本当に職人技だわ。馬車に乗る前の僅かな時間でピッカピカに仕上げちゃうんだもの。)
「ありがとう。一昨日も思ったが、本当に職人技だな。昨日はここに居なかったから残念に思ってしまったよ。」
その男性はそう言って、多めに払った。
「お客さん!ダメだよ、これ返すよ!」
エイダは、多く入れられた分を手に持ってその男性へと返そうとするが、
「いや、いいんだ。あなたよりかなり時間が掛かってその料金の倍以上請求してくる靴磨き屋を知っている。あなたのその短時間でその出来栄えは一流だ。本当に助かるからとっておいてくれ。…あなたがいたから、靴磨きをやるのだと気づいたよありがとう!では。」
とエイダとレナへ言うと、また馬車乗り場の列へと並びに行ってしまった。
エイダはと言うとそのように褒められて、
「いやだよぅ…でも嬉しいね。有難く頂いておくよ。」
と照れながらもそう言った。
(すごいなぁ。あんな身なりも整っていて地位も有りそうな人に言われるなんて。…私もまたあんなイケメンと話せて嬉しかったな!)
レナはそう思ってエイダを見るが、エイダがいるその向こうの建物の近くで動いているものを見つけた。
(あ!あれって、この前のヨークシャーテリア?)
黒い毛の塊ようなそれはやはりヨタヨタと歩いている。
(どうしよう…今は、エイダさんの靴磨きに付き合うって決めたからな…。)
レナは、せっかくハサミを手に入れたから手入れをしてあげたいと思うけれど、一昨日も見つけて今日も見つけたから、きっとまたすぐ見つけられるだろうと、そちらに視線を向けながらもエイダさんの客寄せに精を出した。
エイダは、レナが理髪師の仕事をする間ここでゆっくり休憩したり、買い物に出る事もすると言った。
(一緒にいてもらって悪いなぁ…。)
とレナが思うが、言葉にすればエイダはきっとまたレナが心配だと言って笑ってくれるのだろうとレナは思って言わないでおいた。
エイダは時々、レナが奴隷船か何かに乗せられて逃げのびた人だと思っている節があるので、レナが心配だと過保護に世話をやいてくれるのだ。
翌日、また一日が始まる。
レナは、今日から理髪師としてやっていくんだと少し緊張しながらもエイダの仕事を手伝いに行った。
「今日はまた、馬車乗り場にしようか。」
エイダはそう言ってまた、馬車乗り場の隣に腰を下ろした。
と、また前回のお客さんが馬車の停留所で並んでいてこちらを見て気づいたようで列から外れて来た。
「また、靴磨きをやるのか?」
(金髪が日に当たってキラキラと輝いているわ!イケメンだなぁ…。目の保養ね!)
レナはそう思いながらも、話しかけられたので言葉を返す。エイダはまだ荷物を並べていたのだ。
「はい!一昨日も来てくれましたよね!また磨いてもいいのですか?」
それにしても、靴磨きってそんな頻繁にするもの?と思って聞くと、男性は苦笑いしながら答える。
「あぁ…ちょっと訳あってすぐに泥だらけになってしまうんだ。家に帰って磨いても、すぐに泥だらけになるから諦めていたんだが…やってもらえるならありがたい。お願いしよう。」
(すぐに泥だらけになるって、どうして?でも、またお客さんになってくれるならありがたいものね。)
「はい!準備がありますから、少しだけお待ちいただけますか?…エイダさん、磨いて欲しいそうです。」
「え?あぁ…いらっしゃいませ!はいはい、どうぞ!」
エイダは準備をしていてお客さんに気づいていないようだったが、レナがそう言うと慌ててそう言って、その男性の靴磨きをしだした。
(それにしても…エイダさんの靴磨きって本当に職人技だわ。馬車に乗る前の僅かな時間でピッカピカに仕上げちゃうんだもの。)
「ありがとう。一昨日も思ったが、本当に職人技だな。昨日はここに居なかったから残念に思ってしまったよ。」
その男性はそう言って、多めに払った。
「お客さん!ダメだよ、これ返すよ!」
エイダは、多く入れられた分を手に持ってその男性へと返そうとするが、
「いや、いいんだ。あなたよりかなり時間が掛かってその料金の倍以上請求してくる靴磨き屋を知っている。あなたのその短時間でその出来栄えは一流だ。本当に助かるからとっておいてくれ。…あなたがいたから、靴磨きをやるのだと気づいたよありがとう!では。」
とエイダとレナへ言うと、また馬車乗り場の列へと並びに行ってしまった。
エイダはと言うとそのように褒められて、
「いやだよぅ…でも嬉しいね。有難く頂いておくよ。」
と照れながらもそう言った。
(すごいなぁ。あんな身なりも整っていて地位も有りそうな人に言われるなんて。…私もまたあんなイケメンと話せて嬉しかったな!)
