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では伯爵家は
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「ええと、では伯爵家は大丈夫ですわよね?兄様が卒業してもお父様の元で修行を積まないから、お母様もやきもきしていらしたのよ。けれどそうすると、サーリン姉様はどうなさるのでしょうか。」
「ん?どういう意味だい?伯爵家は大丈夫だよ。立派な跡継ぎがいるんだからね。ねぇ、アリールル?」
「そうですわ。姉様。私はずいぶん昔に兄様を見限っておりましたのよ。…今の話を聞いて、見当違いだったみたいですけれど。それで、兄様が二年になられて家に帰るのが遅くなって来た時に兄様と話し合って、私が婿を取り跡を継ぐ事にしましたの。」
「え!?そうでしたの?じゃあ、アリールルは兄様がやられていた事を知っていたの?」
「いいえ。全く存じませんでした。むしろ、虫けら共と同じ、夜遊びをする輩と成り下がったのかと嘆いておりました。私は伯爵家の行く末を案じ、また私の好いた男性が家を出ないといけなかったのもあったので話を持ち掛けたまでです。ですから伯爵家は、将来安泰ですわよ姉様。心配無用ですわ。」
そうだったの…。
いえ、アリールルの、口の悪さは以前からですから、少しは驚きましたけれど、兄様は少し表情が引きつっているわよ。
それにしても、アリールルの好きな男性…長男ではない方なのね。どなたなのかしら。
「そう…アリールルの好きな人は長男ではないのね。でも、それでいいの?」
家を継ぐって、大変な事よ。だから、私も兄様が継ぐと思っていたし、不安ではあったけれど代わりに私が、とも言い出せなかったわ。
「あのお母様をあしらえるのは私しかおりませんわよ。ああ見えてお父様も寂しがり屋ですからね。私が丸ごと面倒見て差し上げますわ。だから、姉様はご自分の好きなようになさってね。もちろん私も、好きにさせてもらったのです。だって、家を継げない次男坊を好きになってしまったのだもの。最初の頃はかなり苦悩したのよ。でも、兄様が能無しだと思ったから早々に話を持ち掛けたの。兄様も、婿に出たかったみたいだからお互いメリットだらけで丸く収まって良かったわ。」
アリールルは、私より年下なのによく考えていたのね…。優秀だから、伯爵家の未来は明るいわね。
「アリールル…ありがとう。」
「そうだね。アリールルの口の悪さは驚いたけれど、アリールルはさすが僕の可愛い妹だものね。よろしく頼むよ。さぁ!やっとこれでサーリンに結婚を堂々と申し込めるね。サーリン、僕をもらってくれる?」
そう兄様は言って立ち上がり、サーリン姉様の足元へ行って跪いた。
「ほら。指輪も用意してきたよ。サーリン。今まで淋しかったかい?僕もなかなか会えなくて淋しかったよ。でもサーリンだけは僕を見捨てないでくれると信じていたんだ。これからは、もっと一緒にいよう?」
そう言ってサーリン姉様の両手を握り、目を見てニッコリと笑っている。
サーリン姉様は…涙を流しているわ。片手を口元にあて、震えている。
「ばか…。」
サーリン姉様、顔は真っ赤になって声も震えていて、とても可愛らしいわ。
「なに?私も好きです?良かった-!じゃあ指輪、嵌めるよ。ほら、以前サーリンが好きだって言った緑の宝石だよ。綺麗だろう?まぁサーリンの方が輝いていて素晴らしく綺麗だけれどね。」
兄様…聞いているこちらが恥ずかしいですわよ。
「……まぁ、ご苦労だったな。二人は放って置こう。あとは疑問はないかな?」
「ん?どういう意味だい?伯爵家は大丈夫だよ。立派な跡継ぎがいるんだからね。ねぇ、アリールル?」
「そうですわ。姉様。私はずいぶん昔に兄様を見限っておりましたのよ。…今の話を聞いて、見当違いだったみたいですけれど。それで、兄様が二年になられて家に帰るのが遅くなって来た時に兄様と話し合って、私が婿を取り跡を継ぐ事にしましたの。」
「え!?そうでしたの?じゃあ、アリールルは兄様がやられていた事を知っていたの?」
「いいえ。全く存じませんでした。むしろ、虫けら共と同じ、夜遊びをする輩と成り下がったのかと嘆いておりました。私は伯爵家の行く末を案じ、また私の好いた男性が家を出ないといけなかったのもあったので話を持ち掛けたまでです。ですから伯爵家は、将来安泰ですわよ姉様。心配無用ですわ。」
そうだったの…。
いえ、アリールルの、口の悪さは以前からですから、少しは驚きましたけれど、兄様は少し表情が引きつっているわよ。
それにしても、アリールルの好きな男性…長男ではない方なのね。どなたなのかしら。
「そう…アリールルの好きな人は長男ではないのね。でも、それでいいの?」
家を継ぐって、大変な事よ。だから、私も兄様が継ぐと思っていたし、不安ではあったけれど代わりに私が、とも言い出せなかったわ。
「あのお母様をあしらえるのは私しかおりませんわよ。ああ見えてお父様も寂しがり屋ですからね。私が丸ごと面倒見て差し上げますわ。だから、姉様はご自分の好きなようになさってね。もちろん私も、好きにさせてもらったのです。だって、家を継げない次男坊を好きになってしまったのだもの。最初の頃はかなり苦悩したのよ。でも、兄様が能無しだと思ったから早々に話を持ち掛けたの。兄様も、婿に出たかったみたいだからお互いメリットだらけで丸く収まって良かったわ。」
アリールルは、私より年下なのによく考えていたのね…。優秀だから、伯爵家の未来は明るいわね。
「アリールル…ありがとう。」
「そうだね。アリールルの口の悪さは驚いたけれど、アリールルはさすが僕の可愛い妹だものね。よろしく頼むよ。さぁ!やっとこれでサーリンに結婚を堂々と申し込めるね。サーリン、僕をもらってくれる?」
そう兄様は言って立ち上がり、サーリン姉様の足元へ行って跪いた。
「ほら。指輪も用意してきたよ。サーリン。今まで淋しかったかい?僕もなかなか会えなくて淋しかったよ。でもサーリンだけは僕を見捨てないでくれると信じていたんだ。これからは、もっと一緒にいよう?」
そう言ってサーリン姉様の両手を握り、目を見てニッコリと笑っている。
サーリン姉様は…涙を流しているわ。片手を口元にあて、震えている。
「ばか…。」
サーリン姉様、顔は真っ赤になって声も震えていて、とても可愛らしいわ。
「なに?私も好きです?良かった-!じゃあ指輪、嵌めるよ。ほら、以前サーリンが好きだって言った緑の宝石だよ。綺麗だろう?まぁサーリンの方が輝いていて素晴らしく綺麗だけれどね。」
兄様…聞いているこちらが恥ずかしいですわよ。
「……まぁ、ご苦労だったな。二人は放って置こう。あとは疑問はないかな?」
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