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お祖母様の持ち物

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次にお祖母様のドレスなどがある部屋へ来た。

「さて。どれをお持ちになりますか?」

お祖母様は、淡い色のドレスを好んで着ていた。
宝石も、控えめなサイズをよく選んでいたので好みが合う。だから、とても目移りして悩んでしまった。

「では、これは着ないなと思う物はありますか?デザインも見て下さいね。」

そういわれると、デザインが少し古い気がした。

「ドレスは流行りもありますから、あまり昔のデザインではよろしくありません。デザインが古そうなのはお止めになりませんか?」

「ええ。わかりました。」

「あ、それから私は侍女ですから、然るべき言葉遣いでお願いします。」
と、再びニッコリと笑ってくれた。しかし今度の笑いは有無を言わさないような笑顔だった。

「では、この薄い黄色と、この淡い青色、この桃色を残したいわ。」

「大変ようございます。それから、新しいドレスはカーティス様が買って下さいますからね。本当に取っておきたいものだけでお願いします。」
え…そ、そうなのね。そう言えば
身一つで嫁いで来いと言っていたものね。

「ドレスはこれでお願いします。」

「はい?」
と、サロメに軽く睨まれたようにこちらをギロリと見られた。
いけないわ!きっと、口調ね。

「…お願い。」

「畏まりました。」
と、恭しく礼をするものだから、サロメは意外と厳しいのね、と思った。
でも、きちんと言ってくれる所が、とても好感が持てたわ。

けれどね、仕方ないじゃない!今日初めて会った人に向かって命令するなんて、私…生粋の貴族ではないから出来ないわよ!

「宝飾品は…こちらはかなり素晴らしい物ばかりなので、取っておかれますか?」
そうね。お祖母様の物は、私の趣味にも合うのよね。

「…出来れば。」

「承知いたしました。あとは、マーガレット様のお父様とお祖父様のものですけれど、どうしますか?」

「私には、男性物は良く分からないし…あ、懐中時計は取っておきたい気もするわ。」

「そうですね。では、チャーリーに聞いてみましょう。」
と、後ろにいたソーニャに促すと、ソーニャは部屋から出て行った。

少し経って、チャーリーが入って来た。

「どうされましたか?」

「女性物は終わりました。男性物は、分からないそうです。どうしますか。」

「お父様が、お祖父様から譲り受けたとされる懐中時計は、取って置いてほしいの。」

「さようですか。では、そのように。あとはカーティス様と見ておきましょうか?価値がそれなりにありそうな物は取って置きますよ。悪いようにはしません。伯爵家として、代々受け継いてきた物は目録として書かれているでしょうから、それは取っておきましょうか。」
と、私を見てニッコリと笑ってくれた。
彼は彼でとても顔が整っているわよね。短い髪だし、なんというかテキパキと動きそうな感じ。

「はい。お願いします。」

「マーガレット様。」
とまた、サロメが私を睨んだ。

「お、お願いするわ。」
言い直すしかないじゃない!
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