レナはそう思ってエイダを見るが、エイダがいるその向こうの建物の近くで動いているものを見つけた。
(あ!あれって、この前のヨークシャーテリア?)
黒い毛の塊ようなそれはやはりヨタヨタと歩いている。
(どうしよう…今は、エイダさんの靴磨きに付き合うって決めたからな…。)
レナは、せっかくハサミを手に入れたから手入れをしてあげたいと思うけれど、一昨日も見つけて今日も見つけたから、きっとまたすぐ見つけられるだろうと、そちらに視線を向けながらもエイダさんの客寄せに精を出した。
1
お気に入りに追加
174
あなたにおすすめの小説
処刑される未来をなんとか回避したい公爵令嬢と、その公爵令嬢を絶対に処刑したい男爵令嬢のお話
真理亜
恋愛
公爵令嬢のイライザには夢という形で未来を予知する能力があった。その夢の中でイライザは冤罪を着せられ処刑されてしまう。そんな未来を絶対に回避したいイライザは、予知能力を使って未来を変えようと奮闘する。それに対して、男爵令嬢であるエミリアは絶対にイライザを処刑しようと画策する。実は彼女にも譲れない理由があって...
《完結》《異世界アイオグリーンライト・ストーリー》でブスですって!女の子は変われますか?変われました!!
皇子(みこ)
恋愛
辺境の地でのんびり?過ごして居たのに、王都の舞踏会に参加なんて!あんな奴等のいる所なんて、ぜーたいに行きません!でブスなんて言われた幼少時の記憶は忘れないー!
『壁の花』の地味令嬢、『耳が良すぎる』王子殿下に求婚されています〜《本業》に差し支えるのでご遠慮願えますか?〜
水都 ミナト
恋愛
マリリン・モントワール伯爵令嬢。
実家が運営するモントワール商会は王国随一の大商会で、優秀な兄が二人に、姉が一人いる末っ子令嬢。
地味な外観でパーティには来るものの、いつも壁側で1人静かに佇んでいる。そのため他の令嬢たちからは『地味な壁の花』と小馬鹿にされているのだが、そんな嘲笑をものととせず彼女が壁の花に甘んじているのには理由があった。
「商売において重要なのは『信頼』と『情報』ですから」
※設定はゆるめ。そこまで腹立たしいキャラも出てきませんのでお気軽にお楽しみください。2万字程の作品です。
※カクヨム様、なろう様でも公開しています。
婚約解消と婚約破棄から始まって~義兄候補が婚約者に?!~
琴葉悠
恋愛
ディラック伯爵家の令嬢アイリーンは、ある日父から婚約が相手の不義理で解消になったと告げられる。
婚約者の行動からなんとなく理解していたアイリーンはそれに納得する。
アイリーンは、婚約解消を聞きつけた友人から夜会に誘われ参加すると、義兄となるはずだったウィルコックス侯爵家の嫡男レックスが、婚約者に対し不倫が原因の婚約破棄を言い渡している場面に出くわす。
そして夜会から数日後、アイリーンは父からレックスが新しい婚約者になったと告げられる──
婚約破棄された令嬢のささやかな幸福
香木陽灯(旧:香木あかり)
恋愛
田舎の伯爵令嬢アリシア・ローデンには婚約者がいた。
しかし婚約者とアリシアの妹が不貞を働き、子を身ごもったのだという。
「結婚は家同士の繋がり。二人が結ばれるなら私は身を引きましょう。どうぞお幸せに」
婚約破棄されたアリシアは潔く身を引くことにした。
婚約破棄という烙印が押された以上、もう結婚は出来ない。
ならば一人で生きていくだけ。
アリシアは王都の外れにある小さな家を買い、そこで暮らし始める。
「あぁ、最高……ここなら一人で自由に暮らせるわ!」
初めての一人暮らしを満喫するアリシア。
趣味だった刺繍で生計が立てられるようになった頃……。
「アリシア、頼むから戻って来てくれ! 俺と結婚してくれ……!」
何故か元婚約者がやってきて頭を下げたのだ。
しかし丁重にお断りした翌日、
「お姉様、お願いだから戻ってきてください! あいつの相手はお姉様じゃなきゃ無理です……!」
妹までもがやってくる始末。
しかしアリシアは微笑んで首を横に振るばかり。
「私はもう結婚する気も家に戻る気もありませんの。どうぞお幸せに」
家族や婚約者は知らないことだったが、実はアリシアは幸せな生活を送っていたのだった。
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。
ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。
なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。
妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。
しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。
この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。
*小説家になろう様からの転載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる